浜岡原子力発電所1,2号の廃止措置工事状況
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カテゴリ: 第17回
浜岡原子力発電所1,2号の廃止措置工事状況
Hamaoka Nuclear Power Plant Units1 and 2 decommissioning work status
中部電力(株)浜岡原子力発電所
廃止措置部 廃止措置工事課
三谷 和己
KazumiMITANI
中部電力(株)浜岡原子力発電所廃止措置部 廃止措置工事課
金子 貴行
TakayukiKANEKO
中部電力(株)浜岡原子力発電所廃止措置部 廃止措置工事課
加藤 綾一
RyouichiKATOU
中部電力(株)浜岡原子力発電所廃止措置部 廃止措置計画課
田村 武士
TakeshiTAMURA
Abstract
Hamaoka Nuclear Power Plant Units 1 and 2 have been decommissioned since 2009. The decommissioning of the plants are currently in the process of dismantling the facilities around the reactor area as the second stage.
We will introduce various decommissioning works being carry out at these plants.
Keywords: decommissioning, Hamaoka NPP,
1.はじめに
浜岡原子力発電所1,2号機は、2009年から廃止措置を進めている。浜岡原子力発電所の廃止措置は、第1段階:解体工事準備、第2段階:原子炉領域周辺設備の解体、 第3段階:原子炉領域解体、第4段階:建屋等の解体という工程で進めており、現在は、第2段階として原子炉領域周辺設備の解体を実施中である。
解体を計画的に遂行するためには、解体品の保管場所 の選定や保管場所までの移動等、保全とは異なる視点での計画が必要となる。
今回、当発電所にて実施している様々な廃止措置工事 を紹介すると共に、工夫点や、現場での苦労について講演 させていただく。
2.復水タンク解体工事について
1 号機復水タンク解体工事は、廃止措置開始以降初めてとなる放射性物質による汚染がある屋外タ ンクを解体した。
連絡先:三谷和己
〒437-1695 静岡県御前崎市佐倉 5561
中部電力(株)浜岡原子力発電所
E-mail: Mitani.Kazumi@chuden.co.jp
復水タンクは、内部を除染することにより放射能レベ ルが極めて低くなるため、国の認可・確認を受けること で再利用することができるクリアランス制度を適用する こととした。また、本工事にあたっては、トヨタ式かい ぜんの導入により、解体物の保管場所がひっ迫している 建屋内への保管を回避する方法を検討した。具体的に は、タンクを同一形状で切断し、屋外で容器へ直接収納 し、バッチ処理による途中保管を解消した。また、タン ク切断~容器収納作業においては、タンク切断体制を2 班化するとともに、解体品の容器収納では、使用機材、 工具の再選定を行い、作業時間短縮・工程の同期化を図 ることで作業効率の向上を図った。
図1 復水タンク解体工事現場状況
3.原子炉容器炉内化学除染について
化学除染の目的
廃止措置対象の施設の一部には、原子炉運転中に発生した冷却材中の腐食生成物が原子炉炉心部で放射化され、施設の機器・配管等の内面に付着して残存して汚染された物がある。「原子炉容器」、「原子炉冷却材浄化系、余熱除去系の一部の機器」はこれらの汚染が蓄積し、線量当量率上昇の要因となっている。このため、これらの設備の解体撤去に先立ち、現場作業員および周辺公衆の被ばく低減等の観点から系統除染を実施した。
図2 除染対象範囲(黄色部)
化学除染の概要
酸化と還元の除染を繰り返すことにより、酸化被膜を溶解し、酸化被膜内に取り込まれた放射性物質を除去する。
図3 除染プロセスおよび除染結果例
図4 原子炉容器炉内除染の結果(線量率)
4.今後の原子炉領域解体にむけて
現在、廃止措置第3段階である原子炉容器の解体撤去工事を主とする原子炉領域の解体に向けて、汚染状況の調査結果等を踏まえ、解体撤去工法及び手順の検討を進めている。現在までの第1~2段階にて実施してきている設備の解体撤去で培った経験を活かし、安全かつ合理的で適切な解体撤去工事を実施していく。
図5 格納容器上蓋の切断の様子(黄破線部で切断)