原子炉容器出入口管台600合金使用部位に対する予防保全晃司(原子炉容器出入口管台INLAY工事)

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カテゴリ: 第15回
原子炉容器出入口管台 600 合金使用部位に対する予防保全工事(原子炉容器出入口管台 INLAY 工事) 二菱重工業 二好 善幸 Yoshiyuki Miyoshi Not Member 二菱重工業 上田 剛史 Ueda Takeshi Not Member 二菱重工業 山本 和秀 Yamamoto Kazuhide Not Member 二菱重工業 小林 雄貴 Kobayashi Yuki Not Member 加圧水型原子炉(PWR)の応力腐食割れに対して国内外で様々な工法が開発され、実機に適用されている。原子炉容器出入口管台の600合金使用部位の応力腐食割れ対策として、原子炉容器出入口管台 INLAY 工法が開発され、実機への適用実績がある。2018年3月~4月に九州電力掬川内原子力発電所1号機に対し、本工法が適用された。 Keywords: INLAY, SCC, Alloy600, Alloy690, Material change, PWR, Application はじめに 加圧水型原子炉(PWR)の運転時間に伴い顕在化する問題として、応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking: SCC)による損傷事例が国内外で顕在化しており、その防止がPWR の保全の重要なテーマの一つとなっている。 図1に示す通り、SCC は環境、材料、応力の3因子の重畳によるものと考えられており、その対策として、材 料改善(他材料への取替)、応力改善(引張残留応力改善)を行う様々な工法が開発されている。 PWR の1次系水環境条件下でのSCC はPWSCC と言われ、PWSCC 感受性を有している600合金が加工や溶接などによる高引張残留応力の状態で使用される場合に、PWSCC が発生するものと考えられている。図2に示す1 次系耐圧バウンダリにおける600合金使用部位では、PWSCC 発生の懸念がある。 原子炉容器出入口管台(図2の③、④)のPWSCC対策として、INLAY 工法が開発され、実機への適用実績がある。 図1 SCC の3因子と対策 図2 PWRプラント1次系耐圧バウンダリでの 600 合金使用部位 原子炉容器出入口管台INLAY 工法 図3に示すように、原子炉容器出入口管台INLAY 工法は、管台内面の1次系冷却材に接液する600合金部を切削し、溶接後の熱処理が不要となるテンパービード溶 接により耐PWSCC に優れた690合金を溶接し、PWSCC を 防する技術である。 図3 原子炉容器出入口管台INLAY 工法 原子炉容器出入口管台INLAY 工事 INLAY 工事の対象部位は原子炉容器出入口管台の内部であるが、定期検査における燃料取り出し後も常に冷却 水で満たされており、原子炉容器出口/入口管台(図2③、 ④)は水中環境下となっている。 この管台内面に気中環境を創出するため、図4に示すように、円筒容器/プラットホームを原子炉容器内部に設置する。 工事で使用する切削装置、溶接装置、検査装置などは特殊クレーンで円筒容器/プラットホーム内部に搬入される(図4)。さらに、プラットホーム内部では、マニ゜ ュレータ及びターンテーブルで管台内に搬入され、操作本部より遠隔操作できる。(図4、図5、図6) 管台内面への装置搬入や管台内での作業を遠隔で行うことで、作業者の大幅な被ばく低減を図ることができる。さらに、プラットホーム内での作業を最大4 管台並行で実施することで、工期を短縮できる。 図4 原子炉容器出入口管台INLAY 工事設備 図5 プラットホーム内部 図6 管台内部の施工 おわりに 本工法は、これまでに国内の3 つのPWR プラントに対して適用された実績があったが、本年3月に九州電力(株) 川内原子力発電所1号機に対して、INLAY 工事が実施された。 今後も、これまでの経験を活かしてPWR プラントへの原子炉容器出入口管台INLAY 工法の適用を検討していくと共に、PWR プラントの保全全般についても引き続き取り組んでいく。
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