日本原燃における是正処置プログラム(CAP)の現状について
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カテゴリ: 第16回
日本原燃における是正処置プログラム(CAP)の現状について
Current situation of corrective action program in Japan Nuclear Fuel Limited
日本原燃(株)
田村
陽一
YoichiTAMURA
Member
日本原燃(株)
上野
一雄
KazuoUENO
日本原燃(株)
鈴木
克彦
KatsuhikoSUZUKI
In JNFL, Corrective Action Program (hereinafter, CAP) system will be applied as activity to improve the safety. The CAP system is one of the activities based on new inspection system to be enforced in 2020, JNFL has already started the CAP system as trial in 2018.
Keywords: Rokkasho, corrective action program, JNFL, PICo, Screening, condition report
はじめに
日本原燃では、安全性を向上させるための活動として、是正処置プログラム(Corrective Action Program System CAP システムという の を めている。CAP システムは、2020 年度から施行される新検査制度に基づく活動の柱の一つであり、日本原燃では 2018 年度より試運用を始めている。
本稿では、現在行っている日本原燃の CAP システムの概要について述べる。
連絡先:田村 陽一、〒039-3212 青森県上北郡六ヶ所村大字尾駁字沖付 4-108、安全・品質本部 品質保証部
E-mail: youichi.tamura@jnfl.co.jp
日本原燃の概要
日本原燃は、図1に示す原子燃料サイクル施設を構成する、ウラン濃縮工場、再処理工場、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター、MOX 燃料工場および低レベル放射性廃棄物埋設センターを青森県六ヶ所村に立地している。
ウラン濃縮工場では、気体状のウラン化合物を遠心分離することでウラン 235 の割合を 3~5%程度に高めている。
再処理工場は、全国の原子カ発電所で発生した使用済燃料を受 れた俊、せん断・溶解・分離・精製・脱硝工程を経てウラン酸化物粉末およびウラン・プルトニウム混合酸化物粉末を製造する。再処理を行う過程で発生する核分裂生成物を含む高レベル廃液
は、ガラスとともに溶融した俊、ガラス固化体として保管する。
また、同じく再処理を行う過程で発生する低レベル廃液、低レベル廃棄物は、濃縮、圧縮、焼却等の処理を行い、低レベル固体廃棄物とする。
MOX 燃料工場は、再処理工場にて製造したウラン・プルトニウム酸化物粉末を原料として、MOX 燃料に加工する。
低レベル放射性廃棄物埋設センターでは、原子カ発電所の運転に伴い発生した低レベル放射性廃棄物を埋設処分する。
図1 原子燃料サイクル
新検査制度について
2020 年 4 月に施行される新検査制度は、日本の規制制度に対し、安全上重要なことに集中し、効率的に実施すべきであるとの国際原子カ機関(International Atomic Energy Agency IAEA という の勧告に基づくものである。
そのため、新検査制度は事業者が主体的・自主的に安全性の向上を行う前提であり、事業者は規制要求のほか、様々な業務遂行にあたり、自ら問題を特定し、解決することが求められている。
CAP システムの概要
事業者が全ての活動において、問題の特定と解決(改善 に取り組むことは、効果的な安全性向上には必要不可欠であり、この改善の取り組みを業務プロセスモデル化したものが図2 に示すCAP システムである。
図2 CAP システム基本モデル
CAP システムは、米国において事業者のパフォーマンス向上の取り組み(安全のための文化の推 ・醸成の度合い を示すために考案されたものであり、米国事業者・関係協会による 20 年 上の調整と実際の活動を経て企業をより良い方向へ くための活動として非常に優れた仕組みとなっている。
日本原燃における CAP システム
日本原燃では、CAP システムの定義を「当社に従
事または関係するすべての者が、通常と異なるまたは期待と異なる状況・状態等の報告を奨励・実践し、これにより得た情報から問題を認識・特定し、各個人または各組織が問題やトラブルの末然防止、早期発見およびその問題への処置ならびに再発防止に努める自主的な改善活動のことをいう」として、図 3 のシステムを構築することとした。
図 3 日本原燃におけるCAP システムフロー
5 1 コンディションレポート
CAP システムにおいて、状態報告とはスタートとなる重要な部分であり、重大な問題へ発展する可能性を有する案件、本来とは異なる状態、すべき行動から外れた行動や結果、気づいた問題、要改善点等、多種多様な情報を収集することが求められる。
そのため、情報収集ツールとして、コンディションレポート(Condition Report 、CR という という仕組みを構築した。
日本原燃の CR では、問題発生の有無を問わず、問題のある行動や状態、 展、結果についてどのような些細な情報でも報告することとしており、その報告内容には、発生日時・発生場所・報告者所属および氏名を記載する。
この報告を基に、CR 受付担当者が受付を実施する。受付では、報告された内容を確認し、報告内容が不明確な場合は、本人への確認および報告内容の修正を実施する。
その俊、俊述するスクリーニング・コーディング
対象となった CR はパフォーマンス改善推 者へ送られ、取られた対策等を追記し、社内で公開される。社内で公開された CR は登録者 外でも見ることができ、どのような CR が登録され対 されている
か分かる仕組みとなっている。
なお、CR を公開する際に報告内容に固有名詞が含まれる場合は、それらを代名詞に置き換える等、個人の特定は出来ない処置を行っている。
5 2 パフォーマンス改善推進者
日本原燃では、CAP システムに係るパフォーマン
ス改善活動に関して新たな職位としてパフォーマンス改善推 者(Performance Improvement Coordinator
PICo という を各室部所に設置している。PICo の職務として、報告事項のスクリーニング、重要性 の高い問題への処置方針の策定、原因分析、対策立案の内容および対処に当たっての調整・支援・指 の実施、パフォーマンス改善会議(Performance Improvement Meeting PIM という の開催要求、パフォーマンス改善活動の実施状況のPIM への報告がある。
また、業務の専門性が高い部門では、それぞれ専門 PICo を任命し、専門性の高い報告内容のスクリーニングを実施している。
さらに、PICo および専門 PICo の業務を補佐する立場として PICo サポーターを任命し、スクリーニング・コーディングの補佐を可能として効率的なスクリーニングを実施している。
5 3 スクリーニング
PICo、専門 PICo および PICo サポーターから構成
されるスクリーニングチームが CR に登録された全ての情報から、CAQ を特定し、「是正処置」またはNon-CAQ とし、「マネジメント活動」あるいは「処置不要(モニタリングのみ)」のいずれかに割り当てる。このチームは、重要性の高い問題を是正処置のプロセスに割り当てて、対策から完了まで追跡させる重要な役割を担う。
5 4 コーディング
コーディングとは、CR に報告された全ての事象に
項目を符番し、傾向を把握し、重要な問題が顕在化する前に、共通的な問題や組織の弱点を特定するこ
とである。コーディンについては、現在、大・中・ 小の 3 項目に分けて、大項目 7 項目、中項目は、大
項目 4 つに対し 50 項目を、小項目は中項目 50 項目
に対して 384 項目を検 している。
表 1 はコーディング時に使用する大・中・小項目の検 例である。
CR に事象報告があった場合に、スクリーニング時点で大・中・小項目それぞれ最も当てはまるものを1 項目ずつ選択し符番することを考えている。
表 1 コーディング項目検討例
5 5 CAQ の特定
CAQ とは、品質に影響を及ぼす状態のことであり、
この品質とは、原子カ安全(健康、環境、セキュリティおよび品質を含む と捉える。
スクリーニングで CAQ を特定する際には、表 2
を用いて実施する。
表 2 にて原因の不確かさ、原子カ安全へのリスク
を実施し、そのレベルに じて CAQ、Non-CAQ
の判定および是正範囲を決定する。
表 2 調査レベルの考え方
5 6 パフォーマンス改善会議
PIM は、PICo の実施したスクリーニング結果のう
ち、重要な案件を重点的に審議することが主な役割であり、そのほか、スクリーンニング内容の確認、是正処置に対する対処法、対処計画の策定、処置俊の結果の確認および承認を実施する。
PIM メンバーは、当該 CR 内容を確認し、対 方針を明確にするとともに、重要な案件の処置が遅滞している案件、処置完了俊の CR 末 カ案件等を発見した場合には、事実確認を行い遅滞の無い様にフォローをする必要がある。
5 7 処置
処置は大きく 2 つに分かれ、是正処置とマネジメ
ント活動が存在する。
是正処置では、状態の是正または原因の是正としている。それらは PIM で製品および原子カ安全への影響が高い問題を把握し、それらの重要度等から対策の優先順位を決め、処置を行う。
また、原因の是正が必要と判断されたものについては、再発防止のため、重要な問題の原因を除去する処置をとり、処置の完了確認まで確実に追跡する。
マネジメント活動では、活動の対象が重要性の低い軽微な問題であるが数が多い傾向となることから、マネージャーは、個々の事案に じて、ラインで適切に対 することが求められる。
そのため、対策は問題の重要度に見合った範囲とし、処理についてはマネージャーが重要性に じた優先度で実施する。
また、問題のフォローアップ中に、その問題が重要な問題に該当すると判断された場合には、基の状態報告を再度スクリーニングするか、新たに状態報告を作成し、確実に是正処置に組み れられるようにする。
5 8 傾向分析
コーディングにより項目を符番された CR は、類
似事象ごとに抽出が可能となることで、頻発傾向の分析を実施できる。これにより、各部門の弱点を洗い出し、パフォーマンス指標の把握を行えると考えており、分析俊、弱点への対策案を策定、計画、実施する予定である。
また、PIM にて対 状況の追跡を実施することで、継続的な改善を図ることを目指す。
5 9 パフォーマンス評価、監視および測定
弱点への対策が実施されており、それが合理的に
なされているか、CAP システム全体の適切性をレビューし、CAP システムの適切な運用を継続するための方法を検 する必要がある。