二重露光法による粗大粒材の応力測定

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カテゴリ: 第15回
二重露光法による粗大粒材の応力測定 Stress Measurement of Coarse Grains Using Double Exposure Method 新潟大学 鈴木 賢治 Kenji SUZUKI Member 原子力機構 菖蒲 敬久 Takahisa SHOBU Member 量子科学機構 城 鮎美 Ayumi SHIRO Member As a new X-ray stress measurement method for coarse grain material, the double exposure method (DEM) is proposed, and its analysis is explained in this paper. A diffraction angle can be obtained from an incident and a spotty diffracted beams. Each X-ray beam is measured by an area detector on a linear motion stage on the 2 θ-arm in the DEM. To examine the validity of the DEM, the residual stress of the plastically bent specimen was measured. In addition, the residual stress distribution of the indentation specimen was measured. The result by the DEM was similar to the result simulated by the finite element method. As a result, the DEM is useful for the X-ray stress measurement method for coarse grain material. Keywords: X-Ray Stress Measurement, Coarse Grain, Double Exposure Method, Hard Synchrotron X-ray 緒言 X線応力測定法は、応力測定方法として普及・定着してきたが [1] 、その手法を粗大粒、集合組織、溶接部の測定にそのまま適用できない。その原因は、粗大粒の 回折が斑点を呈することにある。そのため、連続環の 測定を前提とする従来の回折装置で粗大粒の回折を測定することは困難である。また、放射光を利用したひ ずみスキャニング法がX線応力測定の手法として利用 されているが [2] 、これも粗大粒を持つ材料に対して適用できない。その解決策として、2 次元検出器を利用する手法が期待されている。これまで 2 次元検出器を利用した X 線応力測定法として、cos α 法 [3] 、2D 法 [4] 、直接法 [5] が提案されている。これらの手法は、均質等方多結晶体に対して十分適用できる手法と認められる。しかしながら、それを粗大粒に適用するには後述する ように問題がある。 他方、回折斑点追跡法 (DSTM) が開発され、粗大粒、溶接材の応力測定に成功している[6] 。しかし、2 次元検出器に適したゲージ体積を作るために、DSTM の回転スリットは複雑になり、汎用に供するには課題も多い。 以上のことから、これまでの回折角測定の原理を止揚して、新たな回折角測定原理とそれに基づく回折装置 を考えなければならない。本研究では、高エネルギー放射光の高指向性・透過力と 2 次元検出器による二重露光法の原理を組み合わせた新しいX線回折測定方法 を試みたので報告する。 解析・実験方法 粗大粒の回折測定の課題 X線回折を利用した粗大粒のひずみ測定が困難な原因を以下に示す。 (1) P C O 粗大粒では粉末回折が成立せず、回折中心を利用し て測角できない。 入射ビームの発散が粗大粒からの回折の測角誤差に そのまま影響する [7] 。 問題 (1) については 2 次元検出器を利用することで解決 できる。問題 (2) も二重露光法により解決できる。さら に、放射光を使えば問題 (3) も解決できる。以上のこと は、高エネルギー放射光と 2 次元検出器を利用した二重露光法を組み合わせれば、粗大粒のひずみ測定の問 題を一挙に解決できることを示唆している。 二重露光法による回折測定の原理 従来の回折角の測定法は、回折装置を利用して直接 角度を得るか、または正接に基づいて角度を計算する。 これらの方法では、唯一の回折中心を仮定して回折角 度を決定している。この原理は、それぞれ異なる回折位置にある粗大粒の回折斑点に適用できない。 本研究では、新たな回折斑点に適した測角方法として「点と線」の概念を適用する。Fig. 1 のように、2つの点から直線が決定され、2つの直線が角度を与える。つまり、点 O1, O2 は直線 ?1 を与え、点 P1, P2 は直線?2 を与える。そして、2直線 ?1, ?2 から角度 2 θ と交差位置 PC を決定できる。入射ビームの中心を予め測定して O1, O2 を得る。その後、試験片をステージに載せて所定の位置の P1 および P2 を測定することで、回折斑点の回折角 2θ と回折位置 PC を得ることができる。 SpecimenArea detector X線回折が斑点状になるので、従来の回折計に搭載 した 0, 1 次元検出器では測定困難である。 連絡先: 鈴木賢治 〒 950-2181 新潟市西区五十嵐 2 の町 8050、新潟大学教育学部E-mail: suzuki@ed.niigata-u.ac.jp Fig. 1. The principle of DEM (double exposure method). Two points give a line, and two lines give a angle. Fig. 1 に示すように、高エネルギー放射光X線を利用した二重露光法の具体的な装置構成は、大型の回折装置の 2 θ アームに直動ステージを搭載し、そのステージ上に 2 次元検出器を置く。入射X線ビームを 2 次元検出器で測定して点 O1 と O2 の位置を得ておく。次に、目的とする回折位置付近に 2 θ アームを移動して、P1, P2 の位置にて回折斑点像を撮影する。これにより得られた 4 点の関係から目的とする回折斑点の回折角 2 θ と回折位置 PC を求める。本研究では、本方法を二重露光法 (DEM: double exposure method) と呼ぶ。 X C lPC l 1 P1 eP2 l X e XOX l 0 O Fig. 3. Intersection of X-ray beam ?x and di?racted beam ?. が 0 になるので、次の関係が導かれる。 二重露光法の解析方法 回折中心を原点とし、X線ビームの光軸を y 軸とす X X C X る 3 次元の直交座標系を Fig. 2 のように定義し、回折 e ? -O---P→ = e ? (P e ? -O---P→ = e ? (P - O ) = 0(8) - O ) = 0(9) C X C X 斑点の位置ベクトル P 1, P 2 を次式で与える。 P 1 = (x1, y1, z1), P 2 = (x2, y2, z2)(1) 図 2 から交点 PC, OX の位置ベクトルを、 P C = P 1 + ?1 e(10) Fig. 2 の r1 と r2 は以下の関係になり、 r1 = √x2 + z2 , r2 = √x2 + z2 1 1 2 2 (2) OX = O + ?0 eX = ?0 eX(11) と表して、式 (8), (9) に代入して、未知数,を求め ?0 ?1 回折角 2 θ は、次の関係から得られる。 ると、交点 PC, OX を得ることができる。その結果、 2θ = arctan ( r2 - r1 )(3) y - y 2 1 X線ビームの直線 ?X は、原点 O を通る y 軸方向の 直線なので、媒介変数 t を利用して表現すると ? = eX ? P 1 - (e ? P 1) (eX ? e) (e ? eX ) (eX ? P 1) - e ? P 1 0 1 - (e ? eX )2 ?1 = 1 - (e ? e)2(13) X (12) ?X = (0, t, 0)(4) となる。回折斑点が与える直線 ? は、点 P 1, P 2 を通る 2 1 1 2 1 1 が得られるので、上式を各ベクトルの成分と幾何学関 係を用いて整理して、次式を得る。 直線なので、次式で表される。 [ ? = - cos 2θ [(x - x ) x + (z - z ) z ](14) ? = P 1 + t (P 2 - P 1)(5) 1 Fig. 3 に示すように、直線 ?X および直線 ? が交差す ?0 = y1 - cot2 2θ L L sin2 2θ (x2 - x1) x1 + (z2 - z1) z1] (15) ることを考える。図中の各直線の単位ベクトルは、 e =(x2 - x1, y2 - y1, z2 - z1) ∥LD∥ (6) 最終的に、回折位置 PC = (xC, yC, zC) は、式 (10), (14) から次式になる。 cot2 2θ [ eX =(0, 1, 0) で与えられる。二つの直線の最短距離である点 P (7) と点 xC = x1 - L2(x2 - x1) x1 +(z2 - z1) z1] [ (x2 - x1)(16) C OX が与える線分は、両直線と直交し、それぞれの内積 yC = y1 - cot2 2θ L (x2 - x1) x1 Beam stopper zy y1 L 2 r2 y l X PILATUS l z2 +(z2 - z1) z1](17) cot2 2θ [ zC = z1 - L2 (x2 - x1) x1 Specimen 2θ D 2 1 1 2 1 P L0r1 z1LP +(z - z ) z ](z - z )(18) beam X-Ray C P1 2 P =(x ,y ,z ) O x1 x2 P1=(x1,y1,z1) x PC=(xC,yC,zC) 22 2 2 放射光実験 前項で説明した DEM の解析手法に従い、放射光実験を行った。使用した放射光ビームラインは、SPring- Fig. 2. Geometry for DEM with hard synchrotron X-ray. 8 の原子力機構専用ビームライン BL22XU である。セリアの標準試料により、回折装置の中心 O と入射X線 Fig. 4. Di?ractometer for DEM. ビーム ?X を一致させ、回折装置の調整を行った。その回折装置の 2 θ アームに移動距離 800 mm の直動ステージを載せ、さらにステージ上に計数型 2 次元検出器 PILATUS-300K を搭載した (Fig. 4)。実験に先立ち、回折装置の 2 θ アームを 0? にて、ビームセンターを測定し、O1 = (0, y1, 0), O2 = (0, y2, 0) を得た。次に、A? の 331 回折に合わせて 2 θ アームを 26? に移動して、検出器を LD (= 791.889 mm) 移動して、P1、P2 の位置にて回折を撮影した。そのときの検出器の位置関係は、L0 = 707.989 mm、L = 711.746 mm に設定した。 X線エネルギーは 30.034 keV (0.4127988A? )、入射ス リット寸法は 0.2 × 0.2 mm2 である。検出器 PILATUS- 300K は、撮影面積は 83.8 × 106.5 mm2、測定画素数は487 × 619 pixel、解像度は 172 ?m/pixel である。 実験に使用した試験片は、幅 4.75 mm、厚さ 3 mm のアルミニウム合金 (A5052) であり、機械加工後に、温度623 K にて 1 時間の焼鈍を施した。その平均粒径を測定し、27 ?m を得た。また、X線回折の測定に A? の 311 回折を利用した。試験片の焼鈍材の無負荷時の回折斑点 の測定結果から、331 回折の無ひずみの回折角度 2 θ0 = 25.62767? (= 93.06326 pm) を得た。 単結晶のステイフネス cij の値は、文献 [8] から c11 = 106.78 GPa, c12 = 60.74 GPa, c44 = 28.21 GPa を用いて Kro¨ner モデルにより回折弾性定数を計算し、331 回折のX線的弾性定数として縦弾性定数 E = 71.39 GPa, ポアソン比 ν = 0.344、また同様にして機械的弾性定数として EM = 70.07 GPa、νM = 0.347 を得た。 結果および考察 DEM による回折角の測定 Fig 5 は、前述で説明した DEM により撮影した P1, P2 の位置の試験片の回折像である。図 (a) の P1 で撮影した画像中の四角い枠が、図 (b) の P2 で撮影した領域に対応している。回折像は典型的な回折斑点である。本実験では、331 回折の斑点を利用して解析した。なお、PLIATUS-300K は 3 枚の 100K で構成され、貼り合わせた隙間は Fig 5 のように計測できない。そのため測定し P1(b) P2 Fig. 5. Di?raction images measured by DEM. The box in the figure (a) indicates the detected area at P2. た斑点の対が得られない場合もある。 DEM の解析では、P1 と P2 のそれぞれの画像から回折斑点の対を見つけ出し、回折位置 (x1, z1) と (x2, z2) を決定しなければならない。しかしながら、Fig. 5 の回折像からわかるように、P1 とP2 の斑点の対を見つけ出し、それらの斑点の座標位置を決定する作業はたいへん煩雑かつ労力を要する。そこで、測定されたP1 とP2 の画像ファイル群から回折斑点の中心点を決定し、その中心点の群から対になる斑点を見つけ出し、回折角 2 θ と回折位置 PC(xC, yC, zC) を自動的に決定する解析システム (Demsys) を自作した。その処理例を Fig. 6 に示す。P1 と P2 で回折斑点として認識され、斑点の対が得られた回折中心を十字のマークで示し、確認した後、回折角 2 θ と回折位置 PC(xC, yC, zC) を計算する。Demsys は、これらの一連の処理を連続して行うことができる。 塑性曲げ試験片の残留応力 Fig. 7 は、塑性曲げを与えた試験片の DEM による測定の様子である。試験片幅は 4.7 mm、厚さは 3 mm で P1(b) P2 Fig. 6. Di?raction spot centers determined by the Demsys, which is matching program. Each di?raction center is indi- cated with the cross mark. 0.0010 Measured residual strain 0.0005 0.0000 -0.0005 Fig. 7. Plastically bent specimen. ある。曲げにより引張応力を受けた側から 0.1mm 入ったところから 0.5 mm 間隔で水平に 9 点を測定し、その 測定ラインの高さを 1 mm 間隔で 3 本について測定した。この測定位置について、χ = 0? および χ = 90? の 2 方向で測定を行った。 Fig. 8 に測定した回折角を示す。エラーバーは標準偏差を示している。得られた回折角2 θ からχ = 0? および χ = 90? のひずみ εχ=0, εχ=90 を求めた。さらに、εχ=0, εχ=90 から試験片長手方向のひずみ ε1 および試験片幅方向のひずみ ε2 を平面応力の仮定に基づき求めた。また、ひずみ ε1 および ε2 から残留応力の分布を求めた。その結果を Fig. 9 に示す。 -0.0010 80 60 40 Residul stress, MPa 20 R 0 -20 -40 -60 012345 Distance from tensile side x, mm Residual strains 図に示すように、引張を受けて塑性した側に圧縮残 留応力、一方、圧縮を受けた側には引張残留応力が形成される。また、塑性曲げによる残留応力による力とモーメントのつり合いから内部にも残留応力が発生し ている。DEM 測定で得られた残留応力分布は、典型的な塑性曲げの残留応力分布である。以上のことから、粗大粒による回折斑点を示す材料であってもDEM を利用すれば残留応力を得ることができる。 塑性曲げ試験片のDEM により回折位置PC(xC, yC, zC) を解析した。曲げ試験片の長手方向からみた回折位置 -80 012345 Distance from tensile edge x, mm Residual stresses Fig. 9. Distributions of residual strains and stresses of plasti- cally bent specimen measured by DEM. 3 2 25.671 Thickness position y, mm 25.66 0 Diffraction angle 2 , deg 25.65 25.64-1 25.63 25.62 25.61 -2 -3 012345 25.60 0 12345 Distance from tesile side x, mm Distance from tensile side x, mm Fig. 10. Di?raction positions of plastically bent specimen Fig. 8. Results of plastically bent specimen measured by DEM. determined by DEM. Indenter 2nd impact 1st impact Spcimenε1 Amvil Fig. 11. Indentation specimen. (xC, yC) を示すと Fig. 10 のようになる。破線で囲んでいる領域が試験片断面に、縦の破線がX線ビームのパスに相当する。回折位置 PC のプロットを見ると、塑性変形しているところでは、ややブレがあるが、透過 ビームの中で回折が生じていることが、Fig. 10 を見るとよくわかる。これは、水平ゴニオメーターにアームを載せて回折位置 PC を解析しているので xC, yC に Indentation Strain, με 600 400 200 ε20 -200 -400 -600 ついては精度よく測定された結果である。zC 位置については、挟角が微小なために誤差が大きくビーム高さ (h = 0.2 mm) よりも大きい値も生じた。なお、本解析 では zC > ±8 × h の結果を除外した。もし、zC の精度 を必要とするならば、縦型ゴニオメーターを利用することが好ましい。 圧痕試験片の残留応力分布 次に、圧痕を導入した試験片の残留応力を測定し、DEM の有効性を実証することを試みた。圧痕試験片の材料 は、塑性曲げ試験片と同一であり、623 K で 1 時間の焼鈍をした A5052 材で、4.75 × 3 mm2 の断面を持つ平板材である。Fig. 11 (a) に示すように、角棒を 2 回打 ち込み圧痕を形成した。1 回目の圧痕が試験片左側に傾き、2 回目は垂直に打ち込むことができた。その圧痕の形は Fig. 11 (b) に示す通り、左右対称でない形状の圧痕となった。この圧痕の残留応力が、どのような分布を示すか興味深い。 DEM による測定は、試験片の 3 mm の厚さ方向にX 線を透過して、試験片長手方向および幅方向ともに 0.2 mm 間隔で測定した。回折は、同一測定点で χ サークル0? および 90? の 2 方向で A? の 331 回折を測定し、それからひずみを計算した。さらに平面応力の仮定によ り試験片幅方向のひずみ ε1 と長手方向のひずみ ε2 に変換した。その結果を Fig. 12 に示す。 ε1 を見ると、圧痕の直下には大きな引張の残留ひずみが生じ、圧縮ひずみがそれを取り囲むように分布し ている。ε2 については、圧痕直下に大きな圧縮ひずみが生じるが、その下には引張応力が発生し、その引張ひずみは圧痕下から 45 度方向に広がりを呈している。また、圧痕の脇に引張ひずみの利用域が形成される。 平面応力状態を仮定して ε1 とε2 を用いて、試験片幅方向の残留応力 σ1 および長手方向の残留応力 σ2 を計算した結果を Fig. 13 に示す。試験片幅方向の残留応力σ1 の分布を見ると、圧痕直下に引張残留応力が生じ、 Fig. 12. Residual strain maps of indentation specimen using DEM. σ1 Stress, MPa 100 50 0 -50 -100 Fig. 13. Residual stress maps of indentation specimen using DEM. それを囲む圧縮残留応力の領域がある。試験片長手方 向の残留応力 σ2 を見ると、圧痕直下に圧縮残留応力があり、その下に引張残留応力が広がっている。それがアンビルの角まで達している。また、圧痕の左側にも大きな引張残留応力の層が形成される。残留応力の分布を見ると、大きな引張残留応力は圧痕の周囲と圧痕下方に発生する。 さて、DEM により得られた残留応力分布が妥当なものであるかを検証するために、同様の圧痕の導入で生 じた残留応力について数値計算を試みた。Fig. 14 に示すように、1 辺 0.25 mm 正方形のアイソパラメトリック Fig. 14. FEM model for indention specimen. σ1 Stress, MPa 100 50 0 -50 -100 Fig. 15. Residual stress map of indented specimen by FEM simulation. 4 角形要素を使い、節点数 1701、要素数 1600 のモデルを作った。有限要素解析にはオープンソースの Impact を使用した[9] 。Impact は、材料非線形性を考慮しつつ、衝撃・衝突などを動的陽解法で解析できる。モデルに用 いた材料値は本実験材料を想定し、ヤング率 E = 70.07 GPa, 密度 ρ = 2.68 g/cm3, ポアソン比 ν = 0.3466, 降伏応力 σy = 100 MPa, 硬化率 p = 0.350 とした。平面応力の条件にて、圧痕の位置に 2 回の圧子荷重を作用させて圧痕を導入した。 有限要素解析した残留応力分布を Fig. 15 に示す。σ1 は圧痕下に大きな引張残留応力が生じ、その両脇に圧縮残留応力がある。σ2 も圧痕の脇に引張残留応力が生じ、引張残留応力が圧痕の下から 45? 方向にアンビルのコーナーに広がる様子も一致している。有限要素解 析の結果と実測で異なるところは、圧痕下の σ2 の圧縮残留応力の領域が、DEM 測定では小さくかつ大きい圧縮となるが、解析では中程度の圧縮残留応力が広い領域を示している。概略的には、得られた残留応力の結 果は、Fig. 13 の実測の残留応力分布とよく似た分布を示していることから、DEM 測定は粗大粒の測定方法と して優れていることがわかる。 結言 高エネルギー放射光による二重露光法 (DEM) を提案し、その解析方法を示した。塑性曲げおよび圧痕試験片の残留応力を DEM により測定した。その結果、DEM は粗大粒のX線応力測定法として平面応力について有効な方法であることが実証された。DEM は、粗大粒を持つ材料の残留応力測定方法として期待できる。 5 謝辞 本研究は平成 29 年度学術研究助成基金助成金基盤研究 (C) 課題番号 17K06046 の援助によるものである。また、本実験は、原子力機構施設共用 (2017A-E10) および文部科学省ナノテクノロジープラットフォームの支援を受けた。ここに記して謝意を表します。 参考文献 日本材料学会,“ Standard method for X-ray stress measurement ”, JSMS-SD-10-05, 2005. http://x-ray.jsms.jp/standard/sample English.pdf (Feb. 24, 2018) P.J. Withers,“Use of synchrotron X-ray radiation for stress measurement”, in: Analysis of Residual Stress by Diffraction using Neutron and Synchrotron Radi- ation, ed. by M.E. Fitzpatrick and A. Lodini, Taylor & Francis, 2003, pp. 170-189. S. Taira, K. Tanaka,“ Local residual stress near fa- tigue crack tip ”, Transactions of the Iron and Steel Institute of Japan, Vol. 19, 1979, pp. 411-418. B.B. He, K.L. Smith, “ A new method for resid- ual stress measurement using an area detector ”, in: Proceedings of The 5th International Conference on Residual Stresses (ICRS-5), ed. by T. Ericsson, M. Ode´n, A. Andersson, Linkoping, Sweden, 1997, pp. 634-639. K. Suzuki,“ Proposal for a direct-method for stress measurement using an X-ray area detector ”, NDT and E International, Vol. 92, 2017, pp. 104-110. K. Suzuki, T. Shobu, A. Shiro and S. Zhang, “ In- ternal stress measurement of weld part using diffrac- tion spot trace method ”, Material Science Forum, Vol. 777, 2014, pp. 155-160. 鈴木賢治,“ X線 2 次元検出器による粗大粒のひずみ測定の研究”, 日本保全学会第 13 回学術講演会要旨集, 2016, pp. 201-206. G.N. Kamm and G.A. Alers, “ Low‐ temperature elastic moduli of aluminum ”, Journal of Applied Physics, Vol. 35, 1964, pp 327-330. https://sourceforge.net/projects/impact/ (Nov. 10, 2017)
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