沸騰水型原子炉用安全系低圧ケーブルの高温蒸気暴露中及びその後の絶縁性能

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カテゴリ: 第15回
沸騰水型原子炉用安全系低圧ケーブルの高温蒸気暴露中及びその後の絶縁性能 Insulation Performance of Safety-related Cables for Boiling Water Reactors during and after High Temperature Steam Exposure 原子力規制庁長官官房 皆川 武史 Takefumi MINAKAWA Non-member 技術基盤グループ /早稲田大学 原子力規制庁長官官房 池田 雅昭 Masaaki IKEDA Non-member 技術基盤グループ 早稲田大学 平井 直志 Naoshi HIRAI Non-member 早稲田大学 大木 義路 Yoshimichi OHKI Non-member Safety-related low voltage cables used in nuclear power plants are required to maintain their specified electrical insulating function(s) under accident conditions. To examine the electrical insulation behavior of the cables under the accident conditions, two types of cables were tested in accordance with the procedure prescribed in “The Guide for Ageing Evaluation of Cables for Nuclear Power Plants”. That is, the cables were first pre-aged by simultaneous thermal and radiation conditions and then irradiated to simulate the radiation exposure during the accidents. They were subsequently subjected to steam exposure at 171 °C for 14 days or at 200 °C for 7 days. Electrical insulation performance was tested during and after the steam exposure. As a result, all the cables could withstand the voltage required in the final functional test in JIS C 3005: 2000. However, it was found that the insulation resistance per meter of the cable during the steam exposure fell to as low as 104-105 ?m in two conditions. Keywords: nuclear power plant, accident, silicone rubber, ethylene propylene diene rubber, electrical insulation resistance はじめに 原子力発電所で使用されているケーブルは、機器へ電力を供給する機能や機器の監視・制御信号を伝達する機能を する。この ち、 系 圧ケーブル(以下「系ケーブル」)は、供用期間中の設計基準事故(冷却材喪失事故等。以下「DBA」)を含む設計で想定される ての環境条件下において機能を維持することが必要となる[1, 2]。2013 年に日本において施行された新規制基準においては、重大事故(以下「SA」)対策が要求事項となり[3, 4]、万一、原子力発電所がDBA を超えるSA に至った場合においても、原子炉圧力容器内の温度、圧力等の事故対応に 必要となるパラメータを計測可能であることが求められている。一部の 系ケーブルは、この目的のための重大 事故等対処設備とされていることから、通常運転時の使 用条件による経年劣化を経たのちにおいても、SA の高温蒸気条件下で絶縁性能を維持することが必要である[5]。著者らは、これまで、国内の加圧水型原子炉(PWR)で 系ケーブルと て使用されている 圧ケーブルについて、事故環境を模擬する試験を実施するとともに、蒸気暴露中に絶縁抵抗測定を行い、ケーブルの事故時環境下 における絶縁性能を検証 てきた[6, 7]。 本報では、沸騰水型原子炉(以下「BWR」)のDBA 及びSA(以下、両者をまとめて「事故」)時環境下で機能維持が求められるケーブルについて絶縁性能の検証を行った結果について報告する。 試験の実施方針 原子力発電所の原子炉格納容器内等に布設されている 系ケーブルには、高分子絶縁材料が使用されており、通常運転時の 及び により経年劣化が 行する。 Accident simulation (Radiation exposure) Accident simulation (Steam exposure) Accident simulation (Steam exposure) Voltage withstand test (Equivalent to IEEE Std 383) Voltage withstand test (JIS C 3005: 2000) (a) IEEJ Recommendation [9](b) JNES Guide [11] Fig. 1 Comparison of cable type test procedures between the IEEJ Recommendation and the JNES Guide. Pre-aging (Simultaneous thermal and radiation exposure at 100 oC and 100 Gy/h) また、これらのケーブルは、事故時には高温水蒸気と高 量率・大 量の に曝される。このため、これらのケーブルについては、米国電気電子学会規格 IEEE Std 383- 1974[8]に基づき作成された電気学会推奨案[9]に基づき、実プラントで使用されているものと同型式の新品未劣化 ケーブルを供試体と て通常運転時相当の劣化を付与た後、事故を模擬する環境条件に曝 て要求機能を満たすことを検証する型式試験に合格することをもって、供用期間中の健 性を担保 ている。 一方、著者らは、これまでに実施されたDBA を想定た型式試験に関する試験研究[10]に基づき、「原子力発電所のケーブル経年劣化 ガイド」(以下「JNES ガイド」) [11]を策定 た。このJNES ガイドは、原子力発電所の 系ケーブルの DBA を考慮 た健 性 で用いられている。電気学会推奨案と JNES ガイドの型式試験の主な試験項目及び試験の流れをFig. 1 に示す。電気学会推奨案では通常運転時相当の 及び による劣化の付与を逐次と ているのに対 、JNES ガイドでは ・による同時劣化処理で行 ことと ていることが両者の主な違いである。 本研究では、JNES ガイドの手頁に準じ、ケーブルを同時劣化処理 たのち、事故時を模擬する環境条件に暴露 た。また、事故時を模擬する蒸気暴露中にケーブルの絶縁抵抗を継続的に測定 た。さらに、蒸気暴露中のケーブルの絶縁抵抗 下に対する蒸気の影響を検証するため、大気中で蒸気暴露時と同温度で加 ながらケーブルの絶縁抵抗を測定 た。 試験方法 3 1 試料 国内 BWR においては、シ ーンゴム絶縁ガラス組シースケーブル(以下「SiR ケーブル」)及び 燃エチ Table 1 Names, materials, structures, sizes, and lengths of the tested cables Name Insulation Nominal external diameter (mm) Nominal conductor size (mm2) Number of cores Nominal insulation thickness (mm) Length (m) Jacket SiR cable Silicone rubber 10.5 2.0 3 1.1 2.5 Glass brading FR-EPDM cable Flame-retardant ethylene propylene diene rubber 11.5 2.0 3 0.8 2.5 Polychloroprene レンプロピレンジエンゴム絶縁特殊クロロプレンゴムシースケーブル(以下「FR-EPDM ケーブル」)が 系ケーブルと て使用されている[12]。Table 1 に本研究で用いたケーブルとその概要を示す。本研究では、これらのケー ブルの新品未劣化品を試料と て用いた。 3 2 試験方法 3 2 1 経年劣化処理 ケーブルの通常運転時の 及び による経年劣化を模擬するための経年劣化処理(以下「劣化処理」)と て、未劣化ケーブルをガンマ 照 施設内に設置 た恒温槽に入れ、100°C でTable 2 に示す期間加 ながら、100Gy/h の 量率で 60Co ガンマ を照 た。劣化処理時間は、先行研究において JNES ガイドの試験方法に基づき DBA を模擬 た試験に合格 たケーブルの 長劣化処理時間と た[10]。 3 2 2 事故環境の模擬 事故時に想定される原子炉格納容器内の温度・圧力は、DBA 時よりもSA 時においてより高温・高圧となる。このため、本研究では、SA を考慮 て事故環境の模擬条件を設定 た。 事故時環境の模擬は、事故時の 環境を模擬する照 (以下「事故時照 」)とそれ以外の環境を模擬する蒸気暴露からなる。これらを同時に行 ことは試験設備 であることから、事故時照 の後に蒸気暴露を行った。なお、事故時照 を行った後に蒸気暴露を行 方が、これらを同時に行 よりも、ケーブル絶縁材料の強度下が大きな厳 い劣化を与える[13]との報告がある。前記の経年劣化処理を行ったケーブルと、比較参照用と てこの劣化処理を行わない新品未劣化ケーブルについて、以下 3.2.2.1 及び 3.2.2.2 に示すとおり、2 種類の事故環境を模擬 た。これらの試験の蒸気暴露の温度プロファイル、本研究で試験対 と た 2 種類のケーブルが使用されている国内の BWR で想定される SA 時の原子炉格納 容器内の温度プロファイル[14-17]及び先行研究において実施 た DBA を模擬する蒸気暴露の温度プロファイル[10]をFig. 2 に示す。 3 2 2 1 試験条件1 試験条件1 は、SA シナ オに対 SA 対策が実施された場合に想定される原子炉格納容器内の温度・圧力条件[14-17]に基づ 試験である。ここでは、SA 対策の 効性 において な とも7 日間(168 時間) すること 225 200 Temperature (oC) 150 100 50 0 -20 050100 150 200 250 300 350 400 が要求されていること[4]を まえ、より長期間 SA が継続 た場合における健 性を調査するため、14 日間(336 時間)の事故時環境を模擬 た。事故時照 、蒸気暴露の条件をそれぞれ以下(1)、(2)に示す。また、蒸気暴露にお ける蒸気の影響を調査するために実施 た大気中加 の条件を以下(3)に示す。 事故時照射 劣化処理ケーブル及び未劣化ケーブルに対 、室温において60Co ガンマ 量率10kGy/h で照 を行った。前述のとおり、想定する事故期間は 14 日間である。また、国内 BWR の運転期間 長 可 の劣化 では、SA 時の 量は 640kGy とされている[12]。これらを まえ、事故発生後 7 日間の 量は裕度を含めて800kGy と 、14 日間の 量を2 倍の 量と て1,600kGy と た。 蒸気暴露 本研究で試験 た 2 種類のケーブルが使用されている国内のBWR では、SA 時の原子炉格納容器内の 高温度は、事故発生 期の 期間の温度 を と、 170°C、 大圧力は 0.64MPaG である[14-17]。これらの条件を模擬する試験と て、温度171°C、圧力0.60MPaG の過蒸気による蒸気暴露を14 日間行った。 大気中加熱試験 の事故時照 を実施後、ケーブルを恒温槽に設置、 の蒸気暴露の温度と同じ171°C で14 日間、大気中で加 た。 3 2 2 2 試験条件2 試験条件 2 は、原子炉格納容器の限 温度を まえた試験である。また、SA 対策の 効性 において なとも7 日間(168 時間) することが要求されていること[4]を まえ、7 日間(168 時間)の事故時環境を模擬た。事故時照 、蒸気暴露の条件をそれぞれ以下(1)、(2) に示す。また、蒸気暴露における蒸気の影響を調査するために実施 た大気中加 の条件を以下(3)に示す。 Time (h) Fig. 2. Various temperature profiles; 1) steam exposure under conditions 1 (-・-・) and 2 (---) of this study, 2) in a primary containment vessel under the postulated SA for BWRs in Japan (?, ?, ?, ?), 3) steam exposure simulating DBA used in previous studies (??????). 事故時照射 劣化処理ケーブル及び未劣化ケーブルに対 、室温において60Co ガンマ 量率10kGy/h で照 を行った。前述のとおり、試験条件 2 で想定する事故期間は 7 日間である。また、国内BWR の運転期間 長 可 の劣化 では、SA 時の 量は640kGy とされている[12]。これらを まえ、裕度を含めて照 量を 800kGy と た。 蒸気暴露 国内の BWR では、原子炉格納容器の限 温度、圧力は、それぞれ200°C、2Pd(設計圧力Pd の2 倍。Pd はプラントにより なる。)と されている[14-17]。これを まえ、試験温度は 記限 温度を 含する条件と て200°C 一定、試験圧力は0.62MPaG 一定(使用 た蒸気暴露装置の試験実施時点における性能 限)と 、過 蒸気による蒸気暴露を7 日間行った。 大気中加熱 の事故時照 を実施後、ケーブルを恒温槽に設置 、 の蒸気暴露の温度と同じ200°C で7 日間、大気中で加 た。 3 2 3 絶縁抵抗測定 日本 規格「ゴム・プラスチ ク絶縁電 試験方法」 (JIS C 3005: 2000、4.7 項)[18]に準じ、3.2.2.1(2)及び 3.2.2.2(2)の蒸気暴露中に、 ネクタを介 て蒸気暴露装置外に引き出 たケーブルの絶縁芯 3 本の ち2 本を絡させた で、他の1 本との間に直流電圧 大100V を継続的に印加 、漏洩電流を 2 分-とに測定 た。印加電圧値を漏洩電流値で すことによってケーブルの絶縁抵抗が得られるが、この値は、試験ケーブルの長さに反比例 Table 2 Conditions of pre-aging and accident test and results of insulation performance test Cable name Pre-aging period (h) Radiation dose (kGy) Accident simulation (steam exposure) Test time (h) Minimum resistance to pass the test (?m) Voltage withstand test result SiR cable 0 1,600 171 °C, 0.60 MPaG 336 5.5 x 104 Passed 6,241 1,600 171 °C, 0.60 MPaG 336 6.3 x 104 Passed 0 800 200 °C, 0.62 MPaG 168 6.8 x 104 Passed 6,241 800 200 °C, 0.62 MPaG 168 1.6 x 105 Passed FR-EPDM cable 0 1,600 171 °C, 0.60 MPaG 336 1.1 x 105 Passed 6,990 1,600 171 °C, 0.60 MPaG 336 9.9 x 104 Passed 0 800 200 °C, 0.62 MPaG 168 9.9 x 104 Passed 6,990 800 200 °C, 0.62 MPaG 168 8.6 x 104 Passed する。そこで、JIS C 3005:200 の4.7.1 項に示された換 式に準じ、得られた絶縁抵抗にケーブル長を乗じてケーブル長1 メートル当たりの絶縁抵抗(以下「換 絶縁抵抗」とい 。)を 出 た。また、3.2.2.1(3)及び3.2.2.2(3)の大気中加 についても同様にケーブルの換 絶縁抵抗を求めた。 3 2 4 耐電圧試験 蒸気暴露後のケーブルについて、日本 規格「ゴム・プラスチ ク絶縁電 試験方法」(JIS C 3005: 2000、4.6(a) 項)に基づき、水中で交流 1,500V(電圧は実効値。商用周波数)、1 分間の耐電圧試験を行った[18-20]。判定基準は「耐電圧試験において供試ケーブルに絶縁 が生じないこと」である。 試験結果 4 1 JNES ガイドに準じた試験 本研究で蒸気暴露を行った ての SiR ケーブル及びFR-EPDM ケーブルは、 機能試験と て実施 た JIS C 3005: 2000 に基づ 耐電圧試験に合格 た。 4 2 絶縁抵抗測定 4 2 1 試験条件1 171°C、0.60MPaG、14 日間の蒸気暴露時のケーブルの換 電気抵抗の推移Fig. 3 に示す。Fig. 3 では、蒸気暴露装置内の温度及び圧力が171°C、0.60MPaG 以 となった時点を開始時間(0h)と て図示 ている。ケーブルの換 絶縁抵抗は、蒸気暴露開始後にSiR ケーブルは80 時間程度まで、FR-EPDM ケーブルは100 時間程度まで 下 た後、104 105?m 程度でほぼ一定となる。劣化ケーブルと未劣化ケーブルは同様の挙動を示す。また、蒸気暴露と同温度の 171°C で大気中加 時の換 絶縁抵抗の推移をFig. 3 に併せて示す。なお、測定開始後 24 102 時間において測定中 があったことからこの期間の ータは含まれていない。SiR ケーブルの換 絶縁抵抗は、加 開始後に温度 とともに 下 1010?m 程度となった後 、開始後100 時間以降においては1011?m 程度以 で 一定となる。一方、FR-EPDM ケーブルは、加 開始後に温度 とともに 下 、 的に 107?m 程度となる。 4 2 2 試験条件2 200°C、0.62MPaG、7 日間の蒸気暴露時のケーブルの換 絶縁抵抗の推移をFig. 4 に示す。Fig. 4 では、蒸気暴露装置内の温度及び圧力が200°C、0.62MPaG 以 となった時点を開始時間(0h)と て図示 ている。ケーブルの換 絶縁抵抗は、蒸気暴露開始後にSiR ケーブルは80 時間程度まで 下 た後、ほぼ一定となる。劣化ケーブルと未劣化ケーブルは同様の挙動を示す。FR-EPDM ケーブルは劣化ケーブルでより 期に換 絶縁抵抗が 下する傾向が られたが、100 時間程度まで 下 た後、104 105?m 程度でほぼ一定となる。また、蒸気暴露と同温度の200°C で大気中加 時の換 絶縁抵抗の推移を Fig. 4 に併せて示す。SiR ケーブルの換 絶縁抵抗は、加 開始後に温度 とともに 下 1010?m 程度となった後 、開始後 100 時間以降においては 1011?m 程度以 で一定となる。一方、FR-EPDM ケーブルは、加 開始後に温度とともに 下 、劣化処理ケーブルは107?m 程度、未劣化ケーブルは106?m 程度となる。 考察 試験条件1 及び2 に供試 た てのSiR ケーブル及びFR-EPDM ケーブルは、JNES ガイドに規定された健 性判定試験である耐電圧試験に合格 た。 一方、蒸気暴露中の絶縁抵抗測定では、いずれのケーブルについても、Fig. 3 及び4 に示すよ に、試験条件1 及び 2 においてともに蒸気暴露開始後 100 時間程度までに換 絶縁抵抗が 下 た後、104 105?m 程度となる。これらより、SA を模擬 た条件に暴露された後に 機能試験の耐電圧試験に合格 た場合であっても、ケーブルの絶縁抵抗は、蒸気暴露中に大き 下する可能性があることが分かった。このため、SA 条件下におけるケーブルの健 性 試験においては、蒸気暴露時にケーブルの絶縁抵抗を測定 、測定結果を考慮 て を行 SiR cable FR-EPDM cable Fig. 3. Insulation resistances per meter (?, ---) as a function of time, during and after the steam exposure at 171 °C and 0.60 MPaG for 336 h (condition 1), measured for the two cables with and without pre-aging. The resistances measured at 171 °C in dry air are also shown by ? and --- . The curves -・-・ and -・・- are the temperature and pressure profiles, respectively. SiR cable FR-EPDM cable Fig. 4. Insulation resistances per meter (?, ---) as a function of time, during and after the steam exposure at 200 °C and 0.62 MPaG for 168 h (condition 2), measured for the two cables with and without pre-aging. The resistances measured at 200 °C in dry air are also shown by ? and --- . The curves -・-・ and -・・- are the temperature and pressure profiles, respectively. ことが重要である。 本研究では、絶縁芯 間の漏洩電流、即ちケーブル絶縁体のシ ーンゴム(以下「SiR」)及びエチレンプロピレンジエンゴム(以下「EPDM」)中の電流を測定 た。実用絶縁ゴムの電気伝導は、イオン伝導によるものとさ れている[21]。また、イオン伝導を担 イオン供給源は、絶縁体中に存在する不純物、各種添加剤及び吸湿とされ ている[22]。本研究の大気中加 試験時のケーブルの絶縁抵抗の挙動は、加 によるベースポ マーの構造変化によって絶縁体中の不純物等により生じたイオンの動きや すさが変化することを反映 ていると推定される。 記の蒸気暴露中のケーブルの電気抵抗は、Fig. 3 及び4 に示すよ に、同温度の大気中加 時と比較 て い。SiR は気体 過性が高 [23]、水蒸気の 過性も高い[24]。EPDM は、一定のガス 過性を する[25]。これらより、 蒸気暴露中においては、大気中加 時と同様の絶縁体中の不純物等による電気伝導に加え、ケーブル絶縁体中への蒸気の浸 のために、ケーブルの絶縁抵抗がより 下する可能性が考えられる。 まとめ 国内 BWR プラントで使用されている 系ケーブルの事故環境下におけるより詳細な絶縁性能を検証することを目的と て、SiR ケーブル及びFR-EPDM ケーブルに対 、JNES ガイドに準じてSA 環境を模擬する試験を行った。また、蒸気暴露中及び大気中加 時にケーブルの絶縁抵抗を測定 、以下の結果を得た。 SiR ケーブル及びFR-EPDM ケーブルは、JNES ガイドに準じてSA 環境を模擬 た試験(試験条件1 171°C、0.60MPaG で 14 日間及び試験条件 2 200°C、0.62MPaG で7 日間)では、 機能試験であるJIS C 3005: 2000 に基づ 耐電圧試験に合格 た。 SiR ケーブル及び FE-EPDM ケーブルにおいて、蒸気暴露中のケーブル長さ 1m 当たりの絶縁抵抗は、試験条件 1 及び 2 いずれにおいても 104 105 ?m 程度まで 下することが確 された。 SA 条件下におけるケーブルの健 性 試験においては、蒸気暴露時にケーブルの絶縁抵抗を測定 、測定結果を考慮 て を行 ことが重要である。 高温蒸気条件下におけるケーブルの電気抵抗 下には、蒸気の浸 が寄与 ていると考えられる。 参考文献 原子力規制 会 実用発電用原子炉及びその施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(第 十二条第三項)”、平成25 年原子力規制 会規則第5 号、2013 United States Nuclear Regulatory Commission: “General Design Criteria for Nuclear Power Plants - Criterion 4”, 10 CFR Part 50 Appendix A, 2015 原子力規制 会 実用発電用原子炉及びその 施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(第三十七条第二項)”、平成25 年原子力規制 会規則第5 号、2013 原子力規制 会 実用発電用原子炉に る炉傷防止対策及び格納容器 防止対策の 効性に関する審査ガイド(2.2.1 項(4)及び3.2.1 項(4)) ”、平成25 年6 19 日原規技発第13061915 号、pp. 3、14、 2013 原子力規制 会 実用発電用原子炉及びその施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(第 十三条) ”、平成25 年原子力規制 会規則第5 号、2013 皆川武史、池田雅昭、平井直志、大木義路、 重大事故模擬環境下における原子力発電所用 系ケーブルの絶縁性能”、日本保 学会第14 回学術講演会要旨集、松山、2017、pp.395-399. T. Minakawa, M. Ikeda, N. Hirai and Y. Ohki, “Insulation Performance of Safety-related Cables for Nuclear Power Plants under Simulated Severe Accident Conditions”, Conference Proceedings of International Symposium on Electrical Insulating Materials (ISEIM) 2017, 2017, pp716-719. Institute of Electrical and Electronics Engineers: “IEEE Standard for Type Test of Class 1E Electric Cables, Field Splices, and Connections for Nuclear Power Generating Stations”, IEEE Std 383-1974, pp. 10-12, 1974 電気学会 原子力発電所用電 ・ケーブルの環境試験方法ならびに耐 性試験方法に関する推奨 案”、電気学会技術報告(II 部)第139 号、1982 原子力 基盤機構 原子力プラントのケーブル経年変化 技術調査研究に関する 報告 ”、JNES-SS-0903、pp. 39-124、179-245、2009 原子力 基盤機構 原子力発電所のケーブル経年劣化 ガイド”、JNES-RE-2013-2049、2014 日本原子力発電 東海第二発電所運転期間 長 可 (発電用原子炉施設の運転の期間の 長) (添付 類二 東海第二発電所劣化 )”、発室発第176 号、2017 Brookhaven Natinoal Laboratory, “Literature Review of Environmental Qualification of Safety-Related Electric Cables”, NUREG/CR-6384, p. 2-17 (1996) 中国電力 島根原子力発電所の発電炉設置変 可 (2 号原子炉施設の変 )添付 類十”、電 炉技第14 号、2013 日本原子力発電 東海第二発電所発電用原子炉設置変 可 (発電用原子炉施設の変 )本 及び添付 類の一部補正 添付 類十”、総室発第60 号、2017 東京電力 原子力発電所原子炉設置変可 (6 号及び7 号原子炉施設の変 )添付 類十”、原管発官25 第192 号、2013 北陸電力 志賀原子力発電所発電用原子炉設置変 可 (2 号原子炉施設の変 )添付 類十”、原第22 号、2014 日本 規格 ゴム・プラスチ ク絶縁電 試験方法”、JIS C 3005: 2000、2000 日本 規格 600V けい ゴム絶縁電 ”、JIS C 3323: 2012、2012 日本 規格 600VEP ゴム絶縁ケーブル”、JIS C 3621: 2000、2000 志賀徹夜 実用ゴムの電気性能”、日本ゴム 会誌 38 巻10 号pp. 930-939、1965 田正 、 高分子の電気伝導”、電気学会雑誌89 巻968 号、pp. 812-825、1969 W. 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