常設型薄膜UTセンサを用いた高温時の超音波厚さ測定における校正方法の提案

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カテゴリ: 第16回
常設型薄膜 UT センサを用いた 高温時の超音波厚さ測定における校正方法の提案 Proposal of calibration method for ultrasonic thickness continuous monitoring at high temperature using a thin film UT sensor 二菱重工業株式会社 山本 裕子 Yuko YAMAMOTO 二菱重工業株式会社 板橋 佑真 Yuma ITAHASHI Member 二菱重工業株式会社 井原 亮一 Ryoichi IHARA 二菱重工業株式会社 川浪 精一 Seiichi KAWANAMI 二菱重工業株式会社 青木 清隆 Kiyotaka Aoki 東北大学 三原 毅 Tsuyoshi MIHARA Member 東北大学辻 俊宏Toshihiro TSUJI Abstract In this study, in order to propose a calibration method using a correction formula for each steel grade obtained in advance as a calibration method for plate thickness measurement using a permanent UT sensor such as MHI’s Thin-film UT sensor, a temperature-sound velocity correction formula for each steel grade was calculated by obtaining sound velocity values for each temperature from ordinary temperature to 200 degrees centigrade using the Thin-film UT sensor and multiple specimens of steel grade. Using the obtained temperature-sound velocity correction formula, the dispersion of plate thickness values from room temperature to 200 degrees in the test specimen with unknown thickness was less than 0.1 mm (1% t). From these results, it is considered that the temperature-sound velocity correction equation which can be used for the plate thickness evaluation at high temperature was obtained by the sound velocity acquisition test. Keywords: Thin-film UT sensor, high temperature, sound velocity, calibration, thickness measurement 1 緒言 発電プラントの や容器 に対して行われている定期検査中の超音波(UT)検査において,著者らは薄膜UT センサを用いた 温 ン を提案してた[1][2]。薄膜UT センサは薄くて耐熱性があるため, 温に る に常設して, 中も の厚さを測定することが である。しかし,センサを 温部に常設するため,従来の超音波厚さ測定のように対比試験片を用いた音速校正[3]手順は実用上困難である。 そこで,これに代わる 測手順として,あらか め取得した鋼種ごとの温度/音速補正式を使用する方法を提案するとともに,実機部材への常設を想定した薄膜UT センサを用いた厚さ測定を実施し,提案した 測方法の有効性を検証した。 連絡先: 板橋佑真,〒652-8585 神戸市兵庫区和田崎町一丁目1 番1 号,三菱重工業株式会社 原子力事業部品質保証部,E-mail: yuma_itahashi@mhi.co.jp 2 高温での音速取得試験 高温減肉計測における温度/音速補正の必要性 末知の温度分布を有する実機部材で,複数の部位で減 ン を行うためには, 測部位と 温度の対比試験体で音速補正を行う従来の手順は利用で いので, 測 の温度 測のみで対 しい 測手順を確立する必要がある。著者らは以下に示す温度/音速補正式を予め求める方法を提案した。 薄膜UT センサと階段状試験体からなる供試体 温度/音速補正式を求める目的で,厚さが既知の階段状 試験体に薄膜UT センサを固定した加熱試験用供試体を製作した。試験片上に薄膜UT センサを接着剤で貼り付けた状態で冶具を使って挟み込み,接着剤を硬化させた。 また,供試体の温度を取得するため,熱電対も固定した。加熱試験用供試体をFig. 1 に示す。 Fig.1 Test specimen with Thin-film UT sensor 常温および200℃でのUT 波形取得 2.2 節で準備した加熱試験用供試体を電気炉内で常温から200 まで プ状に加熱した。試験 の例として,厚さが30mm のSUS304 試験体に固定した薄膜UT センサを市販の超音波探傷器に接続して取得したRF 波形例をFig. 2 に示す。測定対象の厚さに対 する多重エコーの反射間隔(時間)を,既知の板厚で除して音速を算 し,温度ごとにプ トしたFig. 3 を,SUS304 の温度 /音速補正式として用いる。 お 測は複数のセンサを用い,異 る接着剤で試験体に固定した実験も繰り返し行ったが,接着剤種による差異は見られ かった。 お, 熱膨張による板厚値の変化は音速変化の影響より小さいため,本試験では考慮してい い。 Fig.2 UT waveform (Upper: RT, Lower: 200 degrees) Fig.3 Temperature dependence of sound velocity 3 音速補正式の高温厚さ計測における妥当性 Fig.3 に示す SUS304 の温度/音速補正式を既知として, 実機適用を想定したSUS304 の 温厚さ測定試験を実施した。 ここでは温度分布を持つ板厚不明のSUS304 に複数の 温薄膜UT センサを設置し,室温から200 度までの温度 で,温度/音速補正式による手順で厚さ測定を行う。 超音波パルサーとして,8ch 分のUT デー とセンサ部に設置した熱電対からの温度情報を連続取得 MHI Pulsar Scope(Fig. 4)を開発して用いた。本機は 測デー を無線で送信で , 温稼働中の実機試験体近傍に置いて連続 ン に対 で る ペ クを持つ。 供試体を常温から200 度まで昇温し,さらに降温するまでの間に一定の頻度で,あらか め求めた補正式により厚さを連続で測定した。25mm 試験体の厚さ測定例をFig. 5 に示す。補正を用いず音速を一定(5740m/s) とした場合,最大誤差が0.69mm(2.8%t)であるのに対し,あらか め定めた音速補正を行うと,0.05mm(0.2%t) の誤差 で 測で た。 Fig.4 MHI Pulsar Scope Fig.5 Confirmation of sound velocity calibration 4 高温時の厚さ測定における校正方法の提案 2 章で述べた手順で,SUS304 を含む炭素鋼 4 種と ンレ 2 種の合 6 種の,常温から200 までの温度 /音速補正式を求めた をFig. 6 に示す。音速デー は, 測の平均値を用い回帰直線で示した。 現在板厚 測を規定する規格であるJISZ2355 では,測定部材と 一材料で対比試験片を作成し,実機 測時には実機と対比試験体の温度が 一と考 て温度補正を行うことを前提としており, 温での 測は想定されてい い。Fig7.に実機での 温板厚 測を想定した2 つの手順を示す。 は対比試験を用いる場合(従来手法), は対比試験体の代わりに,予め用いる部材毎に温度音速補正式を定める方法(提案手法)である。実機の 温厚さ測定では,耐熱センサを常設し 時を含む板厚の ン が求められる。この場合,それぞれのセンサ設置部は温度分布を持つので,センサ部と 温度の対比試験体の設置や校正は困難で,無 に実施しても大誤差を る れがある。これに対し,本 で提案する Fig.6 Sound velocity trends in various steel grades Fig.7 Thickness evaluation flow at high temperature 温度/音速補正式を用いる方法は,Fig.5 に示す通り 温下でも板厚測定精度が確保で る。 5 結言 薄膜UT センサ の常設 UT センサを厚さ測定に用いるため,あらか め材料ごとに定めた温度/音速補正式を取得し,導 した補正式を用いて厚さが末知の試験体の厚さ を行った ,SUS304 の25 試験体において 測した板厚のばらつ は1%以下だった。 さらにSUS304 以外の5 種類の鋼種についても,室温から200 度の温度 で, の実験により温度/音速補正式を導 した。 以上により,従来室温 測で行われて た対比試験片を用いた音速測定に代わる 温での しい 測手順として,あらか め求めた温度/音速補正式を用いる厚さ測定法は, 温での厚さ ン に有効であると考 られる。 参考文献 小平武志ほか, 温用薄膜UT センサを用いた連続 ン シ ムの開発,日本保全学会第14 回学術講演会要旨集,2017,pp.540-544 山本裕子ほか,薄膜UT センサを用いた 中プラント遠隔 ン シ ムの開発,三菱重工技報Vol.55 No.2 (2018) 一般財団法人 日本規格協会 JIS Z 2355-1:2016 非破壊試験ー超音波厚さ測定ー第1 部:測定方法
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