原子力規制検査導入に向けた事業者活動の検討状況について

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カテゴリ: 第15回
原子力規制検査導入に向けた事業者活動の検討状況について Industry’s Actions to Prepare for The New Inspection System 九州電力株式会社 鈴木匠 Takumi SUZUKI Member 九州電力株式会社 松岡靖明 Yasuaki MATSUOKA Member The current inspection system of NRA was recommended improving and simplifying the inspection framework by Integrated Regulatory Review Service from IAEA. Therefore, NRA is preparing for the improved inspection system while referring USA’s one called ROP (Reactor Oversight Process). About the New Inspection System, Japanese law (Act on the Regulation of Nuclear Source Material, Nuclear Fuel Material and Reactors) was amended in April 14, 2017, and it will come into force within 3 years. Consequently, we also should consider about Industry’s actions for the New Inspection System. In this paper, we explain our present actions to prepare for New Inspection System. Keywords: ROP (Reactor Oversight Process), New Inspection System, CAP (Corrective Action Program), CM (Configuration Management), immediate unfettered access, performance indicator 1.はじめに 原子力規制委員会は、IAEA による総合規制評価サ- ビス(IRRS)の勧告を受け、検査制度の見直しについて、 米国ROP(Reactor Oversight Process)を参考に、現在検討を進めている。 この新しい制度である原子力規制検査に関して、平成 29 年4 月14 日に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉 の規制に関する法律が改正され、その3 年後までに施行されることとなった。 これに対して、事業者としても、原子力規制検査の導 入に向けて準備すべき事業者活動を整理し、検討を進め ている。 本稿では、原子力規制検査のポイントをまとめ、原子 力規制検査導入に向けた九州電力の活動の検討状況につ いて述べる。 図1 米国ROP の概要 [1] 九州電力株式会社、鈴木 匠、〒810-8720 福岡市中央区渡辺通2-1-82、原子力発電本部 原子力設備グループ、E-mail: Takumi_Suzuki@kyuden.co.jp 2.原子力規制検査のポイント 原子力規制検査において、国は、事業者の全ての保安 活動・検査の状況をフリーアクセスの下に包括的に監視 し、その状況について評価を行う。監視・評価の運用の ポイントを次に示す [2]。 客観的な指標としてリスク情報、パフォーマンス指標 等を活用する。 規制判断の基準やプロセスなどの対応方針を明確にしたガイド文書等を公開して、規制機関による対応の 透明性・予見性を確保することで、事業者の主体的取 組みを促すとともに、積極的な情報公開等により、規 制機関の活動内容に対する信頼性を高める。 一方、事業者は、安全確保の活動を通じて規制要求へ 適合するとともに、自らその活動を維持・向上させるこ とを期待されている。 以上を実現するための事業者が取り組むべき活動とし ては、主に後述する3.1から3.5の活動がある。 3.主な事業者活動の検討状況 CAP(Corrective Action Program) CAP は、事業者が自ら問題を特定し解決するプロセスであり、原子力規制検査では、CAP 情報を利用するだけでなく、事業者が自ら事象が軽微なうちに是正することを促し、重大な事象の発生を減らすことを目的とした制度となっている。 九州電力としては、原子力規制検査に向けてCAP 改善の重要性を認識し、以下の点を考慮しながら改善を進めている。 ・問題の把握能力向上(情報を広く収集) ・是正処置能力向上(リスクの重要度に応じた是正処置) ・情報の透明性確保(CAP 情報の共有) コンフィギュレーション管理 コンフィギュレーション管理は、図2 に示すように、設計要件、施設構成情報(図面等)、物理的構成(実際の設 備等)がそれぞれ均衡していることを保証する活動である。 コンフィギュレーションの不均衡が発生すると、安全 確保上重要な問題となることから、現在、九州電力とし ては、設計、工事、検査等の活動により、この均衡を維 持しているが、これらの活動において個別に管理してい る情報を関連付けて管理できるように情報整理等の検討 を進めている。 図2 コンフィギュレーション管理のイメージ パフォーマンス指標(PI) パフォーマンス指標は、事業者の活動の実績を監視し、 客観的に評価するための定量的な指標である。 原子力規制検査では、定期的にパフォーマンス指標を 測定し、原子力規制庁へ報告する仕組みとなる予定であ り、九州電力としても、電気事業連合会を通じ事業者の 活動の実態をどのように指標として計算するかを規制側 と議論しながら検討している。 PRA モデルの高度化 PRA は、事象に対するリスク上の重要度を適切に把握するとともに、工事等の活動に伴うリスクの変化を適切に評価するため等に用いられる。 今後、九州電力としては、電力中央研究所 原子力リスク研究センターにて実施しているパイロットプロジェ クトで得られた知見等を基にPRAモデルの高度化を図る 予定である。 フリーアクセスに向けた環境整備 原子力規制検査では、検査官が日常的な事業者の保安 活動の実態を的確に把握でき、気付いた点などに即応で きるようにするフリーアクセスの確保が求められる。 九州電力としては、検査官が検査に必要な設備や書類などを自由に確認できるように、現場アクセスルールの調整、情報の閲覧方法の整備等の環境整備を進めている。 試運用の予定 原子力規制検査の試運用は、本年10 月から開始される予定である。試運用の工程は、今後原子力規制庁との調整により決定されるが、事業者としても円滑な制度導入に向けて、効果的な試運用となるよう最大限対応していく。 表1 原子力規制検査の試運用予定 4.おわりに 原子力規制検査は、本年10 月から原子力規制庁による試運用が開始される計画であり、準備を進めている事 業者活動については、この試運用を通して改善していく 予定である。 参考文献 原子力規制委員会、“海外の検査制度について”、第 1 回会合 検査制度の見直しに関する検討チーム、2016. 原子力規制庁 長官官房 制度改正審議室、“検査制度の見直しについての説明”、検査制度見直しに関す る事業者説明会、2017.
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