屋内環境における自律照度測定ロボットの開発

公開日:
カテゴリ: 第16回
屋内環境における自律照度測定ロボットの開発 The development for an autonomous illuminance measurement robot in indoor environment 首都大学東京 新井 智之 Tomoyuki ARAI Member 首都大学東京 井上 椋太 Ryota INOUE Nonmember 岡山大学 戸田 雄一郎 Yuichiro TODA Nonmember 株式会社きんでん 辻元 誠 Makoto TSUIIMOTO Nonmember 株式会社きんでん 谷口 和彦 Kazuhiko TANIGUCHI Nonmember 首都大学東京 相野谷 威雄 Takeo AINOYA Nonmember 首都大学東京 笠松 慶子 Keiko KASAMATSU Nonmember 首都大学東京 久保田 直行 Naoyuki KUBOTA Member Abstract In recent years, the research has been conducted on the robots which automatically measure the illuminance at indoor construction sites due to the declining birthrate and aging population which cause the labor shortage. Therefore, we developed a system for one robot operator to work at night, which is currently being performed by two people. It is in the final stage of commercialization, adding practical functions required for illuminance measurement, such as simultaneous localization and mapping, and an obstacle avoidance system. From the experimental results of actually measuring the illuminance indoors, it is expected to be able to be fully active in the actual site. Keywords: illuminance measurement, SLAM, indoor construction site, LRF, fuzzy control, multi-objective coordination 1 諸言 近年,少子高齢化の 題に伴い,労働力不足が深刻な 題となっている 設現 においても,労働 不足題は一刻も早く対応すべき課題であり,その影響を受ける作業として照度計測がある この作業は通常, 界からの光の影響を受けづらい夜間に行う必要があり,計測と記録に計2 名を要している さらに測定箇所は多く, 測定 も を したりする必要があり, の大きい業務である そこで本研究では, 設現 における照 の照度測定を,ロボッ を用いて自動化することを研究目的とする これまで,本研究では自動化に向けて実験を行っており,有効性を示してきた ] そこで現在は照度計測に必要な自己位置推定,照度計測点への移動,障害物回避等の実用的な機能を追加し,商品化の最終段階である 発したロボッ を用いて照度計測の実験を行った 本稿ではその実験結果を示すとともに, 商品化する上での有効性について諏論する 2 照度測定ロボットのシステム構成 本研究において,商品化を前提として照度測定ロボッ の 発を行った Fig. に を示す ロボッ に載されているものとしては,LRF,バンパセンサ,落下防止センサ,照度計があり,それぞれSLAM と目標追従,障害物回避,階段などの段差認識,照度計測に使用される LRF は北陽電機株式会社から発売されている測 センサであるUTM- 0L 2]を,照度計にはノル 株式会社から発売されているT 0 ]を使用したIIS では 務 などの一 照 の照度測定は床面から80 m士5 mの高さで,非常照 の測定などで行う床面照度測定では床面から 5 m以下の高さで照度測定を行ことが定められているため,これらに対応できるよう照度計取付け位置を設計した 床面照度測定時にはロボッ 部に照度計を取り付ける仕様となっている を用いる また,突然変異には以下の式によって計算される適応的突然変異を用いる gk,h → gk,h + (ah ? fitmax - fitk fitmax - fitmin + f]h) ? N(O,l) (2) 3 照度計測ロボットの知能化制御 3 環境地図構築と自己位置推定 照度計測ロボッ が与えられた測定点に移動するためには,環境地 の構築と自己位置推定をする必要があ ここで,fit は,k 番目の個体の適応度を表し, fitmax とfitmin は,それぞれ,個体群中の最大,最小の適応度を表す また,N(0,1)は,平均0,分散1 の正 乱数をah と/3h は, それぞれ,係数とオフセッ を表す このように突然変異では,ah の値によって,探索範囲を設計することが可能であり, ン に使用する移動ロボッ の最大移動速度に応じて,適切な係数を設計することによって,ロボッ における自己位置推定のための探索を行なうことが可能である また,k 番目の適応度 fitk は以下の式によって計算される M る 本研究では,地 表現方法として,占有 子 間地 fitk = pOcc(x ,y ) こmap (x ,y ) ( ) を用いる 占有 子 間地 は,2 元 間を 子として表現し,計測情報に応じて各 子の占有度合いを更 pocc(x t ,y ) i,L i,L i=1 t i,L i,L 新していく地 の表現手法である 得られたセンサ ti,L = i,L M i=1 i=1 hit t(xi,L, yi,L) (4) から,地 で対応するセルに対して占有度の更新を M i=1 hit t(xi,L, yi,L) M t(xi,L, yi,L) 行うのだが,対象となるセルには占有度を上げ,センサ が したセルは占有度を下げる 以下にセルの占有度 hitrt(xi,L ,y ) = { 1 if hitt(xi,L, yi,L) > 0 0 if (x ,y ) > 0 i,L(5) ti,L i,L の更新式を示す r (x ,y ) = {1 if t(xi,L, yi,L) > 0 ti,L i,L0 if hit (x ,y ) > 0(6) t(x, y) ti,L i,L mapt(x, y) = t(x, y) + errt(x, y) ( ) 式(4)より,自己位置推定解の探索において,適応度は, 基本的に地 の占有度の総和によって決定される 適応 ここでh tt(x y)とerrt(x y)はそれぞれ,時刻t までに 子(x y)において,測 センサによって計測された回数と測 センサの が した回数である また,ロボッ の自己位置推定には進化戦略に基づく手法を用いた 具体的な進化戦略の手法としては,?個の親となる個体群から 個の子個体を生成し,山登り的に探索を行なっていく(?+ )-ES を用いる (?+ )-ES は, 常に親個体を?個体保持するため解集合の多様性が保たれた状態において,近傍探索が可能な手法であり,より 度の高い自己位置推定が可能となるため本研究において 用した 自己位置推定の最適化における,進化戦略では,各個体を現時刻におけるロボッ の自己位置(g , , g ,2)と姿勢(g , )として表現し,各遺伝子に対して,遺伝的 作を行なっていくことによって,探索を行なっていく 遺伝的 作の つである,交叉には,最良個体とランダムに選択された個体から交叉を行なうエ 交叉 度が高くなるほど,測 センサのよって計測された 子の座標と現時刻までに構築された地 情報の一致度合いが高くなるため,より に自己位置を推定できることが期待される そのため,本 題は最大化 題として帰着される 3 2 照度測定点への移動と障害物回避 各行動における各 への出力の計算には簡易型ファジィ推論を用いる ファジィ if-then ル ルは以下のようになる x is and ... and x is y is and ... and y is ここで, は行動番 を表し, = は障害物回避, = 2 は目標追従を表す は各行動における 力数であり, 障害物回避ではLRF からの計測 を一定角度ごとに 5 分割して用いるため = 5,目標追従,最適目標位置追 従では距離が前方,ゼロ, 方の 種と角度のずれが左右2 方向にあるため積をとって = 6 となる はロボッ の出力数であり,両輪の出力であるので = 2 となる 適合度の計算には以下の式で表されるガウス型メンバシップ関数を用いる (xk, ai, ) 3 4 多目的行動調停 上記で述べた通り,照度計測ロボッ は目標追従や障害物回避を行う必要があり,その時々でどの行動を優先するかを決定する 多目的行動調停では,各行動(行動1 障害物回避,行動2 目標追従)の出力yk,l を行動の重み gt をセンサ値によって更新し,各出力の重み付 け和を取ることで環境に適した最終出力yl を算出する ? , , (xi, ) = xp ( ) i, は ス 行動の総数であり,本研究においては =2 で a j b j はメンバシップ関数の中央値と幅を表す メンバシップ関数により各 力に対する適応度を求め掛 ある K wgtk yk,l (1O) yl = k=1 け合わせることで各ル ルの発火度を計算する M ?k,i = 日? , , (xk, ) (8) K k=1 wgtk =1 各ル ルの設定出力値に対し,発火度を重みとした重み付け平均を取ることで,行動 における両輪の出力y ,l ( l = ,2)を得る R はル ル数である R ?k,iwk,i,l y l は 番目の行動出力おける両輪(l = , 2)の出力を表 す また,重みの更新則は のように行われる ここでaは忘却係数であり,センサ情報が初期値と同値になった 合に,累積の重み更新幅がO に戻ってしまうことを 防ぐ目的がある yk,l = i=1 (9) R i=1 ?k,i wgt k = a wgtk △wgtk (11) wgt ← wgt k (12) 3 3 バンパセンサと段差検出センサ kK k=1 wgt k ロボッ が移動をしている環境には,木材が置かれている 合がある 載されているLRF の設置高さによっては,レ ザ が木材に当たらず,ロボッ が直進し =1,11,21 障害物回避,目標追従,最適目標位置追従をそれぞれ, 行動 ,行動2 とし,式(4.6)における各 ス 行動の重み更新則Ll gt ( = ,2)を設定する てしまって乗り上げたり,押し進んだりしてしまい,危険な状態になってしまう そこで,本ロボッ にはFig.2 △wgt1 [△wgt2) dwdwsi [dw2,1dw2,2) [si2) (13) に示すように前方部にバンパセンサを取り付けた これにより,LRF で検出できないような高さの障害物であっても,バンパセンサの衝突により検知することで,回避行動をとることが可能である また,ロボッ が階段等に近づいても落下しないよう,赤 線センサを用いた落下防止センサを 載した一定以上の距離を計測した 合に,段差と判定し,移動の停止を行う 2 Bump s so d s p d c o s so s m(m = , 2)は環境知覚情報を表し,それぞれLRF から求めた障害物の接近度や,目標までの相対角度 最適目標位置までの距離である d m は行動 がs m によって受ける影響を定める定数パラメ である Ll gt , d m,s m の値は正 化され,0~ の範囲の値を取るs m が高い値となったときにLl gt が大きな値を取るようd m の値を決めることで知覚された状況に適した統合出力を得ることができる ここでバンパセンサ,段差検出をした際は,それらを回避するような行動を優先する 4 実験結果 実際の照度計測を想定して,屋 フロアにて実験を行なう 本実験環境において,設定した計測地点及び環境地 構築を行なった結果をFig. に示す また,実際にロボッ が移動した軌跡をFig.4 に示す 中の赤い円は照度の測定点を示す 環境地 構築 始時点(Fig. 左 )では,LRF の計測 と CAD から生成された環境地 がほぼ一致していることがわかる その ,ロボッ は 環境地 の更新を行いながら,照度計測のための移動を 始し,各計測地点を通 しながら計測終 地点まで移動をしている(Fig. 右 ) Fig.4 より,ロボッ は,本研究において用いているファジィ制御による目標位置追従によりオ バ シュ は生じているものの各計測地点を適切に通 できていることが 認できる この際における,各計測地点と照度計測時の測定点の座標値及び照度値をTable に示す Table より,設定した計測地点と実際に測定した地点の誤差の平均値は,約 94 mm], 最大値は204 mm]となっていることからも本研究において 発を行なった照度測定用ロボッ は,照度測定作業への利用としては十分な 度の位置決め制御を行えると評価できる に,今回ロボッ に 載したバンパセンサを用いて, LRF では検知できない低い障害物の回避について実験を行なった 結果をFig.5 に示す 目標経路上にある障害物に対してロボッ は直進し(Fig.5 左上),衝突した (Fig.5 右上),右 方に 退することで(Fig.5 左下),回避が行えており(Fig.5 右下),LRF で検知できない障害物に対しても十分な回避機能を有していると言える 3 R su s of m p bu d 4 Mo m j c o y T b R su s of um c m su m 1 39 641 38 900 39 592 39 048 0 156 541 2 34 105 38 900 34 303 38 850 0 204 688 3 28 866 39 048 29 063 39 048 0 198 231 1 4 28 866 44 782 28 866 44 584 0 198 137 4 5 33 907 44 337 33 710 44 386 0 204 474 6 39 690 43 991 39 493 44 040 0 204 447 5 Obs c o d c by bump s so s 5 結言 本研究では,照 の照度測定を自動化する照度測定ロボッ の 発を行なった 実際に屋 環境において照度測定の実験を行い, 発したロボッ は十分な 度で各計測地点を辿り,障害物を回避する性能を有していることを示した 今 ,実際の施工現 での検証を行うことによって,さらに改善を行なっていく予定である 参考文献 ] 戸田 雄一郎,WeiHong Chin,新井 智之, 辻元 誠,谷口 和彦,久保田 直行,'照度測定の自動化に向けた自律移動ロボッ の知能化 ”,日本保全学会 第 5 回学 講演会, pp. 5 - 60,福岡国際会諏 , 20 8. 2] HOKUYO, http://www.hokuyo-aut.co.jp/ ] ノル 株式会社 T 0, https://www.konicaminolta.jp/instruments/support/disconti nued_products/t 0/index.html
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)