中性子束計測ハウジング向け渦電流探傷検証試験

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カテゴリ: 第15回
中性子束計測ハウジング向け渦電流探傷検証試験 Verification of Eddy Current Testing for In-Core Monitor Housing 東芝エネルギーシステムズ株式会社 小林 徳康 Noriyasu KOBAYASHI Member 東芝エネルギーシステムズ株式会社 森川 史和 Fumikazu MORIKAWA 東芝エネルギーシステムズ株式会社 藤田 友基 Tomoki FUJITA Member 東芝エネルギーシステムズ株式会社 松川 大介 Daisuke MATSUKAWA 東芝エネルギーシステムズ株式会社 糟谷 高志 Takashi KASUYA 東芝エネルギーシステムズ株式会社 土橋 健太郎 Kentaro TSUCHIHASHI Abstract We verified that the eddy current testing (ECT) has the enough detectability for defects on the heat affected zone (HAZ) in welding of in-core monitor (ICM) housing inner surfaces for a special inspection involved in long-term operation. It is presumed that a detectability of ECT is decreased because a HAZ of ICM housing inner surfaces is deformed by welding. We conducted full-scale defect detection tests using the simulated ICM housing specimen with the welded part, the rotational ECT probe and the probe moving equipment and confirmed that the ECT detected defects of 0.5 mm in depth despite the existence of inner surface deformations. Keywords: Non-destructive inspection, Eddy current testing, Heat affected zone, In-core monitor housing, Nuclear reactor 1.緒言 国内原子力発電プラントで40 年を超えて運転するために必要な運転期間延長認可申請では特別点検が要求されており、沸騰水型軽水炉における点検項目の一つとして、中性子束計測(ICM: In-Core Monitor)ハウジング内面溶接熱影響部における応力腐食割れに着目した渦電流探傷試験(ECT: Eddy Current Testing)による欠陥有無の確認がある[1]。ICM ハウジングは溶接により原子炉圧力容器(RPV: Reactor Pressure Vessel)底部の貫通孔に取り付けられている[2]。そのため、本部位では、溶接による内表面の変形が想定される。一般的に、ECT プローブと変形した内表面との間隔の変化はECT 探傷結果の中に欠陥による信号以外の擬似的な信号として現れ、欠陥検出性能に影響を与える[3][4]。そこで、溶接による変形を再現し、内面に模擬欠陥を付与した実規模ICM ハウジング模擬試験体とECT プローブ、およびICM ハウジング内面でプローブを走査させる駆動装置を試作し、ECT による欠陥検出性能を検証した。 連絡先:小林徳康、〒235-8523 横浜市磯子区新杉田町8、東芝エネルギーシステムズ株式会社 原子炉システム・量子応用技術開発部 E-mail: noriyasu.kobayashi@toshiba.co.jp 2.試験装置および方法 溶接試験体 ICM ハウジングの溶接部を模擬した試験体の概略図をFig. 1 に示す。ICM ハウジング模擬部は外径約50 mm、内径約40 mm、長さ約130 mm の円筒であり[2]、中央に肉盛座模擬部(検査性への大きな影響の無い範囲で入手性等を考慮して材質を選定)との溶接部、両端に実機長に合わせて伸長するためのフランジがある。また、内面溶接熱影響部周方向の向かい合う位置に、管軸方向(0°) と管軸から22.5°傾いた方向に伸びる長さ約10 mm、深さ約0.5 mm、幅約0.25 mm の二本の放電加工(EDM: Electrical Discharge Machining)スリットを有する。内面の径方向変形量は収縮、膨張共に約1 mm である。 Fig.1 Schematic of welded specimen 渦電流探傷プローブ ECT プローブとして、同一形状である二個のクロスコイル[4]を搭載した回転プローブ[3][5]を試作した。クロスコイルにおける欠陥検出感度は、コイルと欠陥長手方向との相対的な位置関係に依存する。そのため、被検査面に対する設置方向が45°異なる二個のコイルを、回転プローブ周方向の180°対向する位置に配置した。ICM ハウジング内面の変形を想定し、ばねでコイルを被検査面に押し付ける構造とした。 プローブ駆動装置 ICM ハウジング内面の溶接熱影響部へのアクセスは、上方(RPV 内側)からと下方(ペデスタル側)からのどちらも可能であるが、本試験では代表として後者を模擬したプローブ駆動装置を試作した(Fig. 2)。ICM ハウジングのフランジ模擬部に取り付けた対比試験片[4]の下側からECT プローブを挿入する。ECT プローブには、昇降台座上に着脱可能なポールが接続され、昇降台座の上下移動によりECT プローブをICM ハウジング内面で軸方向に動かす。ICM ハウジングのフランジ模擬部から被検査面である溶接部内面までの高さに応じてポールを追加接続する構造である。 Fig.2 Schematic of probe moving equipment 試験方法 Fig. 2 右図に示すように、ICM ハウジングフランジ模擬部の上部約4 m の位置に溶接試験体を取り付けて実規模スケールの探傷試験を行った。クロスコイルを自己誘導形自己比較方式[3][4]、周波数500 kHz で動作させ、探傷 試験指針に基づく模擬欠陥を付与した対比試験片を用いた基準感度、位相角設定の後[4]、溶接試験体の溶接部近傍内面の軸方向45 mm 範囲を全周にわたり探傷した。 3.試験結果 探傷試験結果のC スコープ表示[4]をFig. 3 に示す。溶接試験体に付与した二本のEDM スリットからの明確な指示を確認した。また、これらの指示の強度は、探傷試験指針が原則的な欠陥の疑いのある指示部の抽出基準と定める基準感度の20%以上であった[4]。以上の結果から、ICM ハウジング内面に約1 mmの変形が存在していても、長さ約10 mm、深さ約0.5 mm のEDM スリットをクロスコイルにて検出できることを確認した。 Fig.3 C scope image for EDM slits 4.結言 溶接による内表面の変形を考慮したICM ハウジング模擬試験体を用いてECT による実規模探傷試験を行い、ICM ハウジング内面溶接熱影響部に対してECT が十分な欠陥検出性能を有することを検証した。 参考文献 原子力規制委員会編、“実用発電用原子炉の運転期間延長認可申請に係る運用ガイド”、2013. 出町和之編、“原子力保全工学”、オーム社、2010. 日本非破壊検査協会編、“渦流探傷試験Ⅲ”、日本非破壊検査協会、2003. 日本電気協会原子力規格委員会編、“原子力発電所用 機器における渦電流探傷試験指針”、JEAG4217-2010、日本電気協会、2010. 日本電気協会原子力規格委員会編、“軽水型原子力発電所用蒸気発生器伝熱管の供用期間中検査における渦流探傷試験指針”、JEAG4208-2005、日本電気協会、2005.
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