溶解槽燃料装荷バスケットの遠隔操作による肉厚測定

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カテゴリ: 第15回
溶解槽燃料装荷バスケットの遠隔操作による肉厚測定 Remote wall thickness measurement of the fuel basket of the dissolver (国)日本原子力研究開発機構 横田 知 Satoru YOKOTA Non-Member (国)日本原子力研究開発機構 畑中 聡 Akira HATANAKA Non-Member (国)日本原子力研究開発機構 藤森 真仁 Masahito FUJIMORI Non-Member (国)日本原子力研究開発機構 下山田哲也 Tetsuya SHIMOYAMADA Non-Member (国)日本原子力研究開発機構 中村芳信 Yoshinobu NAKAMURA Non-Member A dissolver which is a device for dissolving spent fuel is composed of one slab and two barrels (stainless steel 310s). The fuel basket (stainless steel 304L) installed in the barrel is a device for taking out of the insoluble fuel cladding from the dissolver. The inside of the dissolver become high corrosive environment because dissolution is carried out under high temperature and high acid concentration. We developed the remote handling maintenance device and carried out the periodical thickness measurement of the dissolver because corrosion failure has occurred in the past. On the other hand, the thickness measurement of the fuel basket was carried out only once by destructive measurement at the time of renewal. Understanding of the corrosion tendency of the fuel basket and establishing of the non-destructive measurement method by remote handling are required. Therefore, we examined the method of thickness measurement of the fuel basket and established it. Keywords: TRP, Dissolver, Fuel basket, thickness measurement, Remote handling, Non-destructive measurement 1 緒言 東海再処理施設は廃止措置段階に移行し、今後、機器等の系統除染、解体を行っていく計画である。廃止措置にあたり、機器の汚染状況の把握や除染方法の検討など、 解決すべき技術的課題は多岐にわたるが、現状の裔経年化(腐食状況等)を把握することは、解体等の技術開発のた に な ー となる。また、裔線 下での遠隔 操作による非破壊試験は、原子力施設における遠隔操作での貴 な ー となる。 図1 使用済燃料の溶解を行う溶解槽及びセル概要連絡先 横田 知、〒319-1194 茨城県那珂郡東海村村松4-33、(国)日本原子力研究開発機構 E-mall yokota satoru@jaea go jP そこで、放射線を遮へいする厚いコンクリートで囲ま れた部屋(以下、セル)内に設置され、裔腐食環境にあ る濃縮ウラン溶解槽(以下、溶解槽)の燃料装荷バスケ ット(以下、バスケット)の遠隔操作による肉厚測定を 行い、腐食評価を行うこととした(図1)。 溶解槽はせん断した使用済燃料を溶解する機器であり、 2 つの円筒状の溶解部(以下、バレル部)と平板状の貯液部(以下、スラ 部)で構 されている( 31 系)(図2)。 図2 溶解槽の概要図 使用済燃料の溶解は、バレル部にバスケットを挿入し、 その中にせん断した使用済燃料を装荷した状態で、沸騰硝酸雰囲気で行う(表1)。溶解終了後は、バスケットごとバレル部から取り出し、溶け残った被覆片等を回収する。 表1 濃縮ウラン溶解槽の運転条件 硝酸濃度 溶解温度 溶解時間 2,--. 5 mol/L 11 ℃ 約1 時間 沸騰硝酸条件で使用する溶解槽は、その厳しい運転条件により、これまでにバレル部の加熱部溶接線付近に腐食貫通孔が生じ溶解液が漏洩したた 、遠隔補修装置を開発し補修溶接を行っている1)。補修後は、定期的にバレル部の肉厚測定2)、溶接部の発泡試験、外観点検を行い、健全性を確認しながら運転に供してきた。一方、同じ使用条件下にあるバスケット( 3 4L 製)は、溶解槽からの取り出し時に 点検を行ってきたが、腐食評価としては、平 11 年にバスケットを切断、廃棄した際に切断面をノギスで測定したのみであり、腐食 ー を蓄積するた に遠隔による非破壊での肉厚測定を行うこととした。 本稿では、バスケットの肉厚測定を行うた の測定器の開発、モックアップ試験及び実際の測定結果について する。 2 測定器の 発 セル内機器の非破壊での腐食評価は、遠隔による測定 器の操作性や耐放射線性等の特殊性から、新たな機器開発を行った場合、実用化検討及び検証の長期化が避けられず、それに伴いコストが増加することとなる。 そのた 、低コストで繰り返し使用可能であり、再処理施設の類似機器への 用ができるよう、市販品をベースに、次の3 種類(①ノギス、②ダイヤルキャリパーゲージ、③超音波厚さ計)の測定器について、以下の観点 から 用性について検討を行った。 2 1 適用条件 遠隔操作性 肉厚測定はセル内のマニプレー 及びクレーンを使用しての操作となる。また、作業員は約1m の鉛入りガラス越し、又はカメラの映像でセル内のバスケットや測定器の 置等を確認しながらマニプレー 等の操作を行い、mm 単 での測定を実施する必 があることから、遠隔による操作が容易で単 な測定方法とした。 耐放射線性 セル内は、裔線 (25 ,--. 3 m v/h 程度)かつ裔汚染環境である。電子部品を含む測定器の場合、放射線の影響により、通常の使用可能時間よりも大幅に短くなることから、ある程度の耐放射線性があり、繰り返しの利用に耐えうる測定器とした。 付着物対策 バスケットは、表面に付着物や腐食等が想定されるた 、荒れた表面においても測定が可能であること。さらに、付着物等の除去により測定を可能にするた 、マニプレー での取扱いが可能な付着物を除去する冶具等も合わせて検討した。 2 2 適用性の検討結果 ノギス及びダイヤルキャリパーゲージは、耐放射線性 に優れているが、遠隔での作業には、測定器を保持する た の専用の冶具が必 である。いずれの測定も測定自体は単 な作業であり、 用性は裔いものと え、モックアップ試験を実施した(表2)。 表2 測定器の適用性について 測定機器 遠隔操作性 耐放射線性 付着物 測定精度 ノギス △ (適正角度での保持が必要) ゜ (問題なし) △ (除去が必要) ゜ (士0 08mm) ダイヤルキャリパー ー △ ( ー の操作が必要) ゜ (問題なし) ゜ ( ) △ (士0 mm) 超音波厚さ計 ゜ (問題なし) △ (耐放射線性データなし※) △ (除去が必要) ゜ (士0 0mm) ゜ 良、△ 可又は条件付可、X 不可 ※溶解槽等の肉厚測定で適用例あり 3 モックアップ試験 用性の検討結果で課題となった遠隔操作のた の冶具を製作し、セル外でクレーンを用いた資 の運搬及び上記3 種の測定器の測定手順の検討を行った。その手順に基づき、低線 (2 ,--. 3 m v/h)のセルで実機と同じマニプレー を使って、実物と同じ の バスケット (長さ1/3)を用いたモックアップ試験を実施した。測定は バスケットの3 点(上部(12 m)、中部(3 m)、下部(6 m))を外周9 度ごとに実施した(図3、表3)。モックアップ試験の結果から、操作性が最も良好であ り、放射線環境下においても 用可能であった超音波厚 さ計について、実機への 用を検討することにした(表4)。 図3 ノギスによる肉厚測定モックアップ概要図 表3 モックアップ試験(セル外、セル内)による測定結果 測定 器 測定 測定箇所 (上端か の位置) セル外での測定 (m)※1 セル内での測定 (m)※1 ノギス 外径測定 ※2 120m (/)229 68 (/)229 73 ※2 内径測定は姿勢の維持が難しく肉厚測定はできなかっ た。 300m (/)229 50 (/)229 60 600m (/)229 63 (/)229 76 ダイヤルキャリパーゲージ 肉厚測定 120m 5 78 5 81 ※3 バスケット上端か 挟み込むため測定不可 300m ※3 ※3 600m ※3 ※3 超音波厚さ計 肉厚測定 120m 5 85 5 78 300m 5 90 5 85 600m 5 90 5 88 図4 付着物除去モックアップ概要図 ※1 表4 モックアップ試験での比較 測定 器 ック ップ ノギス 長所 ・バスケットに対し垂直に保持できる冶具を使用することで外径の測定は 容易に測定可能。 短所 ・内径測定 はノギスの姿勢維持が 難。 ダイヤルキャリパーゲージ 長所 ・把持冶具を取り付けることで、操作性が 上し容易に測定可能。 短所 ・測定はバスケット開口部の上端部のみに限定。 超音波厚さ計 長所 ・放射線環境下(20-30mSv/h)においても6日間測定可能。 ・遠隔での操作性は良好。 ・測定 はダイヤルキャリパーゲージと同等の を示した。 短所 ・付着物を除去しなければ測定できない。 図 遠隔による付着物除去モックアップ概要図 4 バスケットの肉厚測定 バスケットをマニプレー 及びクレーンで 定用の木に乗せ、研磨剤入りスポンジにより金属光沢が出るまで表面の付着物を除去した。その後、超音波厚さ計(AND 製AD-3253)を用いて、 片で しながらバスケットの肉厚測定を行った(図6)。測定ポイントとして、バスケットの上端から12 m、925 m、173 mの3 箇所に対し、周方向9 度間隔に4 点の合計12 点について測定を行った(図7)。 超音波厚さ計は、ある程度の腐食状態であれば 用可能であるが、表面の付着物については、これまで 用の可否を検討したことがない。そこで、付着物除去の可否について、市販の研磨 入りスポンジ、サンドペーパー及びワイヤ ラシについて操作性及び除去作業の母 への影響の観点で、検討を行った(図4、5)。その結果、研磨 入りスポンジは、母 への影響が少なくマニプレー による遠隔操作が容易であるた 、実際のバスケットの肉厚測定において使用することとした。 図6 超音波厚さ計による肉厚測定概要図 程度の放射線環境下でも約2 日間使用可能であった。肉厚測定の際、超音波厚さ計は本体をセル内に入れて 行ったが、より裔線 の場合は探触子ケー ルを延長し、セル内点検孔等を利用することにより本体をセル外に置いて測定することも可能である。 測定箇所 上端か120mm 上端か925mm 上端か1730mm 12 5 35 5 38 5 33 12 5 38 5 40 5 43 10 - 11 6 0 5 結言 ※ 12 、 バスケットは の ※ 10 - 11 バスケットは 計 図7 バスケット肉厚測定ポイント概要図 この結果、溶解槽3 基のうち処理バッチ数が多い溶解槽R1 、R11 用のバスケットでは、バスケットの上部の方が下部よりも腐食が進んでいることが確認された(表5)。 表 各バスケットの肉厚測定結果 測定箇所(上端か の位置) 10 10 11 11 12 12 バッ 784 1251 289 120mm (最小 ) 4 05 (3 90) 4 40 (4 30) 4 10 (4 10) 4 55 (4 50) 5 00 (4 90) 4 95 (4 70) 925mm (最小 ) 4 28 (4 10) 4 63 (4 30) 4 50 (4 40) 4 65 (4 40) 4 90 (4 70) 5 13 (5 00) 1730mm (最小 ) 4 48 (4 10) 4 93 (4 90) 4 73 (4 60) 4 93 (4 90) 5 03 (5 00) 4 90 (4 70) また、今回の測定値を処理バッチ数ごとに整理すると、 バスケットの肉厚は処理バッチ数の増加とともに減肉傾向であり、腐食の 理はバッチ数での評価が 切であることが確認された(図8)。 市販の3 種類の測定器のモックアップ試験及び超音波厚さ計による実機の肉厚測定によって遠隔操作による非破壊検査方法を確立するとともに、燃料装荷バスケットの腐食傾向を把握した。また、市販の超音波厚さ計でも、 放射線環境下で繰り返し使用可能であり、付着物の除去等の下処理により再処理施設の類似機器への 用も可能であると える。 なお、今回実機で採用しなかったが対象物の形状によ っては、ノギス、ダイヤルキャリパーゲージも 用可能と える。 今後は、廃止措置の中でその の機器の腐食状況について 査を進 、プラント の再処理施設の ー を蓄積する予定である。 照沼 朋広,濃縮ウラン溶解槽の遠隔検査装置の開発,日本保全学会,「第5 回学術講演会」 旨集, P 129-132,(2 9) 木 一 濃縮ウラン溶解槽における腐食評価,腐食防食協会,「第54 回 料と環境討論会」予稿 集(2 7) 以上 図8 肉厚測定値と処理バッチ数(R 0A、R12A) 今回の測定では、一連の遠隔によるセル内作業(バスケットの付着物の除去、超音波厚さ計による肉厚測定等) に約4 日の日数を し、超音波厚さ計は、25 ,... 3 m v/h
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