九州電力(株)における検査制度変更への対応状況について

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カテゴリ: 第16回
九州電力(株)における検査制度変更への対応状況について Approach to new inspection framework in Kyushu Electric Power Co., Inc. 九州電力株式会社 笠毛誉士 Takashi KASAMO 会貝 九州電力株式会社 鈴木匠 Takumi SUZUKI 非会貝 It is planned to implement the new inspection framework for nuclear facilities from April 2020. Since the second half of 2017, we have built a project structure in which the head office and Genkai&Sendai power station are integrated, and have been involved in operators’ conferences, collecting information, sharing information internally, and dealing with issues. We introduce our action status against key challenges including CAP, PI and free access. Keywords: new inspection framework, corrective action program, performance indicator, immediate unfettered access 1 検査制度見直しの概要 2016 年1 月に行われたIAEA によるIRRS(総合規制評価サービス)において、検査制度を改善、簡素化すべきとの勧告が出され、2020 年4 月の導入に向けて、原子力規制庁、事業者双方が準備を進めている。 〇 規制機関の対応 ・原子力事業者等の責任を明確にする ・原子力事業者等の保安活動全般を包括的に検査する ・検査の結果に基づき総合的な評定を行い、次の検査に反映する ・米国の原子炉監視プロセス(ROP)を参考に検査制度見直しを検討 2 九州電力の準備状況 体制について 検査制度見直しに係る各種課題の解決に向け、以下の体制を構築している。 本店に、新検査制度担当部長職位を設置し、専任の副長1 名、担当1 名が全体取りまとめを実施し、課題に対応した各グループが検討を実施している。 発電所には、新検査制度次長職位を設置し、各課題に対応した各課が検討を実施している。 電力大での検討・調整には全体取りまとめが参画し、社内関係者に情報共有を行っている。 連絡先 笠毛 誉士、〒810-8720 福岡市中央区渡辺通二丁目1-82、九州電力株式会社原子力発電本部原子力設備グループ、E-mail:takashi_kasamo@kyuden.co.jp 各課題の検討状況について 新検査制度に円滑に対応するためには、事業者活動の更なる充実が必要となる。 以下の課題について充実を図っている。 ①事業者自ら間題を特定し、改善する活動を行う。 ⇒改善措置活動(CAP)の充実 ② 事業者が、安全上重要な設計要件を理解し、その設計要件と図書や現場の設備との関連を説明できる。 ⇒コンフィギュレーション管理(CM)による体系的な整理が必要 ③ パフォーマンス指標(PI)により、事業者が自らの活動を監視する。 ⇒事業者が主体的に測定、評価するためのガイドラインを整備 ④ 事業者でリスク情報を活用して安全上の影響等を検討する。 ⇒PRA モデルの高度化 ⑤ フリーアクセスの下で監視ができるよう準備する。 是正処置活動(CAP) 事業者が発電所における安全上の間題を自ら特定・解決し、重要な間題の再発・未然防止を行うことを目的として運用を開始する。 CAP の運用に当たっては、間題を見逃さないために、 広範囲の情報活用が効果的である一方、多くの情報を効率的に処理するための重要度に応じた対応が必要である。 運用のポイントとして、「低い閾値での報告」「広範囲の情報に基づく改善点の抽出」「リスク上の重要度を考慮 した是正処置の検討」の3 点を念頭に置いて制度構築を検討している。 制度構築にあたっては、これまで行ってきた、 適合・是正処置活動、予防処置活動、各課の巡視の気づきなど の対応を改善措置活動(CAP)として、一体的に運用する制度とする。 当社のCAP システムは、JANSI のCAP システムガイドラインをベースとして、2019 年10 月からの本運用開始を目標として、2018 年10 月から試運用を開始している。 コンフィギュレーション管理(CM) コンフィギュレーション管理(CM)の目的は、「3 つの要素(設計要件、施設構成情報、物理的構成)を、それぞれ均衡に保つことにより、プラントの諸活動を安全かつ適切に実施できることを保証する」と、JANSI のガイドラインに定義されている。 コンフィギュレーション管理の必要性 事業者としては、今までも設備改造時の図面の更新、確実な文書管理等により、施設管理情報と物理的構成の均衡は管理していた。 設計要件については、設置 可 書、工事計画書にて整理していたが、共通的な設計資料を充実し、更新する必要がある。 今回、3 要素の均衡を確実に実施するための、資料作成及び仕組みの構築を検討している。 規制側としては、設計適合性を検査することにより、発電所の諸活動の適切性を確認できるようになることから、事業者が確実なコンフィギュレーション管理を実施していることが検査制度の前提条件となる。 コンフィギュレーション管理の準備 ① 設計要件を明確化するために、重要度が高い系統・設備に対して設計基準文書(DBD)を作成している。 ② 設備と設計要件、設備と図書とを関連付けた情報整理を行うための機器マスターリストを整備している。 ③ 確実なコンフィギュレーション管理の視点を踏まえた業務プロセスの改善を検討し、規定文書の改正案を作成している。 パフォーマンス指標(PI) 自らの活動を監視・測定するためのパフォーマンス指 標を設定し、傾向分析、評価することで、自らのパフォ ーマンスを改善する。 パフォーマンス指標には、監視結果をNRA に報告する指標と、事業者自らが監視する指標がある。 当社では、 110 目のパフォーマンス指標を設定し、社内の活動の改善につなげていく。 PRA モデルの高度化 新検査制度においては、PRA 結果に基づくリスク上の重要度に応じて、「基本検査の対象選定」「安全実績指標の監視結果の評価」「検査指摘事 の重要度評価」が行われる。 事業者は、工事実施、点検計画の策定等の意思決定に PRA による計算結果を用いる。 現在、PRA モデルの高度化に取り組んでおり、2020 年度中の本格運用を目指している。 フリーアクセスに向けた環境整備 規制機関との意見交換 検査官がフリーアクセスでどういった資料をどのように確認していくのか、どういった会議にどのように する等、意見交換を実施した。 検査官が現場のフリーアクセスにおいて必要な手続き(鍵の貸し出し等)について意見交換を実施 今後、現場機器への影響防止などフリーアクセスの実施方法の課題について意見交換を実施予定 発電所の環境整備 検査官室に、検査官が自由に社内の規定文書の閲覧ができ、保管されている記録等の検索ができるパソコンを配備する。 検査官がパソコンで確認できる範囲、資料共有の方法など、社内ルールに基づくフリーアクセスの対応など、相互の理解促進、調整を継続して実施 する。 3 おわりに 今回、様々なプロセスの充実を図っているところであるが、これらの活動は原子力発電所の安全性を可視化する取り組みであり、可視化された各パラメータを確認することで、原子力発電所の安全に係るパフォーマンスを示すことができるようになる。新たな検査制度ではそれらのパフォーマンスを確認することが基本となるが、根本に諸活動の確実な管理があるため、確実なプロセスの整備と運用に努めていく。
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