治工具製作による保全現場カイゼンの取組み

公開日:
カテゴリ: 第16回
治工具製作による保全現場カイゼンの取組み Kaizen effort of maintenance in nuclear related facility by tool production 日本原燃(株) 山本 好郎 Yoshirou YAMAMOTO 日本原燃(株) 濱田 智幸 Tomoyuki HAMADA 日本原燃(株) 北村 隆基 Takaki KITAMURA 六ヶ所エンジニアリング(株) 松木 亮 Ryo MATSUKI 六ヶ所エンジニアリング(株) 下久保哲兵 Teppei SHIMOKUBO 六ヶ所エンジニアリング(株) 家口英克 Hidekatsu KAGUCHI Member There are various conditions (radiation controlled area, special equipment, special rule and so on) in nuclear related facilities. When we work there, we are always required to achieve high level of safety, reliability and efficiency. We self-manufacture tools to eliminate unreasonableness (Muri), unprofit (Muda), unevenness (Mura) and also improve efficiency. Always aiming the improvement of safety and productivity is one of the important missions as a cooperating company. In this report, we introduce several cases of Kaizen effort of maintenance by tool production Keywords: Kaizen, Improvement, Tools, Maintenance, Efficiency 1 はじめに 原子力関連施設における設備保全の現場では、放射線管理区域等での特殊な作業環境および設計による様々な リスクがある中で、常に高いレベルの安全か 確実な作業が求められる。また、特殊な条件下におけるリスク低減を り 、安全性および生産性の向上、最大 をることが第一線の現場を担う地元企業としての使命である。本稿では、自社製作の治工具を適用した保全現場のカイゼン取組み事例を紹介する。 2 保全現場における取組み 原子力関連施設の放射線管理区域では、被ばく低減、汚染防止および廃棄物量低減等、通常の作業現場とは異 なる特有の要求事項が様々ある。これら条件下において、 保全現場のリスク低減、安全性および生産性の向上を同時実現するためには、作業者自身による不安全箇所およ びムリ・ムダ・ムラの排除、作業原単位の磨きこみ等の取組みが有効となる。 六ヶ所エンジニアリングでは、保全業務に加え自社工場での製作加工事業を行っているため、保全現場の声を直接製品に反映し具現 することができる。これら専用治工具を保全現場のカイゼン実施のツールとして適用す 連絡先I松木 亮、〒039-3212 青森県上北郡六ヶ所村尾駁字上尾駁22-258、六ヶ所エンジニアリング株式会社E-mail: ryo_matsuki@r-e-c.co.jp ることで、リスク低減、安全性および生産性の向上をっている。 3 治工具適用によるカイゼン事例 ドラム缶 固縛専用治工具 業務分析とカイゼンポイント 六ヶ所 理施設において、放射線管理区域 における各種作業によって発生した雑固体*1 は、廃棄施設へ払い出すまでの間、火災防止の観点から金属容器であるドラ ム缶を使用し一時保管しており、転倒防止のため複数本で固縛する運用を採っている。廃棄施設への払い出しまでには、雑固体の出し入れの都度、ドラム缶蓋の開閉が 行われるが、固縛によりドラム缶の蓋同士が干渉し、作業の都度、固縛を解除・ 固縛する必要があった。 *1I作業エリア等から廃棄を目的として払い出された紙、布、フィルタ、ポンプ等 検討と効果 蓋開閉を容易にすることを目的として、固縛時に必要最小限の空間を確保する治工具の製作を行った。蓋開閉 に使用するレバーバンドの最大稼働範囲が20mm、ドラム缶蓋のカール部分がJIS 規格より20.4mm、ドラム缶自体の製作公差が士2mm あり、空間の最大値は製作公差がお互い最小の場合の合計で、62.8mm::': 63mm となる。それに治工具自体の製作公差+2mm を考慮すると最終的な空間の最大値は65mm になる(Fig.1)。 材 は 性の強いス ンレス とし、形状は固縛時の安定性を確保するため、ドラム缶本体 の 線にったり沿うようにした。さらに接触 に板状マグネトを採用することで、治工具自体に自立機能を持たせ、取り扱いを容易にした。 作業に適用し検証した結果、(Fig2,3)、一定の空間が確保されたことで、固縛を解かなくても蓋の開閉が可能に なり、固縛自体の安定 、固縛作業の効率 が確認できた。それに加え、確保した空間により指等が挟まれる安全上のリスクも低減できた。 を目的として、装置母材に干渉しない治工具を製作した。材 は 性を考慮しス ンレス を 定した。治工具先 部 は、V ンと装置母材とのすき間2mm 2mm に収まるよう1mm 1mm にした。治工具先 部形状は、エンドミル?2.0mm および?4.0mm を使用しフライス にて特殊な か 状に加工し、 の原理を生かし熟練者でも初心者でも扱えるようにした(Fig.5)。V ン収 ド部分の形状が単 では不安定なため、固定して取り外しするための置台を、丸棒の旋 加工により製作した。板厚2mm のフラ トバーから切り出した治工具は、薄く短く、使用の際に持ちづらいため、ハンドルを付け、厚みを2mm から12mm へ、長さを80mm から180mm へ増やし快適に使用できるようにした(Fig.6)。作業に適用し検証した結果、故障リスクの低減、作業 以外のムダな時間の削減に加え、作業者を ぶことなく実作業の均一 を ることができた。 Almost no spaceEnough space for operation Fig.3 Scene of attached tools V パッキン取り外し用治工具 業務分析とカイゼンポイント 六ヶ所 理施設の放射線管理区域では、 部被ばく のため空 捕集装置(Fig.4)により空 中の放射性物質を捕集し測定している。本装置の捕集部分にあるろ紙をおさえるV ンは、消耗品のため取り外し用治工具を使用し定期的に交換を実施しているが、従来治工具では、V ンを取り出す爪部分が に れ、都度交換する必要があった。また、取り出し時に加える力の加減によっては、爪部分でアルミ製の装置母材を傷 けるおそれがあり、傷により装置とろ紙の密着性が失われ 空 捕集不足が発生し、 部被ばくの過小 に ながるおそれがあった。 検討と効果 装置母材を傷 けず、爪部分の交換を極力なくすこと Fig.5 New tool for exchangeFig.6 Scene of exchange 4 まとめ 保全現場のカイゼン活動において、現場作業者のニーズ に製作加工 を生かすことは、放射線管理区域特有の要求事項にも応え、リスクの低減、安全性及び生産性の向上を ることに有効であることが確認できた。原子力関連施設を支える企業の一員として、保全業務の安全性 および生産性の最大 を目指し、 も 々、カイゼンに取り組んでいく。 5 謝辞 本稿の講演に至るまでの間、 本保全学会 東北・北海道支部の会員各位ならびに東北大学渡退教授、遊佐准教授をはじめ、多くの皆様に多大なご協力をいただいた。 ここに記して謝意を表す。
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)