浜岡原子力発電所5号機における海水流入事象に係る原子炉圧力容器廻りの浄化・保管について

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カテゴリ: 第16回
浜岡原子力発電所 5 号機における海水流入事象に係る原子炉圧力容器廻りの浄化・保管について Cleanup and lay-up around reactor pressure vessel related to sea water intrusion event at Hamaoka Nuclear Power Station Unit 5 中部電力(株) 林栄昌 EishoHAYASHI Non-Member 中部電力(株) 進藤俊哉 ToshiyaSHINDO Member 中部電力(株) 今井富康 TomiyasuIMAI Non-Member 中部電力(株) 山本優介 YusukeYAMAMOTO Non-Member 中部電力(株) 向井紫乃 ShinoMUKAI Non-Member In the process of achieving cold shutdown of Hamaoka Nuclear Power Station Unit 5 on May 14, 2011, sea water flowed into the reactor and other equipment due to main condenser tube leakage. By clean-up operation, chloride ion concentration went below 10 ppm, the target prescribed to prevent crevice corrosion. On Dec, 2015, the component health assessment had summarized by surveys focusing on material corrosion, deposit and residual chloride. Since, each equipment have been under wet or dry lay-up condition. As a result of review of lay-up method by inner surface inspection, equipment under each lay-up condition have no significant corrosion and no significant deposit, as so far. The system health assessment conducted before re-start will confirm appropriateness of lay-up. Keywords: sea water intrusion, corrosion, lay-up method 1 緒言 1.1 浜岡原子力発電所5 号機(定格電気出力138 万kW) は、2011 年 5 月 14 10 時 15 に発電を 止し、 原子炉減圧操作中のところ(2011 年 5 月 14 12 時 59 原子炉末臨界に到達した後)、復水器の細管損傷により原子炉施設内に海水が混入する事象が発生した。当社では、海水混入が与えた影響について評価するため、健全性評価を実施している。 健全性評価では、海水の混入により影響を受けた機器全てに対して、機器レベルの健全性評価、プラント起動前に実施する系統レベルの健全性評価、プラント起動後に実施するプラントレベルの健全性評価の実施を計画している。このうちの機器レベルの健全性評価は完了(1.2 項参照)しており、この結果を、2015 年 5 月および 2015 年 12 月に原子力規制委員会に報告している[1],[2]。 連絡先: 林 栄昌、〒437-1695 静岡県御前崎市佐倉5561、中部電力株式会社浜岡原子力発電所 保修部保守管理課 E-mail: Hayashi.Eishou@chuden.co.jp 1.2 機器レベルの健全性評価結果 機器レベルの健全性評価は、各設備における点検 結果 結果を まえ、海水混入により生じた孔食・すきま腐食等の腐食に加え、付着物および 留塩 が機器に与える影響 ら評価を ている。Table1 および Table2 に示す機器については、腐食付着物により機器の要求機能に影響を及ぼす可能性があること ら、今後必要な措置を講じる。これら以外の機器については、機器の要求機能を満足しており、機器レベルの健全性に影響はないと評価して いる。また、 留する塩 が機器に与える影響に対して評価した結果、現 においては、腐食の発生又は進展を防止できる。 海水混入の影響を受けた各設備については、すきま腐食の発生又は進展を防止するために定めた水質浄化の目標値である塩化物イオン濃度(10ppm 以下)まで浄化した後に、系統レベルの健全性評価に向けて、系統に応じた保管対策を実施している。なお、機器レベルの健全性評価時に計画していた制御棒駆動機構ハウ‘ングと制御棒駆動機構アウタ チュブのすきま部の滞留水の置換作業については、2019 年 1 月に完了している。 本 では、各設備の浄化・保管 と保管 の確認結果について報告する。 Table1 Necessary for maintenance before re-start (example) RPV and RIN Reactor equipment Turbine equipment ?Main condenser tube ?Reactor internal pump ?Condensate ?Shroud ?Control rod drive pump(A,C) head bolt ?Reactor clean up water ?Condensate booster ?Control pump pump(A,C) Rod ?Pipe(Part of make up ?Pipe(Part of water system) Condensate and Feed Water System) Table2 Necessary for cleaning inside before re-start (example) Reactor equipment Turbine equipment ?Reactor Clean Up Water Filter Demineralizer ?Valve Reactor recirculation system, High Pressure Coolant Injection System etc) ?Main condenser ?Valve(Part of Condensate and Feed Water System) 2 各設備の浄化・保管状況について 機器レベルの健全性評価の結果を まえ、すきま腐食の発生又は進展を防止するために定めた水質浄化の目標値である塩化物イオン濃度(10ppm 以下) を満足するように各設備の保管対策を実施している。 各設備の保管状況 海水混入の影響を受けた各設備は、系統に応じて それぞれ乾燥保管又は満水保管に 類して保管対策を い、水質・環境管理を実施している(Table3)。また、乾燥保管を実施している系統のうち、特に 塩化物イオン濃度が高 た復水器を含む給復水系等に対しては、より良い保管環境とするため、乾式除湿機及び局所乾燥機を用いた強制乾燥保管を実施している。乾燥空気を通気することで、系統内の相対湿度(目標値 60%以下)を管理している。 Table3 Lay-up method of each equipment (example) Inner fluid Lay-up method System Liquid Dry Artificial Main condenser, Condensate and feed water system Natural S/C, Make up water system (around the pump) Wet (Full water) RPV, Reactor core isolation cooling Water, Reactor recirculation system Gas Dry Artifical Gland steam system, Moisture separator and heater Natural Main steam system, PCV(other than S/C) 保管状況の確認点検 保管対策を実施している各設備については、保管 対策の適切性確認と内面 の把握を目的として保管 の確認点検を実施している。確認点検は、保管 態および環境毎(内包流体、海水混入時の塩化物イオン濃度)に 類し、毎年各 類 ら代表系統を選定して内面目視点検を う。また、内面目視点検に先立ち、乾燥保管の系統については弁および配管内部のスミヤ法による塩 付着量の確認をする。満水保管の系統については、水抜き時にサンプリングによる水質 析を い、塩化物イオン濃度等の留成 を確認する。 なお、機器レベルの健全性評価で有意な腐食 付着物が確認されていない系統(海水混入時の塩化物イオン濃度 40ppm 末満)は除外する。 保管状況の確認点検結果 原子炉圧力容器廻りの機器について Fig.1 は復水系弁(乾燥保管)、Fig.2 は原子炉冷却 再循環系(満水保管)の保管 の確認結果の一例を示す。内面目視点検の結果、有意な腐食は確認されていない。弁内部の一部に確認した付着物は、手入れにより除去可能なものであり、前回の点検(機器レベルの健全性評価時)と比較しても、有意な腐食等の異常は認められていない。乾燥保管の復水系では弁および配管内部の塩 付着量の確認の結果、水質浄化の目標値である塩化物イオン濃度(10ppm 以下)を満足していた。また、満水保管の原子炉冷 却 再循環系では、系統 留水のサンプリングによる水質 析の結果、塩化物イオン濃度は目標値以下であり、保管中における有意な塩化物イオンの溶出はな た。これまで、2017・2018 年度に保管の確認点検を実施しており、保管 態における差異はなく、点検結果 ら各設備の保管対策は適切であると判断している。 原子炉圧力容器について 原子炉圧力容器については、炉内の 留塩 を把握するため、2016 年 10 月 ら原子炉冷却 浄化系による原子炉水の浄化を 止しており、原子炉圧力容器と炉内構造物のすきま部等 ら溶出する微量な海水由来成 を確認している。水質 析の結果、塩化物イオン濃度は水質浄化の目標値 10ppm 以下(最大 15ppb 程度)を推移している。 なお、制御棒駆動機構ハウ‘ングと制御棒駆動機構アウタ チュ ブのすきま部の滞留水の置換作業は完了した。置換作業と 調してハウ‘ング内面目視点検を実施した結果、一部変色 付着物等が確認された(Fig.3)ものの、洗浄 手入れにより除去可能なものであり、機器の異常は認められていない。 Fig.1 Inspection result (Condensate system, dry lay-up) Fig.2 Inspection result (Reactor recirculation system, wet lay-up) Fig.3 Inspection result (Inner surface of CRD housing) 4 まとめ 海水混入の影響を受けた各設備については、機器レベルの健全性評価に基づき、乾燥保管または満水保管による保管対策を実施している。機器レベルの健全性評価以降、保管 の確認点検を実施した結果、有意な腐食 付着物は認められていない。 5 今後の計画 各設備の保管対策を するとともに、保管の確認点検を定期的に実施していく。機器レベルの健全性評価の結果、腐食 付着物により機器の要求機能に影響を及ぼす可能性があると評価した一部の機器については、取替等を進めていく。また、浜岡5 号機の供用開始に向け、配管内のフラッシングを十 に い、クラッドの低減を う計画であり、本対応結果を今後に反映する予定である。 参考文献 中部電力株式会社、 中部電力株式会社浜岡原子力発電所第5号機における復水器細管損傷 の影響の調査について(指示)」に対する報告について(第 3 回中間報告)”、平成 27 年 5 月 中部電力株式会社、 中部電力株式会社浜岡原子力発電所第5号機における復水器細管損傷 の影響の調査について(指示)」に対する報告について(第 4 回中間報告)”、平成 27 年 12 月
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