大型据え置き電磁誘導コイルによる 加熱ジャケット付二重缶検査技術評価のための有限要素法解析

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カテゴリ: 第15回
大型据え置き電磁誘導コイルによる 加熱ジャケット付二重缶検査技術評価のための有限要素法解析 Finite Element Evaluation of the Low Frequency Electromagnetic Method using a Large Exciter Coil for Monitoring the Corrosion of Double Tank in a Reprocessing Plant 東北大学 小野陽平 Yohei ONO 東北大学 宋海成 Haicheng SONG 東北大学 遊佐訓孝 Noritaka YUSA Member 東北大学 橋爪秀利 Hidetoshi HASHIZUME Member This study performed finite element simulations to evaluate the applicability of a low-frequency eddy current nondestructive testing method for the detection of corrosions appearing in a double tank used in a reprocessing plant using a large diameter coil attached to the bottom of the tank. The simulations modeled the tank as an axisymmetric one, and evaluated the effect of various parameters such as frequency, coil radius and the gap between the inner and the outer vessels. The results of the simulations confirmed that increasing the radius of an exciter from 150 mm, which was considered in an earlier study, to 750 mm, which is approximately half of the diameter of the tank, leads to almost 50 times clearer signals. Furthermore, the simulations also revealed that the gap did not affect so much on the change in the signals due to corrosion if a large diameter coil was used. Keywords: electromagnetic nondestructive testing, wall thinning, finite element simulation, double tank 1 緒言 六ケ所再処理施設において採用されている加熱ジャケ ット付二重缶は、内缶内面が腐食環境にさらされるため、適切な寿命評価が要求されている。現状内缶の肉厚評価にはいわゆる低周波渦電流に相当する電磁誘導法の適用 が検討されているが[1,2]、当該技術は実機を模した平板及 び二次元曲げ板試験体での目標精度の達成が報告されて いるものの、内缶と外缶の合計肉厚は60 mm 以上であるために腐食による信号は微小であり、3 次元構造を有する実機への適用に際してはプローブ位置に起因する信号変 化と腐食信号との弁別が課題の一つ考えられている。 一方、加熱ジャケット付二重缶の内缶内面腐食は基本的に全面腐食であると想定されているため、必ずしも腐食位置特定のためのプローブの走査が必要であるわけで はない。そのため、一 的に渦電流 法による厚肉構造物の裏面検査に有利である[3]大型コイルを缶底部に据え付けることで、内缶内面の腐食をより定量的に検出・ 連絡先: 小野陽平、〒980-8579 宮城県仙台市青菓区荒巻字青菓6-6-01-2、東北大学量子エネルギーエ学専攻E-mail: yohei.ono.s1@dc.tohoku.ac.jp 評価する可能性があるとも期待されているが、現状その検討はごく基礎的なものにとどまっている。 そこで本研究においては、電磁場解析による、据え付け型大型コイルによる再処理施設加熱ジャケット付き二重缶検査腐食検査の可能性の詳細評価を実施した。 2 大型コイルによる腐食検出性評価 解析モデル及び解析条件 解析モデルを図1 に示す。前述の二重缶を半球として模擬したものであり、缶底部に配置された半径rex のコイルにより発生させた電磁場により内缶内面側に発生した深さd の全面腐食を検出することを想定したものである。本解析においては評価対象は缶底中央部における磁束密度の垂直方向成分Bz の変化の度合いとした。 解析は汎用有限要素法解析ソフトウェア Comsol Multiphysics (v5.2)及びその 加モジ ールであるAC/DC モジ ールを用い、磁気ベクトルポテンシャルを未知変数とする軸対象二次元解析として行った。用いた要素は二次の三角形要素であり,内缶及び外缶の導電率と比透磁率はそれぞれ1.35 MS/m,1 とした。 を有限要素法解析により評価した。外缶底部に据え付けられた大型コイルにより深さ2.5 mmの腐食を10%程度の信号変化により検出しうること、またその際の信号変化 は内缶と外缶の間の空隙厚みによる影響は小であることなどを確認した。 解析結果 Fig.1 Numerical model Unit: mm 励磁コイル径が腐食からの信号に及ほす影響評価解析 の一例をFig. 2 に示す。図は内缶と外缶の間の空隙厚みが80 mm、腐食深さが5 mm の場合だが、コイル径と共に磁束密度の変化の度合いは顕著に増加していること、また磁束密度の変化の度合いが最大となる周波数はコイル径 に依存するが概ね30-40 Hz 程度であることが確認できる。 Fig. 3 は各コイル径について最も磁束密度の変化の度合いが大である周波数における腐食深さと磁束密度の変化の度合いである。概ね腐食深さと共に磁束密度変化は線形に増加しており、これは今後測定信号からの腐食量評価の可能性も示唆しているものと期待される。 Fig. 4 はコイル径が750 mm の時に、内缶と外缶の間の 空隙厚みが70, 80, 90 mm と変化した場合の、腐食による磁束密度変化の度合いを示したものである。空隙厚みによる影響は最大で数%程度であり、これは上述の腐食による変化の度合いに比して顕著に大というものではない。 Fig. 3 Effect of the depth of corrosion (Air gap=80 mm) Fig. 4 Effect of air gap between the inner and outer vessel when the radius of the exciter is 750 mm Fig. 2 Effect of coil radius on the change in signals due to 5 mm deep corrosion 3 結言 再処理プラントにおいて用いられる加熱ジャケット付 二重缶の内缶腐食検出に対する低周波渦電流法の適用性 参考文献 小泉ら, “電磁誘導法による肉厚測定技術の開発- 加熱ジャケット付き容器への適用-', 第20 回動カ・エネルギー技術シンポジウム講演論文集 (2015), pp. 183-186. 小泉ら, “電磁誘導法による肉厚測定技術の開発 - 加熱ジャケット付き容器への適用-', 日本原子カ学会2015 秋の大会. N. Tajima, N. Yusa, H. Hashizume, “Application of low-frequency eddy current testing to the inspection of a double-walled tank in a reprocessing plant”, Nondestructive Testing and Evaluation (to appear) 小野ら, “低周波電磁場を用いた再処理施設二重缶減肉評価技術の開発研究”, 日本非破壊検査協会東北支部講演会, 仙台, 2018/04/20.
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