回転機のグリス補給作業最適化の取り組み

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カテゴリ: 第16回
回転機のグリス補給作業最適化の取り組み Activity of avoiding over lubrication for grease lubricated bearings (株)中部プラントサービス 久冨 敬太 Keita Hisatomi Member (株)中部プラントサービス 鈴木 邦広 Kunihiro Suzuki Member (株)中部プラントサービス 平尾 剛 Tuyoshi Hirao Member (株)中部プラントサービス 田内 章仁 Akihito Tanai Member (株)中部プラントサービス 神保 吉秀 Yoshihide Jimbo Member (株)中部プラントサービス 瀬戸脇 浩友 Hirotomo Setowaki Member (株)中部プラントサービス 市川 義浩 Yoshihiro Ichikawa Member Grease lubricated bearings needs adding grease periodically for keeping good condition. Sometimes bearings have abnormal temperature with over lubrication. We can avoid the situation with herring rotation sound of bearings on the greasing. That sound turn normal sound when bearings have appropriate lubrication. At the time we stop adding grease. As a result, we can avoid over lubrication. However, feeling of the sound are different with each person. Therefore we used visualization of sounds technology for the greasing. As a result, we have come to be able to perform proper lubrication management. Keywords: Grease lubricated bearings, temperature, rotation sound, visualization, lubrication management 1 緒言 回転 のグリス潤滑 軸受けのグリスは時 の経過と共に潤滑 能が低下するため、定期的に定量のグリスを補給するが、古いグリスが経路の詰まりなどで適切に排 出されず過充填になり軸受け温度が異常に 昇することがある。軸受け温度が異常に 昇すると き きなどの危険がある。これを防止するためグリスを徐々に注入し 軸受けの潤滑状態が良くなったところで注入をやめる方 法がある。潤滑状態の良否は軸受けの回転音を聴診棒で 聞いて判断するが、聴音の感覚は個 差があり判断基準と言えるものがない。そこで我々は聴音を可視化できる 技術を使い、回転音の変化から潤滑状態が良くなったこ とが目視で判断できることを確かめ、その結果を日本保 全学会第7回学術講演会で発表した。 その後、聴音の可視化技術を流用して軸受け回転音を可視化し潤滑状態の良否を判断できる装置を製作した。装置をグリス補給作業に使用し、良好な結果を得ている。 今回は装置の使用状況を発表する。 連絡先 久冨敬太、〒437-1695 静岡県御前崎市佐倉5561 浜岡原子力発電所内 保修センター第1棟 株 会社中部プラントサービス 原子力本部技術部 直営・技術課 電話: 0537-85-4347 E-mail: k-hisatomi@chubuplant.co.jp 2 軸受け回転音の可視化 可視化の方法 軸受けの回転音を可視化する方法は の可聴範囲である20~20kHz に対応した加速度ピックアップで軸受けの振動値を採取し、音響解析ソフトで音として再 現する方法を採用している。装置の概要を図1に示す。 モニター では音の が の変化としてグラフ化され、目視で音の変化を確認することができる。 図1 軸受け音可視化装置 可視化装置 前述の技術を流用し、軸受け音の変化が読み取りやすいようにソフトウェアを作成して装置化した。モニター画面を図2に示す。音圧レベルdB は の変化、音の高さHz は縦軸の高さで表される。横軸は測定経過時 が表される。軸受け音はモニターの左端から右に向かって動きながらリアルタイムでグラフ化される。グラフは任意の時 で固定表示することができる。グリス補給前の軸受け回転音を①に固定表示させておき、グリスを補給する ことによって軸受け回転音がどのように変化したか②で確認することができる。回転音が変化し、一定の音に落ち着いたところで軸受けの潤滑状態が良好になったと判断しグリス補給を止める。その後、10 秒程度軸受け音を観察し、変化がなければ作業を終了する。観察中に軸受け音が きくなった場合には再びグリスを補給し回転音が一定の音に落ち着くまで補給作業を繰り返す。 回転音の値はグリス補給前後の最 dB 値とその を図3のように表示することができる。 値は履歴が折れ線グラフで表され傾向を監視できる。 ①グリス補給開始 ②回転音変化 ①グリス補給前 (固定) ②グリス補給中 (右に向かって動く) 図4 大型空調ファン回転音変化 図2 軸受け音可視化装置モニター画面 図3 軸受け音数値データ 3 グリス補給作業の結果 軸受け回転音の変化状況 製作した装置を使ってグリス補給を行った 器の軸受け回転音の変化を図4に示す。この回転音は 型の空調ファンの軸受け回転音である。①でグリス補給を開始し ②で回転音が変化したため補給を停止した。軸受け音の きさはグリスを補給することにより56.92dB から45.43dB に低下した。軸受け温度は補給前が39.9C、補給後が40.0Cであり、異常な温度 昇は見られなかった。 良好な潤滑状態の判断基準 グリス補給により低下して一定な音となった回転音の きさを蓄積し平均した。前述の 型ファンにおいては表1の4 回平均値が40.32dB であった。このファンにおいては40dB 近が正常な軸受け音の基準値として判断していけば良いと考える。 測定日 注入後最大dB値 2018/5/15 45.43 2018/8/7 31.93 2018/11/15 46.15 2019/2/21 37.77 表1 大型空調ファンのグリス補給後の軸受け音dB 値 4 結言 軸受けの聴音によるグリス補給の良否判断は経験と勘 に頼ってきたが、軸受け音を可視化することにより誰で も同じように判断ができると考える。現場には勘に頼る 判断が種々あるが、今後も基準を明確にする活動を行い 保全の品質向 に寄与して行きたい。 参考文献 [1] 神保吉秀 他 「音響診断によるグリス潤滑 軸受の適切な保守管理」 日本保全学会 第7回学術講演会論文集 (2010)
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