東通原子力発電所1号機における敷地内断層の補足調査について

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カテゴリ: 第16回
東通原子力発電所1号機における敷地内断層の補足調査について Supplemental investigation on faults in site of Higashidori Nuclear Power Plant Unit 1 東北電力(株) 東通原子力発電所東北電力(株) 東通原子力発電所 丹治 和宏KazuhiroTANJIMember 小野寺 正典MasanoriONODERANonMember Since June 2014, the Higashidori Nuclear Power Station had been taking the assessment of the on-site fault in the conformity assessment of the new regulatory standard. After that, although the assessment of the fault located directly under key facilities ended in 2018, We are taking an assessment of active fault examination considered as an epicenter at present. This document is a summary of the supplementary survey including geology survey such as reflection survey and boring exploration for active fault assessment that has been conducted since March of this year. Keywords: faults, active faults, earthquake, geology, geological survey 1 はじめに 東北電力(株)東通原子力発電所1号機(図1)は,青 森県内初の原子力発電所として,平成17 年12 月に営業運転を開始した。平成23 年3 月11 日の東北地方太平洋沖地震の際には,第4回定期検査(平成23年2月6 日~) 中で発電を停止しており,地震(17gal)および津波(2 6 m以下)による設備影響は確認されなかった。 平成26 年6 月に新規制基準に基づく適合性申請を行い, 以後,敷地内断層の審査が継続している。先行した耐震 重要施設直下の断層については平成30 年5 月までで実質的な審査が終了し,現在,直下以外の断層について「震 源として考慮する活断層」の審査が進められている。 今回,審査における説明性向上を目的とした補足地質調査を実施していることから,その内容について報告する。 図1 東通原子力発電所位置 2 東通原子力発電所の敷地内断層 敷地内の断層分布を図2に示す。 敷地内には地質構造を規制する規模の断層を10 本,耐 震重要施設直下に位置する断層を3 本確認している。 図2 敷地の断層分布 新規制基準(実用発電用原子炉及びその附属施設の位 置,構造及び設備の基準に関する規則)では,重要な施 設の直下の断層に対して,「第3条3項 耐震重要施設は, 変位が生ずるおそれがない地盤に設けなければならない」ことが要求されており,審査ガイドに沿って「将来 活動する可能性のある断層等」に該当しないか,後期更 新世以降の活動性について審査を受ける(いわゆる3条 断層評価)。 一方,重要な施設直下以外の断層に対しては,「第4条3項 耐震重要施設は,その供用中に当該耐震重要施設 連絡先 小野寺 正典、〒039-4203 青森県下北郡東通村大字白糠字前坂下34-4、東通原子力発電所総務部、E-mail: onodera_masanori.vy@tohoku-epco.co.jp に大きな影響を及ぼすおそれがある地震による加速度によって作用する地震力(以下「基準地震動による地震力」という。)に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない」ことが要求されており,審査ガイドに沿って「震源として考慮する活断層」か否かについて審査を受ける(いわゆる4条断層評価)。 これまでの審査において,耐震重要施設の直下に位置するf-1断層,f-2断層については,「将来活動する可能性のある断層等」に該当しないことについて確認された。補機冷却海水系取水設備の直下に位置するm-a 断層の活動性については,「将来活動する可能性のある断層等」に該当しないとの当社判断には変わりはないが, 断層の上位にある地層等について,さらなる調査で確認することは現実的に難しいことから,現在の取水設備とは別に,m-a断層の直上とならない位置に補機冷却海水系取水設備を設置することとし,耐震重要施設直下の断層の扱いから除外することとした。 3 震源として考慮する活断層の審査 評価の考え方 敷地内断層が「震源として考慮する活断層」か否かの評価は,「新 日本の活断層(1 1)」の , 中 判 , 地質調査の を総合的に判断し,一切山東方断層(F-1断層)を代 断層として行っている。 評価は,上 地層法による後期更新世の活動性と,反射法地震探査による深部連続性の観点により行った。 反射法地震探査については,H28 年等に実施した一切山東方断層をはじめとする敷地内断層に交差する東西方向の海 ~ を連続的に探査した (図3)を基本として解析・評価を行った。 図3 既往の反射法地震探査の測線配置 解釈を行った反射断面(図4)には,ボーリ グ調査等で断層を確認している位置に対応して,反射面の不連続 が確認されることから断層を認定しているが,いずれの断層も1,000m 以浅で低角化して消滅する。また,敷地の深部では反射面がほぼ水平に連続しており,地震発生層から地 面に連続するような不連続面は確認されなかった。 以上のことから,一切山東方断層をはじめとする敷地 ~敷地近傍の断層は地震発生層に連続するような断層ではなく,敷地の地下深部には震源として考慮する活断層は存在しないと評価した。 図4 反射法地震探査の解釈図 反射断面に関する指摘 適合性審査では,「地下深部の地質構造の解釈」 「断層の解釈」について 加説明(直接的な の示)が求められた。 地下深部の地質構造解釈に関し,敷地北方の地 で直接確認される地層が,反射法地震探査 における敷地の地下深部の反射面(地層)に連続するとした解釈に対して,両者が連続すると判断するためには,途中区間の 分な反射法地震探査等の ータがないと された。また,顕著な地層境界と解釈している反射面に対応する地質の ータについても 示を求められた。 断層の解釈については,一般的に反射面の不連続個所を断層として認定しているが,深部においては反射面を断層と解釈しており,この解釈の妥当性を判断するための直接的な ータが必要とされた。 4 補足調査の内容と目的 を踏まえ,既往の反射法地震探査 における地下深部の地質構造に対する解釈を補強する南北方向の反 射法地震探査を実施するとともに,ボーリ グ調査を加えて総合的に判断することで,地下深部の地質構造の解 釈に関する信頼性の一層の向上を図る計画である(図5)。 関係法令手続き 自治体・地権者対応等の準備が整った3月下旬に着手し,9月末のまでのエ期で必要な ータを取得することとしている。 図5 補足調査位置図表1 補足調査内容 調査項目 調査目的 調査規模 反射法地震探査 地下深部の地層・基盤の分布等の地質構造確認 総延長:約40km (地表踏査・露頭調査) 反射法地震探査測線沿いの地表地質状況確認 地質確認ボーリング 敷地北方における地質分布、地層・岩相の物性確認 4箇所 一切山東方断層確認ボーリング 一切山東方断層の傾斜等の傾向確認 3箇所 表2 補足調査の工程 調査項目 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 反射法地震探査 (地表踏査・露頭調査) 地質確認ボーリング 一切山東方断層 確認ボーリング 反射法地震探査 南北方向には東京電力HD(株)および東北電力(株) の敷地内の 録しかなかったが,その北方および南方に調査範囲を拡張し,敷地に沿った範囲については複数の を設定して調査を行った。既往の東西断面と総合的に解釈することで,より精度の高い解釈が可能と考えている。 なお,反射法地震探査を実施する範囲内において地 地質状況を再確認するために,地 地質調査および露頭調査を補足的に実施する。 図6 反射法地震探査の実施イメージ 地質確認ボーリング 敷地北方の露頭調査において確認される地質が敷地の地下深部に連続していると解釈しているが,今回敷地北方で実施する反射法地震探査の 上でボーリ グを行なう(図7)ことで,反射面に対応する地質を直接確認するとともに, 検層を行うことで反射法地震探査の解析精度の向上を図るとともに,あわせて解釈した地層が実在することも確認する。 具体的には,敷地北方から敷地内に連続する尻屋層群 猿ヶ森層の構造について説明性の向上が図られるものと考える。 図 敷地 方の地質確認ボーリング 一切山東方断層確認ボーリング 反射法地震探査では,ボーリ グ調査によって断層が確認される位置に対応して,反射面の不連続が認められることから断層が確認され,いずれの断層も深さ方向に向かって低角化して消滅すると解釈している。この解釈の妥当性を確認するため,一切山東方断層を解釈している箇所において,3つの異なる深度に対応するボーリグを実施(図8)し,断層を直接確認する。 図8 一切山東方断層確認ボーリングのイメージ 5 おわりに 3月の着エ以来約4か月経過し調査も順調に進捗して おり,9月末までに予定する調査が終了する見込みである。 補足調査で得られた ータを早急に取りまとめ,既往の ータに加えることで発電所敷地から敷地近傍の断層は「震源として考慮する活断層」に該当しないとする当社の考えに理解が得られるようしっかりと取り組んでまいりたい。 参考文献 東北電力ホームペー‘ http://www.tohoku-epco.co.jp
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