東海第二発電所 高経年化技術評価(40年目)の概要

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カテゴリ: 第16回
東海第二発電所高経年化技術評価(40年目)の概要 Aging management technical evaluation for Tokai No.2 Power Station 日本原子力発電 中間 昌平 Shohei NAKAMA Member 日本原子力発電 竹内 公人 Kimihito TAKEUCHI Member 日本原子力発電 林田 貴一 Kiichi HAYASIDA Member Abstract Tokai No.2 Power Station (Tokai II) has been operated more than 40-years. At 2018,we completed the 40-years Aging Management Technical Evaluation (AMTE), and concluded that most of component and structure would be maintained their integrity by continued existing preservation activities, even assuming the operation period of 60 years. In this paper, we explain several technical matters that were particularly discussed at AMTE, for example, thermal aging for casting stainless steel, neutron irradiation embrittlement, and seismic study for shroud support with SCC. Keywords: Aging management technical evaluation, SCC, Thermal aging, Neutron irradiation embrittlement 1 はじめに 東海第二発電所については,1978 年11 月28 日に営業運転を開始し,2018 年11 月に運転開始後40 年を迎えた。原子力発電所ではこれまでプラントの安全・安定運転 を確保するために,電気事業法に基づく定期検査により, 技術基準への適合を確認するとともに,保守管理における機器・構造物の保全活動として,点検や予防保全活動等に取組んでいる。加えて,最新の技術的知見の反映や国内外で経験された事故・故障の再発防止対策等についても, 必要に応じ実施している。 東海第二発電所では,運転開始後40 年を迎え,プラントを構成する機器・構造物に対し,運転延長ガイド[1], 経年化対策実施ガイド[2], 経年化対策審査ガイド[3],学会標準2008 版[4],学会標準2010 追補版[5],学会標準2011 追補版[6]等に基づき,60 年間の運転及び冷温停止を仮定し,想定される経年劣化事象に関する技術評価を実施した。劣化状況評価等にあたっては,運転延長ガイドに基づき実施した特別点検の結果を踏まえて評価した。 〒110-0005 東京都台東区上野五丁目2 番1 号日本原子力発電株 会社 発電管理室 E-mail: shouhei-nakama@japc.co.jp 2 劣化状況評価 劣化状況評価では東海第二発電所の安全上重要な機器等を評価対象機器とした。具体的には,「発電用軽水型原子炉施設の安全機能の重要度分類に関する審査指針(平成2 年8 月30 日原子力安全委員会決定)」において定義されるクラス 1,2 及び 3 の機能を有する機器・構造物並びに「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備の基準に関する規則(2013 年原子力規制委員会規則第5 号)第43 第2 項に規定される常設重大事故等対処設備」に属する機器・構造物とし,配管計装線図等を基に抽出した。 劣化状況評価を行うにあたっては,選定された評価対象機器の 用 (型 , , 等)をし,原子力規制委員会の「実用発電用原子炉施設における 経年化対策実施ガイド」に示された「低サイクル疲労」,「中性子照射脆化」,「照射誘起型応力腐食割れ」, 「2 相ステンレス鋼の熱時効」,「電気・計装品の絶縁低下」及び「コンクリートの強度低下及び遮蔽能力低下」に加え,学会標準2008 版[4] 附属書A(規定)の「経年劣化メカニズムまとめ表」を参 に,経年劣化事象と部位の組み合わせを抽出した。 本報告では,審査の過程において議論になった,低サ イクル疲労,中性子照射脆化,照射誘起型応力腐食割 れ,2相ステンレス鋼の熱時効及びシュラウドサポートの耐震安全性評価について報告する。 低サイクル疲労 原子炉圧力容器ノズル等の疲労割れについては,疲労評価(接液部は を )を行い,疲労累積係数が1を下回ることを確認した。評価に当たり,今後の過渡回数についてはこれまでの実績に1 5倍の裕度を して推定した。トラ ルによる中間停止期間を き,理想的な運転を行った場合であっても1 38倍の裕度があり,妥当と判断した。 図1 推定過渡回数の考え方 中性子照射脆化 原子炉圧力容器,部位(板 やノズル)を溶接で接合しており,部位ごとに関連温度移行量に影響する化学成分量が違うため,部位ごとの関連温度移行量を規格に基づき算出し,最低 用温度を評価する。 これまでは最低 用温度は監視試験片の結果(監視試 験片を取り出した の化学成分量に基づき算出)していたが,今回の評価では,より保守的な評価を得るために, 炉心領域にある全ての部位について最低 用温度を算出した。 評価の結果を表1 に示す。60 年時点での最低 用温度は低圧 水ノズルが一番 く 53 と算出され, 分に管理可能な温度であることを確認した。 今後,最低 用温度はその時点での照射量より算出し, 耐圧・漏えい試験時等,原子炉圧力容器を加圧する際は, その温度を下回らないよう運用する。 なお,特別点検において,炉心領域部に有意な欠陥は認められな ったこと ら,本評価が保守的なものであることを確認することができた。 表1 原子炉圧力容器の関連温度の予測 (まとめ) 照射誘起型応力腐食割れ ステンレス鋼については,中性子照射を受けると 自身の靱性が低下し,応力腐食割れの感受性が まるとともに, 周辺の腐食 が水の放射線分解により厳しくなることが知られている。照射誘起型応力腐食割れは,この状況に引張応力場が重畳されると粒界型応力腐食割れを生じる現象である。BWR 下のステンレス鋼については,比較的 い累積照射量(5X1020 n/cm2(E > 1 MeV)(以下,「しきい照射量」という))を受けた場合に応力腐食割れの感受性への影響が現れると えられている。 しきい照射量以上の中性子照射量を受ける炉内構造物は,炉心シュラウド中間胴及び上部格子板 (グリッドプレート)である。 応力の観点で,ピーニングによる残留応力改善が行われている炉心シュラウド外面溶接部,溶接による残留応力がない中間胴母 部及び溶接部がない上部格子版(グリッドプレート)については,照射誘起型応力腐食割れが発生する可能性はないと評価した。 残留応力改善を図っていない炉心シュラウド内面溶接部について,照射誘起型応力腐食割れの発生の可能性があるため,割れの発生を前提とした評価を行うこととした。 国内外 ら集めたデータの下限包絡線を破壊靱性評価 とした。評価 より60年時点の破壊靱性 は 75MPa m と評価した。 溶接残留応力を すると,応力 大係数は板 中 で となる見 みであるが,表面は大きな となり,周方向の亀裂進展が想定されること及び周方向に複数の応力腐食割れの発生を想定し,内表面全周亀裂を想定した評価を実施した。 規格に基づく解析により応力 大係数を算出し,規格に基づき60年時点の照射量に応じて算出した破壊靱性 と比較した結果,応力 大係数は破壊靱性 を下回るため,不安定破壊に至らない。 図2. 亀裂 定 評価 ル 図3. 内面全周亀裂を 定した評価による応力拡大係数 2相ステンレス鋼の熱時効 2相ステンレス鋼(鋳鋼)は比較的 い温度で長時間用すると,フェライト相中に合金成分であるCr 相が析出し,フェライト相を硬化させ靱性が低下する。この事象はフェライト量が多く 用温度が いほど,その 向が顕著になる。 評価対象は以下のとおりとした。0 用温度が250 以上 0 用 が2 相ステンレス鋼(ステンレス鋼鋳鋼) 以下について定量評価を行うこととした。 0亀裂の原因となる経年劣化事象の発生が想定される部位 検討の結果,低サイクル疲労を想定する部位であっても疲労累積係数は 1 以下であり,その他亀裂の原因となる経年劣化事象がないため,定量評価の対象となる部位は抽出されな った。 定量評価対象部位は抽出されな ったが,保守的に低サイクル疲労を想定する部位について評価を行うこととした。 定量評価を実施するにあたり,熱時効への影響が大きいと えられる (発生応力及びフェライト量)での比較を実施し,発生応力が最大となる部位として原子炉再循 ポンプのケーシング及びフェライト量が最大となる部位として原子炉再循 ポンプ入口弁の弁箱を代表部位として選定した。 亀裂進展抵抗(Jmat)と亀裂進展力(Japp)を比較し,破壊力学による健全性を評価した結果,亀裂進展抵抗が亀裂進展力と交差し,亀裂進展抵抗が亀裂進展力を上回ることを確認した。また,亀裂進展抵抗と亀裂進展力の交点で亀裂進展抵抗の きが亀裂進展力の きを上回ることを確認した。 よって,原子炉再循 ポンプのケーシング及び原子炉再循 ポンプ入口弁の弁箱は不安定破壊することはなく, 健全性評価上問題ない。 図4. 原子炉再循環ポンプのケーシングの亀裂安定性評価結果 図5. 原子炉再循環ポンプ入口弁の弁箱の亀裂安定性評価結果 耐震健全性評価(シュラウドサポートの応力腐食割れ) 東海第二の炉内構造物であるシュラウドサポート溶接部については,第21 回定期検査において,粒界型応力腐食割れと推定されるひび割れが認められており,その後, 第24 回定期検査,第25 回定期検査の継続検査においても,その進展が確認されていること ら,構造健全性評価を行い運転開始後60 年時点までの適合性を確認する。 評価にあたっては,新規制基準対応に伴い見直しがされた基準地震動SS を用いる。 耐震安全性評価における極限解析の結果,運転開始後60 年時点において,シュラウドサポートの安全率をした設計荷重が地震時の崩壊荷重を下回ること ら,耐震安全性評価上問題ないと評価した。 図6. 解析結果 図7. 解析 ル 亀裂の 定箇所 3 まとめ 東海第二発電所は運転開始以降40 年を迎えるため,プラントを構成する機器・構造物について,想定される経年劣化事象に対する技術評価を実施した。その結果,大部分の機器・構造物については,現状の保全を継続していくことにより,長期間の運転及び冷温停止を仮定しても機器・構造物の健全性を維持することは可能であるとの見通しを得た。 今後さらに充実すべき課題については電力研究や 経年化技術評価 度化事業の成果等を活用し,保全活動に反映し,更なる充実を図っていく。 参考文献 実用発電用原子炉の運転期間延長認可申請に係る運用ガイド(平成29 年9 月20 日 原規規発第1709202 号) 実用発電用原子炉施設における 経年化対策実施ガイド(平成29 年9 月20 日 原規規発第1709202 号) 実用発電用原子炉施設における 経年化対策審査ガイド(平成 28 年 11 月 2 日 原規規発第 16110217 号) 日本原子力学会 日本原子力学会標準 原子力発電所の 経年化対策実施基準 2008 (AESJ-SC- P005:2008) 日本原子力学会 日本原子力学会標準 原子力発電所の 経年化対策実施基準 2010(追補 1)(AESJ- SC-P005:2010) 日本原子力学会 日本原子力学会標準 原子力発電所の 経年化対策実施基準 2011(追補 2)(AESJ- SC-P005:2011)
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