海外原子力発電所の長期運転に関する対応動向について

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カテゴリ: 第15回
海外原子力発電所の長期運転に関する動向について Status of Long time operation in overseas nuclear power plant 日本エヌ・ユー・エス株式会社日本エヌ・ユー・エス株式会社 大久保友輝夫中村理恵 Yukio OHKUBO Rie NAKAMURA Member Member Abstract Now, 20% of the world’s nuclear power plants are operating beyond 40 years. By 2020, about 30% of the world’s nuclear fleet will be 40 years old. Long time operation (LTO) of existing plant is a key objective in many countries. We need to understand anticipate and mitigate the degradation in nuclear power plants. IAEA have made the guidelines about long time operation and opened PLIM conference once in 5years.In the United States, industry and NRC/DOE have started research program on the subsequent license renewal to maintain NPPs as high performance electrical source, its program is possible to operate beyond 60 years. Keywords: License Renewal, Degradation, Long time operation, LTO, beyond 60, 1.海外原子力発電所の運転状況 世界の原子力発電所は、1960 年代から建設が始まり、1970 年代、1980 年代と各国にて建設ラッシュとなった。日本が有している軽水炉である沸騰水型原子炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)に加えて、世界では、ロシア型加圧水型原子炉(VVER)、ガス冷却炉、カナダ型重水炉(CANDU)等、多くの種類の原子炉が運転している。 また、近年は、AP1000、欧州型PWR(EPR)といった大型新型炉の新規建設が進んでいる状況である。 世界の長期運転に関する規制枠組みは、大きく分けて2 つあり、一つ目が米国を代表とする運転認可申請による運転延長であり、もう一つは、フランス等の欧州で主流である定期安全レビュー(PSR)による運転延長である。 者は、運転認可 時に認可期限が められており、その期限を超える場合に延長申請を行う方法である。後者は10 年毎にプラントの健全性を確認することにより、その後の10 年の運転を認める方法である。米国では、運転認可期間を40 年と定めているが、これは技術的な観点での制限ではなく、原価焼却期間、独占禁止法の面から 定められた期間である。 2000 年代に入ると、各国原子力プラントで、当初の運転認可期間または設計寿命である40 年(VVER 等の一部のプラントでは30 年)を超えるプラントが現れた。電力需要の増加に対応するにはこれらの発電所の運転継続が必要であるため、1990 年代後半になると、各国規制機関は長期運転(LTO)を実施するための規制枠組みを構築した。 現在では、事業者が経年劣化によるプラントの安全性 への影響を適切に管理・制御できることを示すことにより、多くのプラントが運転認可/設計寿命期間を超えて運転されている。国際原子力機関(IAEA)によると、2018年5 月時点、世界で450 基の原子炉が運転しており、そのう 全 の 20 である91 基は40 年を超て運転を継続している(図1参照)。 IAEA が集計したデータによると、40 年を超える運転を実施しているプラントの計画外のプラント停止数が、極端に少ないことがわかる。これは40 年超運転に向けて各プラントにて改造工事、機器 替等を実施したからであると考えられる(図2 参照)。 連絡先 大久保 友輝夫、〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-5-25 日本エヌ・ユー・エス株式会社 エネルキ,ー技術ユニットE-mail okubo-y@janus.co.jp 40 年超プラント プラント数 ;91 基 以上の経年劣化管理レビュー(AMR)表から構成されている。また、SS No.26(SALTO;Safe Long Time Operation)には、IAEA によるプラントの長期運転に向けた準備状況に対するピアレビューの要領が示されている。 運転期間 図1 運転期間別のプラント数 図3 LTO に関するIAEA 発行ガイダンス 停止回数/年 図 運転期間別の 外プラント 数 .IAEA のLTO に関する活動 LTO に関するIAEA ガイダンス類 IAEA はLTO に関する を行っており、その一つとして、ガイダンス類の作成・整備が挙げられる。主なガイダンスとしては、以下の3 つがある。(図3 参照) ?Safety Guide SSG-48 LTO のための経年劣化管理(ドラフト ) ?SRS No.82 国際 GALL 書 (2015 年) ?SS No.26 SALTO ガイドライン)(2014 年) Safety Guide SSG-48 には、原子力発電所の経年劣化管理とLTO についての基本的な考え方や方針が示されており、SRS No.82(IGALL;International Generic Aging lessons Learned)は、水冷却炉を対象とした最新の経年劣化管理をまとめた文書であり、84 の経年劣化管理プログラム(AMP)、28 の期間限定経年劣化解析(TLAA)、2100 行 IGALL 1990 年後半以降、運転開始時からの経年劣化管理の重要性が唱えられていたため、IAEA にてIGALL の策定が検討された。 2008 年から2 年間、IGALL の策定方針、骨子、計画について検討が行われた。2010 年9 月に運営グループ会議が行われ、AMR 表、AMP の の一部の について、参加加盟国の合意が られ、2010 年12 月より特別予算プロジェクトが開始された。その後、更に技術的に細かい議論を行うため、WG1(機械)、WG2(電気・計装)、WG3(土木構造物)に分かれて作業を行うこととなり、各 ー ンググループで作成したAMR 表、AMP、TLAA 等を運営グループ会議にて諮り、SRS No.82 を2015 年4 月に発行した。 このIGALL はリビング文書として、少なくとも5 年毎に更新することとなっている。2016~2017 年にかけて、IGALL Phase3 会議が開催され、その内容を反映したSRS No.82 の改 は2018 年内に発行される みである。さらに、2018 年より開始されたPhase 4 では、これまで のWG1~WG3 に加えて、WG4(規制)、WG5(長期停止・建設長期化・ 止 開始までのNPP における経年劣化管理)が追加されている。 SALTO ピアレビュー IAEA は、2003 年から軽水炉の長期運転の安全面に関するSALTO プログラムを実施しているが、その一部とし て、各国の要請に応じて特定のプラントに対する長期運転の安全面のレビューを行なっている。これはSALTO ピアレビュー・サービスを呼ばれている。 このSALTO レビューを受けるメリットとして、以下が挙げられる。 ?IAEA 基準に対する適合性がレビューされる。 ?IAEA 基準に適合するための改善事項の勧 を受けることができる。 ?発電所の運転 やスタッフが、原子力安全や 経年化管理の専門家と議論する機会が られる。 ?公衆の信頼性を めることができる。 ?運転認可期間更新あるいは長期運転の手続きとして 用できる。 また、SALTO ピアレビューは4 段階に分けて実施され、 細は以下の りである。0ステップ1; IAEA の安全基準及びSALTO レビューの方法に関する ークシ ップあるいはセ ナーの実施。0ステップ2; Pre-SALTO ッシ ンの実施。長期運転期間に入る2 ~7 年 に実施する。 8 日間のレビュー。0ステップ3; SALTO ッシ ンの実施。このSALTO ッシ ンのチームには、外部の専門家が含まれる。専門家は、インタビュー、サイトのウォークダウン、提出された文書のレビュー、事業者との議論、勧 及び示唆の提示を行なう。 8 日間のレビュー。 0ステップ4; SALTO フォローアップ ッシ ンの実施。ステップ3 のSALTO ッシ ンで 出された 点に関して、それらが のように改善されたか、または改善策が進 しているかをフォローアップする。4 日間のレビュー。 また、SALTO ピアレビューでは、以下の分野A~F の 6 つの観点でレビューが実施される。 ・分野A;組織及び役割、現行許認可 ース、構成/ 更管理 ・分野B;スコーピング、スクリーニング及びLTO に関するプログラム ・分野C;機械品についての、経年劣化管理レビュー、AMP レビュー及びTLAA レビュー ・分野D;電気及び計装制御機器についての、経年劣化 管理レビュー、AMP レビュー及びTLAA レビュ ・分野E;土木構造物についての、経年劣化管理レビュー、AMP レビュー及びTLAA レビュー ・分野F;長期運転のための人的リソース、力量及び知識の管理 PLIM 会議の開催 IAEA は、原子力発電所の寿命管理に関する国際会議(PLIM 会議)を5 年に一回開催している。この会議は、第1 回が2002 年にハンガリーのブタペストで、第2 回が2007 年に中国の上海で、第3 回が2012 年に米国ユタ州ソルトレイクシティで開催され、第4 回が2017 年11 月にフランスのリヨンで開催された。この第4 回PLIM 会議 では、IAEA 加盟国39 カ国、4 組織から327 人が参加者として参加し(展示、サポートスタッフを含めると 420 人)、10 の基 、 110 の発表、28 のポスター発表が行われた。 このPLIM 会議の目的は以下とされている。 ・原子力発電所の安全運転におけるPLIM の役割を強する。 ・経年劣化管理及びPLIM プログラムの適用に関する国内・国際的な政策、規制施策、並びに安全文化についての 交換の場を提供する。 ・経年劣化、経年劣化管理、並びに長期運転の安全性の側面に関連する重要な要素及び良好事例を提供する。 ・評価手法を含めたPLIM プログラムの経済的影響を特定する。 ・IAEA 加盟国が各国PLIM プログラムに最新の技術を反映することを する。 以下に、PLIM2017 での基 の 目を示す。 ?事 に対する長期運転プログラムの ?フランスの長期運転に対する許認可手法 ?プラントライフマネジメント及び長期運転に対する IAEA の貢献 ?PLM 及びLTO の経済性評価 ?強化されたPSR に基 く規制アプローチ ?第一事 からの を含むライフサイクルマネジメント ?状態保全及びオンライン監視による安全強化管理の改善 米国の認可更新に関する活動 40 年を超える運転認可更新(LR) 米国の原子力発電所の運転認可は、1954 年原子力法により、40 年までの期間に対して発給すると定められているが、認可期間満了後はこれを更新してもよいとされている。米国原子力規制委 会(NRC)は、40 年の運転認可が満了しても運転を続けることができるよう規制の整備を進め、原子力発電所の運転認可更新(LR)に関する規則(10CFR Part 54)を作成した。 米国では、1998 年のCalvert Cliffs-発電所でのLR 申請を初め、その後多くのプラントが更新申請をし、60 年までの更新認可を した。現在は、運転プラント99 基中、89 基が60 年運転までの更新認可を し、5 基が審査中である。 LR に関する代表的なガイドラインとして、NUREG-1800 運転認可更新申請の標準審査指針 (SRP-LR)Rev.2 とNUREG-1801 経年劣化に関する知 書(GALL) Rev.2 があり、 者はNRC 審査官 の審査指針で、後者は一般的な経年劣化メカニズム、AMP、TLAA をまとめたものである。 60 年を超える2 目の運転認可更新(SLR) 米国では、更新認可を したプラントが89 基あり、現在は2 回目の運転認可更新(SLR)に関する対応を、NRC、EPRI、産業界組織NEI、各事業者にて進めている。このSLR は、運転期間を60 年から80 年に延長するものである。 SLR に関する規制ガイダンスとして、2017 年7 月10 日にNRC が、NUREG-2191 GALL-SLR 、NUREG-2192 SRP-SLR を公表した。2018 年5 月時点では、以下の り2 プラントがSLR を申請し、6 プラントがSLR 申請の意思表明をしている。 0SLR 申請プラント;2 基 Turkey Point-3,4 (PWR) (2018 年1 月30 日申請) 0SLR 申請を表明;6 基 Surry-1,2(PWR)、Peach Bottom-2,3(BWR)、North Anna-1,2(PWR) また、SLR に関する検討及び研究は現在も継続して実施されている。以下に、NRC の検討内容、研究事項を示す。 RPV 及び炉内構造物の劣化 ?ステンレス鋼及び溶接部に対する照射誘起応力腐食割れ(IASCC)と破壊靱性 ? オーステナイト系ステンレス鋼の破壊靱性 ? 止 中であるスペインZorita 発電所から入手した、 フルエンス環境(50dap)に晒されたステンレス鋼プレートに対する試験 ? Zorita 発電所から入手したステンレス鋼溶接部の破壊靱性 RPV の中性子照射脆化 ?フルエンス環境におけるデータ収集 ?中性子照射脆化のさらなるメカニズムの解明 ?米国産業界全 の中性子照射脆化のデータの蓄積計画策定 コンクリート構造物の劣化 コンクリート構造物の劣化事象の内、運転の長期化に伴い特に発生が懸念されるアルカリシリカ反応(ASR)に対して、以下の対応を進めている。 ?設計基準条 での、ASR によるコンクリートの構造性能が受ける影響の評価 ?ASR とコンクリート骨材の関連性の研究 ?米国エネルギ省(DOE)とテネシー大学にてアルカリシリカ反応の共同研究を実施 また放射線照射によるコンクリート劣化について、主に 炉材を用いることにより以下の対応を進めている。 ?米国の 止 中プラントの 材を用いて放射線の影響を大きく受けている部分をサンプリングし、試験を実施 ?EPRI との協力により、コンクリートに対する放射線影響の解析マージンの最適化を検討 ケーブル劣化と状態監視 ?温、放射線及び 湿度環境下で経年劣化したケーブルサンプルに対して、試験を実施する予定。試験は経年劣化したケーブルだけでなく、新しいケーブルでも実施し、結果を比較。 ?ケーブルに対して80 年運転までの健全性の評価方法を検討 ?ケーブルの経年劣化に対して、原子力以外の産 業界のAMP が原子力発電所に適用できるかの検討 まとめ 世界の原子力発電所の 20 は、40 年を超える運転期間に入っている。IAEA では、長期運転に関するガイダンスの整備、ピアレビュー等を行い、原子力発電所の安全な長期運転を している。一方、米国では、60 年を超える運転に対する準備を進めており、昨年NRC からSLR に関するガイドラインが公表された。2018 年1 月30 日にTurkey Point-3,4 がSLR の申請を行った。 参考文献 IAEA PRIS(Power Reactor Information System), “Operational Reactors by Age”. Ki-Sig Kang, PLIM Technical Head Division of NENP Department of Nuclear Energy,"IAEA Contributions to Plant Life Management and Long Term Operation", 23/10/2018. IAEA, “Safety Reports SeriesNo.82 Ageing Management for Nuclear Power Plants: International Generic Ageing Lessons Learned”, 2015. IAEA, “Services Series 26 SALTO Peer Review Guidelines”, 2014 The Atomic Energy Act of 1954. NUREG-1801, Vol.1, Rev.2, “Generic Aging Lessons Learned (GALL) Report; Summary”, December 2010.
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