小集団活動による技術者育成の取組み

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カテゴリ: 第17回
小集団活動による技術者育成の取組み 青森日揮プランテック(株) 関川 貴祐 Takahiro SEKIKAWA 青森日揮プランテック(株) 船橋 朱音 Akane FUNAHASHI 青森日揮プランテック(株) 舘 誠 Makoto TATE 青森日揮プランテック(株) 菊池 利幸 Toshiyuki KIKUCHI 青森日揮プランテック(株) 佐藤 進哉 Shinya SATOMember 小集団活動とは品質管理を起源とする活動であり、当社では技術者育成のために継続的に取り組んでいる。業務の繁忙期でも効率的な教育・訓練を行うことを目的に、個人の空いた時間を活用することができる e-ラーニング教材の作成を試み、新たな技術力向上のためのツールを確立することができた。 キーワード:小集団活動、品質管理、e-ラーニング、計装点検 1.はじめに 小集団活動は、1960 年代前半に日本科学技術連盟が提唱したQC サークル活動が始まりである。QC は品質管理(Quality Control)の略語であり、小集団活動は品質管理を起源としている[1]。 当社の企業理念として「地元に根付き機器メーカに依存せず、技術者を育成し、自らの手で顧客設備の運転・保守業務を行う企業になる」を掲げ、「安全、品質、力量等の向上」、「プレゼン能力の向上」、「顧客との交流」を目的に2010 年から小集団活動を継続的に実施してきている。 本稿において、小集団活動による技術者育成の取り組みを報告する。 2.小集団活動の取り組み テーマの経緯 当社では、現場で必要な技術の継承および技術力向 上を目的とし、現場業務以外の時間にもポンプや計器 類の点検訓練が行えるように訓練装置(図1)を製作し、 2017 年から教育プログラムを立ち上げ運用を開始した。 連絡先:佐藤 進哉 〒039-3212 青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字弥栄平1-89 青森日揮プランテック株式会社総務部 E-mail:sato.shinya1@jgc.com 講師はチームリーダーおよび熟練技術者とし、現場に即した訓練が可能な教育プログラムを確立した。 しかしその一方で、現場業務の繁忙期には教育・訓練をする時間が十分に確保できない問題が浮き彫りとなった。そこで『業務の空いた時間にいつでも教育および訓練することできる』というコンセプトを念頭におき、講師がいない状況下であっても自身の空いた時間にいつでも教育・訓練できるプログラムの構築を検討した。 検討の結果、訓練装置を用いた計器点検/試験方法をe-ラーニング教材として作成することとした。現場業務に即した流れで動画や説明等を盛り込み、また作成においても若年層(経験年数1 年~3 年)を中心に進めていくことで、点検/試験の知識がより深まることが期待できるため、e-ラーニング教材の作成を小集団活動のテーマとして活動していくことにした。 図1 訓練装置外観 e-ラーニングの検討と作成 e-ラーニング教材は、若年層向けに作成することを前提に実施要領を検討した。対象計器として、実際の業務においてよく扱われる圧力指示計、差圧伝送器、液位計、熱電対/測温抵抗体、温度スイッチの5 種類を選定し、講習内容としては計器点検に必要な工具、測定器等の準備から、現場における基本動作、対象計器の確認、指差呼称、隔離確認等も取り入れ、より実務に近いものとした。さらにヒューマンエラーおよび不適合防止の観点から、良い事例、悪い事例等(図2)を比較できるよう考慮し、撮影時においても実際の手元の様子(図3)に焦点を置いて、静止画、動画、文章、音声を組み合わせたe-ラーニング教材を作成することとした。 図2 圧力指示計点検時の良い事例、悪い事例 していくこと、より分かりやすく簡潔な教材に質を上げていくことが挙げられる。計器点検以外にも制御盤内PLC ユニットを用いたシーケンス試験、リレー試験器等に対応していくことで、若年層の幅広い知識と技術の習得に繋がる。また定期的に教材のレビューを行うことで、部内全体で小集団活動の進捗を管理すると共に、改善点を共有し反映させていくことが必要である。 図4 e-ラーニング活用の様子 4.まとめ 3.成果 図3 測定時の手元の様子 当社の小集団活動の取り組みについて一例を紹介した。訓練装置製作以降、自社で技術訓練するプログラムは確 立されたが、業務状況より教育および訓練の時間を確保 できない部分があったことから、今回はさらにもう一歩 進めることで業務の空いた時間にいつでも教育および訓 練できるツールとしてe-ラーニングの教材を確立するこ とができた。今後も計器種別を増やす等、改善・改良を 繰り返し、OJT だけではなくより充実した環境で教育・ 訓練ができるように小集団活動を通じて当社の技術力向 上に取り組んでいきたい。 小集団活動にて作成したe-ラーニング教材は部内でレビューを行い、分かりにくい点や改善が必要な点を全体で共有し修正を重ねた。完成した教材について社内で運用レビューを行った。その結果、「点検の流れが理解しやすく計器に対しての理解が深まった」、「動画で実際の手元の様子や測定器の画面の様子が視覚的にわかりやす い」、等の反響が得られた。実際にe-ラーニング教材を活用している様子を図4 に示す。 既存の教育資料では訓練装置を用いて教育することを前提としていたため、机上で学習する際に現場での点検の流れや測定機器の操作方法がイメージしにくいという欠点があったが、動画、説明を盛り込んだe-ラーニング形式の教材としたことでそれらの問題点が改善された。今後の課題としては、e-ラーニング教材の対象を増や 参考文献 [1] 小川慎一、“問題解決のための協働:日本企業における小集団活動の歴史”、日本労働研究雑誌、62(7)、2020、pp.7-13.
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