再処理工場の保全の地元拠点化推進活動
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カテゴリ: 第16回
再処理工場の保全の地元拠点化推進活動
Promotion activities to establish the local supply chain for the maintenance of Rokkasho Reprocessing Plant
株式会社ジェイテック
浜田
靖
YasushiHAMADA
二浦山口
俊司伸一
ShunjiMIURA
Shin-ichiYAMAGUCHI
Member
Toward commissioning and safety operation of Rokkasho Reprocessing Plant, it is important to support operation with rapid, flexible, and high level maintenance technique and skill. However there is not enough number of maintenance companies around the plant which have various technologies, so it is required to establish the local supply chain to support the continuous operation. Therefore, we J-tech have held many times of workshop in cooperation with several local companies for more than 2 years in order to strengthen their technique, skill, ability to undertake requirements from purchasers and so on. We will present the contents and progress of this activity.
Keywords: Reprocessing plant, rapid and flexible maintenance, local supply chain, workshop, local companies
はじめに
日本原燃(株)が青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場の安全・安定操業に向け、特に保全分野を対象として工場を中心とする地域の産業基盤・いわゆるローカルサプライチェインの整備が重要である。
当社は 2003 年、六ヶ所村の原子燃料サイクル施設の保守・保全や運転受託等を行う日本原燃(株)の100%子 会社として六ヶ所村内に設立され、地元企業の育成と活用を定款の一つとして事業を推進してきた。
従来より地元企業は当社との連携を含め、それぞれ個
に技術 発等を行って受 能力を め、これに基 いて一部設備の保守作業に従事してきた。
しかし、地域としての体系的で組織的機能が十分ではなく、仕事の範囲が限定的であった。
この課題に対応し、一部の村内企業より当社に対して更なる発展に向けた検討活動の提案があり、これを受けて当社は2017 年度より村内有志5 社との保全の地域拠点
連絡先:浜田 靖
〒039-3212
青森県上北郡六ヶ所村大字尾駁字弥栄平1 番地108
株式会社 ジェイテック
技術 発推進室 地元拠点化事務局
E-mail: yasushi-hamada@.j-tech66.co.jp
化勉強会を発足させ継続的に活動してきたので、その内容と進捗状況や成果の一部を紹介する。
背景
再処理工場はその機能上、原子力発電所と異なる様々な仕様の機器や電気・計装・制御品等があり、またその設備量も膨大で発電所の5 倍以上の大型プラントである。
さらに立地上、これらの設備の製造や建設を請け負った多数の企業から遠いことや、試運転や新規制基準対応工事に長期間を要していること等から、工場周辺のいわゆる地元企業に ける 状の機 電気設備を中心とした保全技術力は限定的である。
2 年後の 2021 年竣工とその後の本格操業に向けて、 様々な仕様の設備やその保全ニーズに地元企業が中心と なって機動的かつ即応対応することが喫緊の課題である。
この課題に対処するためには、当社を含む工場周辺の企業群による技術面で体系的、かつ組織的な保全体制を構築して行くことが工場の安全・安定運転の継続的な確保のために必要であると考え、2017 年度から当社が事務局となって以下の活動を実施してきた。
STEP1活動内容(2017 年度)
前記課題に対応し、当社はまず地元の有志 5 社とともにアクションプランを作成し、共通する 状課題を整理し、1回/月の定例勉強会で対策検討を行った。その計画と実 を 1 に す。
表1.2017 年度 契約形態検討勉強会実績
日常競合する5社ではあったが、勉強会に いては地元拠点化強化の視点から協力しあうこととし、商業機密の保持も含めて当社も参加した共同活動規約を作成した上で、各社が認識する 状の課題を出し合い、下記のとり整理した。
(1)企業規模が さく再処理工場向けの技術力を有した社員が少ない。また技術分野も限定的である。
・原子力共通保全技術の取得に当たり、2011 年の東日本大震災以降 国内原子力施設での保全業務の機会が激減して りOJT の機会も非常に少ない。
・OJT のトレーナーが不足している。(2)受 力が不十分である。
社員数が少ないため、複数の技術を駆使した物量の多い工事を受 するには不十分である。
年間を通して安定した受 が少ない。
期間限定の周辺技術分野での受 がほとんどであり、年間を通した受 が少ない。
年間安定した受 量を確保するために中央工事会社等の二次、二次下請での部分的な作業量が増え、自社独自の技術力向上につながり難い。
年間受 量が不安定なため、次世代社員の採用や自社の技術力向上への投資が限定される。
このような課題の解決に向けて、まずは当社と継続的に契約可能と判断される保全工事を対象とし、教育や訓練に振向ける投資や時間的裕度が両立出来るような方法を検討し、以下の契約形態の 更等の適用を図ることとした。
複数年度契約(2~3 年)
・ 年度毎の個 競争契約を複数年契約+ 年度検収とし、受 計画の安定化を図る
複数契約の統合
・短期複数の契約を統合し、個 業務時期に自由度を設定することで、年間業務の 動をできる限り さくする。
共通インセンティブ条件
上記(1)(2)の効果とインセンティブ条件も設定し覚書を締結した。
・計画的に教育訓練を目的に、要員配置を地元企業が自主的に決定できる。
・契約手続き業務の効率化が図られる。
・これらの効果によって生み出される時間やコストの低下は受 者が享受できるものとし、新たな技術者の確保や教育・訓練に充当することとする。
・受 者は当社との間で、契約後速やかに3ケ年の教育・訓練計画を立案し、当社との覚書での合意の元で半期毎の進捗管理を行い、相互に必要なフィードバックを行う。
これらの2017 年度の勉強会活動の結果に基 き、2018 年度の当社の保守工事案件を対象としたモデルケースとして、5 社との間で複数年契約3 件と統合契約5 件 の計8 件を契約し計画を実行した。勉強会ステップ1 の結果に基 く2018 年度の契約形態の集計を 2 に す。
表2.2018 年度 契約形態変更開始リスト
STEP2活動内容(2018 年度)
地元企業の保全技術力の調査と分析
ステップ1の活動は、従来から個々の地元企業が実を持つ技術範囲の業務を対象としたものであり、教育・訓練の成果取得には2~3 年以上を要するものである。
このため2018 年度にはステップ1 活動と並行して、更なる受 能力の強化に向けた検討を進めることとした。
また他の地元企業にも呼びかけを行い、勉強会への参加社数の増加を図った。
検討に当たっては、地元企業の保全技術力の実態を定量化するために無記名のアンケートを行うこととし、これに基 いて複数企業の連携による相互補完方式等の更なる強化策の評価を行うこととした。2018 年度勉強会の活動計画の実 を 3 に す。
表3.2018 年度 連携方式検討勉強会実績
地元企業の保全技術力に関する実態調査アンケートに 当たっては、保全技術を約 100 項目に分類し、原子燃料サイクル施設で実施している各種保全技術への参画状況 について、2016,17 年度の当社担当工事を対象に調査した。
また多くの地元企業にも本勉強会の主旨説明とアンケートへの協力要請を行い、最終的に14 社が勉強会に参加し、アンケートも17 社から得ることができ、このデータをグラフ化して勉強会メンバーで共有した。
図1.保全技術毎の受注実績図
保全技術毎の受 実 図を図1に、
保全技術項目 受 件数実 図を図2に、分類比率図を図3に す。
再処理工場の保全技術に係る地元企業の担当状況は以下のと りである。
半数以上の企業の担当分野で、足場や養生等の保全の付帯技術が多い。
多くの企業が、放射線管理区域内作業を含めた管理に関わる諸手続き書類等を作成する保全管理技術を所有している。
機 設備の保全技術に比べ電気、計装設備に関わる受 企業が少ない。
土木建築に関わる保全技術の受 企業も少ない(5)中央工事会社等の二次、二次下請けとして受 し
ている保全業務の比率が い。
図2.保全技術項目別受注件数実績図
の結果、以下の事が明確になった
図 2 に各保全技術の担当実 を多い順に並べてす。このうち青棒は再処理工場での実 を、赤棒は再処理工場以外での実 を す。
さらにこれらのデータを以下の4分類して分析した。分析に当たってのニーズとシーズの関係を 4 マッチング評価 に す。
表4.マッチング評価表
A 事業者からのニーズが く、かつ地元企業も技術
【シーズ】を所有している分野
B 事業者からのニーズが いものの、地元企業には
状 技術【シーズ】を所有していない分野
C 一般産業向けとして技術を所有しているものの、事業者からのニーズが さいと考えているもの
D 事業者からのニーズが少なく、かつ地元企業にもシーズがないもの
この定義に基 いて図2の受 実 件数をまとめ、図3にグラフ化して す。
図3.分類比率図
事業者からのニーズに対して地元企業のシーズで応えた実 Aはわずか12%であり非常に少ない。
事業者からのニーズに対して地元企業のシーズで応えられていない分野 Bは57%であり非常に多い
地元企業のシーズは いものの、事業者から地元企業へのニーズが低いと推定している分野 Cは27% である。これは地元企業からの自社技術のアヒールが不足している可能性も推定される。
以上を集約すると、事業者からのニーズに対して地元企業 独では80%以上(57%+27%)の業務で技術(シーズ)が不足して り、このために地元企業の業務拡大の停滞の原因になっていることが推定された。
したがって、前記B、C領域を強化してA領域にする対策を検討した。
地元企業の保全技術力の強化策の検討
地元企業の保全技術力に関する調査結果に基 き、早期技術力の強化策として、ステップ1での各企業独自の強化策に加え、企業連携方法について検討した。
方法1 B Cの異なる保全技術を有している地元企業同士の連携による相互補完。
方法2 地元以外のB、C分野を補完できる企業と地元企業との連携。
方法3 地元以外のA分野を補完できる企業と地元企業との連携。
勉強会に いて、これらの強化方法に関する各種の課題を検討し、以下の意見を集約した。
同業他社間は競合するため、連携そのものが困難である。
経営方針を含めた企業同士の相性も考慮すべきである。
連携をするための各社に しあう情報量が少ない。
地元以外の企業を調査するには時間を要する。
連携情報を集め易い地元企業間から始めたい。
企業間連携により技術の裾野を広げ、技術力を向上することで、レベルの い競争が可能となり、事業者と受 者それぞれに Win-Win の関係が築くことができる。
地元企業間の連携方式の検討
地元企業間の連携方式のモデルとして多層請負方式または、ジョイントベンチャー(以降JV)方式の2方式 について勉強会で検討した。それぞれの契約体制を図 4 及び図5 に す。
図4. 方式での技術向上のモデルケース
(多層請負方式)
契約上、二次企業から一次企業への派遣や教育出向が必要となる。
一次企業との業務遂行を通じて、一次企業の知見 等が二次企業に流れる可能性があり、一次企業が この方式の主旨を事前に了解して く必要がある。
保全工事完了後に請負契約を解消しても責任が明確である。
図5.JV 方式での技術向上のモデルケース
(JV方式)
土木建築設備の建設工事で多用されているが、機
電気関係の保全業務での事例は少なく、実 情報も少ない。
事前の規約や届出等の諸手続きが多層請負方式よりも複雑である。
参画企業間の技術力の共有が進み易い。
保全工事が完了しJV体制解除後に いても、工事結果への責任の所在が曖昧に成らないような仕組みが必要である。
勉強会に いて、それぞれの方式に魅力を感じる地元企業による分科会を設置し、契約に関する制約や技術力の責任範囲等長所、短所を整理した。
それぞれの分科会メンバーは、我ffll 、検討することにより、それぞれの企業の方向性を認識し易くなった。
またステップ1での前提条件と同様、関係する企業間で、それぞれの企業の技術力が向上するための実施計画書や協定書を作成することも共通認識とした。
さらに個々の具体的な提案について、アンケート形式で情報を取集し事務局が公正な立場で各社の機密を守りながら把握することで、個 の調整を進め易くした。
ステップ2の成果については、それぞれの企業の業態 や人員体制等を考慮し、受 物件に適応可能な方式を選定し、モデルケースとして201 年度の一部業務に し、運用を 始することを目指している。
な 勉強会メンバーの14 社の中には競合会社同士も存
在するため、それぞれの企業の経営方針に基 く自由活動を最優先するという条件下で、地元企業間の連携を図っている。
まとめ
再処理工場を長期間にわたり安全・安定に操業していくためには、工場直近で体系的な保全技術力を持ち、機動的、即応性かつ組織的な活動のできる地元企業群によるローカルサプライチェインが必要である。
当社は今後とも事業者のニーズを適確に把握し期待に応え、地元企業群と連携して対応していく。
特に今回紹介した2017 年からの地元拠点化勉強会を通じて、地元企業間の連携を更に深めるとともに、操業後に発生しうる新たな課題にも的確に応えられるよう積極的な活動を継続していく所存である。