東海再処理施設における遠隔操作によるせん断粉末等の回収作業への取組みについて
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カテゴリ: 第15回
東海再処理施設における遠隔操作によるせん断粉末等の 回収作業への取組みについて
Clean-up activity of spent fuel powder (UO2 powder) in mechanical treatment cell at Tokai reprocessing plant
(国)日本原子力研究開発機構
古内 雄太
Yuta FURUUCHI
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(国)日本原子力研究開発機構
佐藤 信二
Shinji SATOU
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(国)日本原子力研究開発機構
谷田部仁史
Hitoshi YATABE
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横田 知
Satoru YOKOTA
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山田 貴史
Takashi YAMADA
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矢作 文男
Fumio YAHAGI
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照沼 宏隆
Hirotaka TERUNUMA
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所武司
Takeshi TOKORO
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高橋 晃浩
Akihiro TAKAHASHI
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飯嶋 静香
Shizuka IIJIMA
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(国)日本原子力研究開発機構
鈴木 一之
Kazuyuki SUZUKI
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Clean-up activity of spent fuel powder (UO2 powder etc.) in mechanical treatment cell was performed for the purpose of the preparation of decommissioning at TRP.For the clean-up activity, we selected an inexpensive vacuum cleaner and made tools, that was improved taking into account of use by means of a crane or a manipulator in the high dose cell, and applied it after a mock-up test.We report our experience and knowledge provided through this clean-up activity.
Keywords Tokai reprocessing plant, spent fuel powder, clean-up activity, shearing machine, distributor
1 緒言
東海再処理施設では、廃止措置の移向に伴い、新たな使用済燃料の再処理を行わないことになった。原子力施設の廃止措置は、施設内の 性物 の除去、 除 、設備・機器の解体・撤去、除 、管理区域の解除、施設の解体といった で られるのが一 的で る。
再処理施設のせん断工程では、使用済燃料のせん断処理において、使用済燃料の被覆管内のペレ ト(ウラン酸化物等)や被覆管の一部が砕けて粉末等(以下「せん断粉末等」という)が生じる。このた 、これまでの使用済燃料のせん断処理に伴い(図 1)、せん断粉末等の一部がせん断機及び分配器の内部に滞留し、せん断機から取り出された使用済燃料の端末部を廃菓物として廃菓物収納缶(350L)に収納する際に、端末部に付着していたせん断粉末等が飛散しセル内の床に滞留していた。
このた 、施設内の 性物 の除去の準備として、セル内、せん断機及び分配器内に滞留しているせん断粉末等の回収を目的として、せん断工程のク ーン プ作業を計画した。セル内は線量率(約250mSv/h)が高く、
連絡先 古内 雄太、〒319-1194 茨城県那珂郡東海村村松4-33、(国)日 原子力研究開発機構
E-mail: furuuchi.yuta@jaea.go.jp
遠隔操作機器(マニプレータ、クレーン及びパワーマニプレータ)による取扱いが可能な回収装置や治具類が新たに必要となり、安全性、保守性、コスト等の多角的な観点から検討したうえで市販品より選定し、遠隔操作性を高 るた の ・ ク プを 行い 機に適用した。
では、せん断工程のク ーン プ作業 の取みとして行った回収装置等の選定・ 及び一連の作業で得られた知見を報告する。
図1 東海再処理施設の使用済燃料の再処理量
1
2 使用済燃料をせん断処理するセルの概要
当該セルは、使用済燃料をせん断機により小片(約4cm) にせん断し、分配器から3 基 る溶解槽 装荷するセルで る。セル内には、これらの操作に必要なマニプレータ、クレーン及びパワーマニプレータが設置されており、セル廻りのセル窓から目視により確認しながら遠隔操作を行う。(図2)
図2 使用済燃料をせん断するセルの概要(断面図)
せん断機(図3)は、チョ プ・ ンド・ ーチ法(Chop and Leach)と呼ばれる機械的にせん断する方法を採用している。せん断機内に水平に置かれた使用済燃料は、プ
シャで送出し、ばらけないようにギャグで押さえつけ、せん断刃を前後して小片(約4cm)にせん断するといった工程を 100 回程 繰り返して 1 体の使用済燃料のせん断処理を行う ので る。
せん断された小片は分配器を経て溶解槽 装荷され、使用済燃料の上下に取付けられている端末部は、せん断機から取出され、廃菓物収納缶に廃菓される。
図3 せん断機
3 せん断粉末等の回収装置等の選定・改良
せん断粉末等は、セル内のカメラによる調査により、主に分配器周辺のセル床面に滞留していること、過去の保守 績や機器の形状より、せん断機及び分配器内に滞
留していることを確認しており、これらの結果から滞留しているせん断粉末の量を推定したうえで、作業に用いる回収装置、治具類及び収納容器の選定・ を行った。
(図4)
図4 せん断粉末等の回収場所及び回収装置等の配置(平面図)
3 1 回収装置等の選定
回収装置は、せん断粉末の物性(密 、粒径、非磁性)を踏まえて吸引式の掃除機とし、せん断粉末の取出し方式(ドラム式、紙パ ク式、サイクロン式)の異なる掃除機(市販品)から選定することとした。
選定に際しては、回収装置とせん断粉末等の回収場所との距離が約 5m と長いこと(既設設備が干渉し、回収装置の設置場所が限定される。)、せん断粉末を効率よく回収するた 、①目詰まりしづらく十分な回収性が ること、②マニプレータにより操作でき、装置からせん断粉末等を容易に取り出せること、③廃菓物収納缶(350L)に収納できること、④ 線等の影響による故障に備え、安価に保守・交換ができること等を考慮し、市場調査及び 際に性能確認を行う等して比較し、回収性及びフィルタに付着した粉末等の除去性が最 いドラム式の掃除機を選定した。
また、治具類及び収納容器について 、セル内における使用条件等を踏まえ、安価な市販品より選定した。
3 2 回収装置の改良
回収装置は、①遠隔操作性を高 る取 ・吊環を追設、②電源ケーフルの材 を難燃性に変更、③転倒防止用金具を追加した。また、マニプレータによる操作性及び回収性を高 るた 、④吸引ノズルの試作品を製作し ク プを経て、形状変更等を行った。
の都 、模擬せん断粉末(せん断粉末の粒径く32"'2000?m[1]に近い ルタル)等を用いた吸引性 の確認試験を行い、回収性や遠隔操作性等を確認した。この結果、さらに遠隔操作性を高 る必要が生じたた
、⑤吸引ノズル長さの最適化をはじ 、⑥回収ホース脱着部、⑦ ータヘ ド部にマニプレータにより把持できる吊環等を追設、及び⑧作動電流監視盤の追加等の を加えた。(図5)
【 改 良 前 】(メーカカタログより抜粋)
【 改 良 後 】
図6 治具類及び収納容器の改良
3 4 モックアップによる操作性確認
した回収装置等は、セル外のクレーンを用いた
ク プによりセル内での操作性の確認及び操作員の操作技量向上のた の訓練を行った。また、セル内搬入後は、遠隔操作機器による操作 や監視ポイントの再確認を行い、操作員の理解 を高 たうえで、 機に適用した。
4 せん断粉末等の回収作業
せん断粉末等の回収作業は、平成 28 年 4 月"'平成 29
年 7 月( 作業期間 約7 ヶ月)に行った。回収場所はセル窓から視認できないた 、セル内カメラからの映像を ニタで見ながら、セル床面、分配器及びせん断機の
に回収作業を 施した。
(1)セル床には、回収装置で回収できない大きな被覆管等が ったことから、スクレーパ式や収集 ーム式の治具類で収集した後、せん断粉末等を回収装置のノズルにより回収した。(図7)
いては、回収装置により回収した。
せん断機について 分解し、構成部品及び内部のせん断粉末等を回収装置により回収した。
せん断粉末等の回収作業は、当初予定していた 作業期間内に、セル床面、分配器及びせん断機内に滞留していたせん断粉末等を、回収装置等により不具合 なく効率的に回収できた。(図8)
作業を通して、セル内の線量率は作業前の約250mSv/h から約100 mSv/h に低減した。
せん断粉末等の回収場所(セル断面図)
① 分配器周辺のセル床面
② 分配器のケーシング内
③ 分解した分配器の構成部品
図8 せん断粉末等の回収作業前後の状況
5 回収装置等の改良に対する評価
回収装置は、専用の装置等を製作することなく、市販品を することでセル内の作業に適用したた 、
線等の影響により故障の懸念が ったが、故障や不具合が発生することなく、高線量下(約250mSv/h)で
1 年程 は対応できることが確認できた。
回収装置の吸引ノズルがセル内機器等に干渉し近づけない場所では、治具類を使い分けて、せん断粉末等を吸引ノズルに近づけたうえで、回収装置により回収することで対応した。
回収装置の回収タンク内のせん断粉末等の回収量、ノズル先端及びフィルタ の詰まりの発生については、追設した作動電流監視盤の作動電流値の上昇により確認した。
回収装置の回収タンクには取 を取付け、タンク内の粉末等を移し替える操作を ク プにより繰り返し確認したことで、回収装置からトレイ せん断粉末を移し替える際には飛散することはなかった。回収したせん断粉末は、トレイ の移し替えを行った後、重量を吊秤により計量し、記録及び表示することにより、せん断粉末の回収量を適切に管理した。
収納容器の蓋には、クレーンで吊り上げた際にトレイが落下しないよう、ロ ク機構を設けたことで、安全に移動できた。
6 結言
0 作業は、回収装置等を設計・製作せずに市販品を必要最大限で適用することにより、低コスト(購入費用 100 万円程 )に抑えた。
0 回収装置は遠隔操作性等を考慮し、市販品を及び ク プを経て 機に適用することにより、セル内の遠隔機器として使用できた。
0 分配器等の分解方法等、セル内の保守について操作員 の技術伝承が図れた。
0 セル内は、施設の廃止 考慮した設計が必要でり、施設の廃止 考慮し、定期的な清掃及び除 を行いながら管理する必要が る。
参考文献
[1]日 原子力学会 2007 年秋の大会予 集、北九州、
2007「ふげんMOX 使用済燃料再処理試験」