加速度センサを用いた蒸気チューブリーク検出手法の開発
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カテゴリ: 第15回
加速度センサを用いた蒸気チューブリーク検出手法の開発
Development of detection method for a steam tube-leak in a boiler using acceleration sensors
日立製作所
古市
肇
Hajime FURUICHI
日立製作所
綿引
直久
Naohisa WATAHIKI
日立製作所
高橋
志郎
Shirou TAKAHASHI
日立製作所
小林
啓信
Hironobu KOBAYASHI
A steam tube-leak is a very critical issue in industrial plants because the steam jet from the damaged point immediately causes damage to the surrounding tubes. Therefore, an early detection of the tube leak is important to reduce the maintenance cost and the outage time. In this study, we conducted a detection test of the steam tube leak using acceleration sensors; they are expected to catch a radial tube-vibration induced by acoustic propagation. Through the test, we found that the sensor detected a radial tube-vibration induced by the steam leaking from a 1mm-hole with 67.2m-distance. Moreover, localization method of the tube leak was examined calculating cross-correlation of two time-series data.
Keywords: Thermal power station, Boiler, Steam, Tube leak, Leak detection, Acceleration sensor
1 緒言
火力・原子力発電所などの効率的で安定な運転のため には,機器の故障予知と異常検出により,プラントの緊急停止を回避することが重要である。特に,配管等の耐圧部で生じる蒸気漏洩(蒸気リーク)は,短時間に高温蒸気の噴流が周囲に拡大し二次被害をもたらす[1]ため,蒸気リーク発生の早期検出技術が求められる。
本研究では,加速度センサを用いた蒸気リークの検出手法を開発する目的で,蒸気リーク検出試験を実施した。加速度センサの利点は,同じ配管ライン上であれば遠方 で発生したリークを検知可能な点や,リーク位置を管経
上の の で し 早 特定可能な点である。しかし,加速度センサを蒸気リーク検出に適用した例はほぼ無い。そこで本研究では,火力発電ボイラ伝熱管の形状を模擬した配管ライン上で,模擬損傷口から最大2 MPa の蒸気を噴出 ,管内伝 の加速度センサによる検出有無を確認した。試験では,模擬損傷口の面積,蒸気圧力を ラ ー とし ,噴出流 に する 特 を
した。 た,2 の加速度センサから取 した時デー を用い,相互相関処理によるリーク位置特定手法を検証した。
L2L1
Fig.1 Schematic of leak detection test
2 蒸気リーク検出試験
配管 たは によ ー リークが発生した場合,高温高圧の蒸気が臨界流とし 損傷口から噴出する。この際,周囲の空気との摩擦などにより騒音(リーク音)が発生し[2],圧力脈 とし 管内を伝 する。本研究では,伝 した圧力 に する配管 方
(リーク )を,管表面に取り付けた加速度センサによ
定した。Fig.1 に蒸気リーク検出試験の をす。ボイラから 蒸気を し, 部・U 管をし リーク部に設けた模擬損傷口から大気へ放出する。配管は火力発電所ボイラの伝熱管仕様(外 60.7 mm, 厚4.2 mm,炭 鋼)を参考にした。加速度センサはリーク部を挟むように上・下流側に配置し,上流側センサはリ ーク位置から最大67.2 m の (管 )に設置した。
時には 圧 と流 で所定の圧力・流 に設定後,1 分間の定常デー を記録した。
入口蒸気圧力0.5,... 2.0 MPa,温度180,... 230 ℃の範囲で試験を実施した。模擬損傷口の形状は,リークの原 とれる 損傷を想定した穴状と, 損傷を想定したスリ ト状とし,それぞれ穴 Dh,スリ ト Ls の異なる試験体で 定した(Fig.2)。
Hole diameter Dh
である。実際の蒸気リーク発生時には短時間で損傷口が拡大するため,損傷口が小 いうちに検知することが二次被害の拡大を抑える鍵となる。同 から,最小穴 1 mm でもリーク無しの場合に し 1.9 の加速度が生じ おり,リークを検出可能であると判断できる。
3.2 リーク位置特定手法の検証結果
2 の加速度センサ間でリークが発生した場合,リーク位置とセンサ位置の関 を次式で表す。
L ? c?t
O.D.=60.7 mm
L ? 12 12
(2)
Fig.2 Photos of leak section
3 試験結果
3.1 リーク振動の評価結果
加速度の 定値からリーク レベル Xleak [-]を次式で
した。
L1 [m]は上流側センサとリーク位置との ,L12 [m]はセンサ間 ,c [m/s]は蒸気の音速,?t [s]はリーク の伝
時間差である。本研究では分割したデー 群の相互相関から?t を算出し,そのうち最も頻度の高い?t をリーク位置の 定値とし (2)式から を算出した。検証の結果,Fig.4 に すように, 定したリーク位置は実際のリーク位置 L1=21.5,36.8,52.0,67.2 m に し 差 10% 以内で一致した。以上から,既知である 2 のセンサ間
と検出した伝 時間差?t の からリーク位置をできる見通しを た。
80
Xleak ?
1f2df
f
?
60
(1)
Estimated distance [m]
f2 ? f1 140
|X1| [m/s2]はリーク 定結果の 幅スペクトルであり, 短時間フーリエ 換から算出した時間平均スペクトルである。|X0| [m/s2]は リーク無しの 幅スペクトルである。
f1,f2 [Hz]は 範囲を表す周波数であり,本研究ではリ
ーク を最も強 検出した範囲を 象とした。
100
Dh=10mm
L =150mm
Ls=200mm
Dh=1mm
Dh=5m
Ls=1
Ls=50mm
m
s
00mm
10
Xleak [-]
1.9
1 050100150200
Simulated damage area [mm2]
Fig.3 Leak vibration level versus simulated damage area
Fig.3 に,圧力2.0 MPa, 67.2 m における模擬損傷口面積に する 結果を す。面積増加に伴いリーク
レベルが増加するのは,蒸気の噴出 が増加したため
20
0
020406080
Actual distance [m]
Fig.4 Estimation results of leak location
4 結言
プラントで発生する蒸気リークの早期検出技術の開発 を目的とし,加速度センサによる検出試験を実施した。最大管 67.2 m・最小損傷口 1 mm でもリーク無しの場合の1.9 の加速度 幅を検出した。 したリーク位置は実際の位置と 10%以内の 差で一致した。以上から, 加速度センサの有用 を確認した。
参考文献
GJ. Jung, et al., 18th international conference on composite metals, TH43-5, Aug 21-26 2011, Jeju, Korea.
池上雄二,安全 騒音の予 と 策,騒音制御,
Vol51, No.2(1977),p55.