換気空調系ダクトの点検および今後の対応について

公開日:
カテゴリ: 第15回
換気空調系ダクトの点検および今後の対応について Inspection for air-conditioning duct and the measures 東北電力(株) 筒井 光男 Mitsuo TSUTSUI Member 東北電力(株) 齋藤 寛 Hiroshi SAITO Member In this paper, we outline the details of inspection for ducts of main control room air-conditioning system we conducted last year. Then, we describe the measures based on results of inspection. Keywords: ducts, air-conditioning system, results of inspection, above the ceiling, corrosion 1 緒言 東通原子力発電所において昨年実施した中央制御室換気空調系ダクト(以下,空調系ダクトという)の点検内容および点検結果を踏まえた今後の対応について概要を紹介する。 2 空調系ダクトの点検 換気空調系の系統概要 換気空調設備は機器類の正常動作または運転員等の居住性確保等のため温度調整や換気を行う設備であり,送風機,排風機の他,フィルタ,コイル,ダンパ,ダクトから構成されている。 Fig.1 Schematic outline of the air-conditioning system 今回点検した空調系ダクトの材質は,亜鉛メッキ鋼板, ガルバリウム鋼板,炭素鋼板であり,板厚は0.6mm"-'6.0mm である。 連絡先:齋藤 寛、〒039-4293 青森県下北郡東通村大字白糠字前坂下34 番4、東北電力株式会社 東通原子力発電所 機械保修課、 E-mail: saito.hiroshi.hw@tohoku-epco.co.jp 点検内容 ・平成29 年3 月から平成29 年9 月にかけて,他サイトでのダクト腐食事象を踏まえ,東通原子力発電所においても空調系ダクト全域(約700m)における外観点検を実施した。 ・点検方法はダクト外部,内部の外観点検であり,ダクト外部は保温材を取外し点検した。ダクト内部は点検ロや一部スプールを取外し開ロ部より点検した。 ・空調系ダクトの一部は天井上にあるが,天井は吊りボルトにより吊下げられており,天井上にて足場設置および保温材の取外し,復旧を行う際には天井板の踏み抜きや工具,足場材等を落下させるリスクがあった。 Fig.2 Figure of the air-conditioning duct (above the ceiling) ・点検作業にあたっては類似作業での実績を参考とし, 天井の吊りボルトに足場を取付ける等の方法により天井板を外すことなく点検を実施した。 また,天井上で作業を行う際は天井下の操作スペースに監視員を配置し,操作スペースヘの影響の有無を確認しながら点検作業を進め,運転操作に影響のないよう対応した。 3 点検結果 ・外気取入ダクトについては,外部および内部に軽微な腐食が確認されたが,機能性能に影響を及ぼす異常はないことを確認した。 ・外気取入ダクト以外のダクトについては,腐食が確認されなかった。 ・腐食を確認したダクトは当該スプールの取替え,または補修塗装を行った。また,取替えたダクトのうち, 比較的腐食が進行していた箇所の一部について断面調査を行った結果,板厚が確保されており,腐食孔には至っていないことを確認した。また,海塩粒子の付着を確認した。 Fig.3 Cross-section of the air-conditioning duct 4 今回の腐食の推定原因 発電所付近の気象等 ・発電所は青森県下北地方の太平洋側のほぼ中央に位置しており,この地方で「やませ」と呼ばれるオホーツク海高気圧からの寒冷な風や冬季の風雪といった気象条件にある。 ・過去に外気取入ダクトに対する曝露試験を行っており, 海塩粒子の飛来量は年間を通して100"-'300mdd と多く, 湿度についても年間を通して66%RH"-'87%RH と高湿度状態であることを確認しており,外気取入ダクト内部は腐食しやすい環境にあることを確認している。 ・また,一部の外気取入ダクトにおいては換気空調系の運用を開始してから10 年弱で腐食孔に至っている。 推定原因 ・断面調査にて外気取入ダクト内部に塩分の付着を確認しており,過去の曝露試験の結果のとおり,水分と塩分により軽微な腐食が発生したものと推定した。 また,過去に腐食孔を確認した箇所は,ダクトルートにおいて谷部であり,特に湿潤環境となりやすい箇所だった。 ・外気取入ダクト外部における腐食は内部と外部の温度差による結露が原因であると推定した。 ・外気取入ダクト以外のダクトは,フィルタやコイルで調気された空気を通気しており,ダクト内部と外部の温度が同一であることから湿潤環境とならないため, 腐食が確認されなかったものと推定した。 Fig.4 Low point of the air-conditioning duct 5 今後の対応 点検結果を踏まえ,今後の対応として以下の内容を検討中である。 ・外気取入ダクトは,内部・外部共に腐食する可能性があるため,定期的に点検を行う。 ・当面,腐食しやすい谷部にある底板は点検の都度取替え,断面調査により腐食の進行状況を確認し,知見を蓄積する。 ・外気取入ダクト以外のダクトは腐食する可能性が低く, 外部における結露等による腐食ではなく内部から腐食する可能性があることから,内部の点検を行う。 6 結言 東通原子力発電所における空調系ダクトの点検内容および今後の対応について概要を紹介した。 今後も知見を蓄積し,設備の安定・安全運転に資するよう,検討を進めているところである。
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)