渦電流試験によるオーステナイト系ステンレス鋼の水素脆化における相変態評価

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カテゴリ: 第16回
渦電流試験によるオーステナイト系ステンレス鋼の水素脆化における相変態評価 Evaluation of Phase Transition of Austenitic Stainless Steel due in Hydrogen Embrittlement by Eddy Current Magnetic Signature Method 東北大・流体研 武田 翔 Sho TAKEDA Member 東北大・流体研 内一 哲哉 Tetsuya UCHIMOTO Member 東北大・流体研 高木 敏行 Toshiyuki TAKAGI Member 東北大・大学院 山本 宏樹 Hiroki YAMAMOTO 産総研 榎 浩利 Hirotoshi ENOKI 産総研 飯島 高志 Takashi IIJIMA Abstract In this study, we focus on the eddy current testing (ECT) as a method to investigate the hydrogen embrittlement mechanism of austenitic stainless steels which are widely used in hydrogen components. ECT is applied to hydrogen-charged austenitic stainless steel AISI 304 specimens with different amounts of residual strain. Permeability values of the specimens are estimated by comparing the signals obtained by the ECT experiment and the results of the electromagnetic field analysis, and the phase transformation is evaluated from the change of the permeability. As a result, it is confirmed that the relative permeability increase with increasing the applied strain, and the relative permeability also increase only by charging hydrogen. From these results, it is indicated that α’ phase increases by both charging hydrogen and applying strain. Therefore, the possibility of ECT as an in-situ evaluation method of the phase transformation of austenitic stainless steel by hydrogen charge is suggested. Keywords: hydrogen embrittlement, nondestructive evaluation, eddy current testing, austenitic stainless steel, martensitic transformation 1 緒言 近年,従来の化石燃料に代わるよりクリーンなエネル ギーキャリアとして,水素が注目を集めている.例えば, 水素を燃料として用いる水素燃料電池自動車は,ここ 10 年の間で急速に開発が進んでいる.一方で,水素ステーシ ョンの普及は未だ進んでおらず,その背景には,関連機器 の水素脆化の が る. 水素関連部品に広く用いられるオーステナイト系ステ ンレス鋼の水素脆化に関しては,そのオーステナイト相 の安定性と水素脆化感受性との間に相関性が ることが報告されているものの[1],そのメカニズムは詳細には明ら かになっておらず,水素普及への大きな課 となっている.特に,加工誘起マルテンサイト(α’)の水素脆化への寄 については未解明の部分が多い.α’量と水素脆化との関係の解明には,α’量の定量的なモニタリングが求められるが,未だin-situ 測定技術は確立していない. そこで著者らは,α’量のin-siu 測定方法として渦電流試験法(Eddy Current Testing: ECT)に着目している.先行研究ではオーステナイト相とマルテンサイト相の磁性の差 に着目し,ECT により得られた信号と電磁場解析から材料の透磁率を推定することで SUS304 試験片の残留 ず みの増加に伴う α’量の変化を定量的に検出できており[2], ECT によるα’量のin-siu 測定の可能性が示唆されている. 本研究ではECT のオーステナイト系ステンレス鋼の水 素チャージによる α’量変化を in-situ で測定する技術としての可能性を検討するため,水素を添加したオーステナイト系ステンレス鋼の相変態の評価を ECT により行う. なる量の ずみを した水素チャージ試験片に対しECT を適用し,ECT 信号と電磁場解析から試験片の透磁率変化を推定することで相変態を評価する. 2 実験条件 表 1 に本研究で使用する SUS304 板材の化学組成を示 す.今回用いたすべての供試材に対し 1080℃で 30 秒間の溶体化処理を行った.その後,板材を図 1 に示されるようにJIS Z224114B 号試験片に加工し,この試験片に対し水素曝露試験を行った.水素曝露は高圧水素容器を用 い,温度 270℃,圧力 100 MPa の水素ガス中で 300 時間 Table 1 Chemical composition of SUS304 (%). C Si Mn P S Ni Cr Fe 0.06 0.40 1.11 0.032 0.004 8.03 18.01 Bal. Fig. 1 Dimension of specimen. Function generator RefInOut ECT された試験片平行部の比透磁率を推定した. 4 実験結果 図 3 に ずみと電磁場解析により推定した比透磁 率との関係を示す.水素添加の有無に関わらず, された塑性 ずみの増加に伴い,試験片の比透磁率が増加する.これは,塑性 ずみを されることで,オーステナイト相の加工誘起マルテンサイト変態により磁性相で るα’相が増加し,比透磁率が増加したためと考えられる. また,同じ ずみ量でも水素添加後の比透磁率の方が大 Lock-in amplifier Exciting coil Tensile specimen probe Pick-up coil きいことから,水素添加のみでも磁性相が増加すること が示唆された. Fig. 2 Experimental setup. Fig. 3Relation between applied strain and relative permeability of samples. 暴露することで行った.続いて,試験片に塑性 ずみを するため,試験片に対し ずみ速度5.0 X 10-4 s-1 で低ずみ速度試験引張試験を行った. する塑性 ずみを8, 10, 13, 15, 18, 20, 22%と変化させ,8 種類の試験片を作製した. 図2 にECT の 図を示す.ECT はロ クインアンプ,ファンクションジェネレータ,AD 変換器,プローブからなる.プローブには,TR(Transmitter/Receiver) 型プローブを用いた.今回用いた TR プローブには同一の ン ーキ イルを イル間 が 2.0 mm になるように配 している. イルの外径,内径,高さ,および巻き はそれ れ1.7 mm,0.77 mm,2.5 mm,410 回で る. ECT 信号は試験片平行部にプローブを き 得した. また,各試験片の比透磁率を推定するために,変形磁気 ベクトルポテンシャル法に基づく3次元電磁場解析[3]を行った.解析では,材料の透磁率を変化させることで得ら れる渦電流信号を計算した.実験により得られた渦電流 信号と解析結果を比較することで, なる ずみ量を 5 結言 本研究ではECT のオーステナイト系ステンレス鋼の水 素添加による α’量変化を in-situ で測定する技術としての可能性を検討するため,水素を添加したオーステナイト系ステンレス鋼の相変態の評価をECT により行った.その結果,試験片の透磁率は する ずみの増加と共に増加し,また水素の添加のみでも増加することが明らかになった.この結果から,水素添加および ずみ によりa’相が増加することが示唆された.従って,ECT のオーステナイト系ステンレス鋼の水素添加による α’量変化をin-situ で測定する技術としての可能性が示唆された. 一方で比透磁率の変化の要因が α’相の増加で ると断定するためには更なる解析が必要で る.当日は α’相断定のため解析や組織観察を行った結果を示し,ECT 信号とα’量の関係についてより詳細に議論する予定で る. 謝辞 本研究の一部はJKA 研究補 事業 No.158「オース テナイト系ステンレス鋼の水素脆化過程の電磁センシングによる可 化に関する研究開発補 事業 の 成を受けたもので る. 参考文献 L. Zhang, B. An, S. Fukuyama, T. Iijima, and K. Yokogawa, Characterization of hydrogen-induced crack initiation in metastable austenitic stainless steels during deformation, Journal of Applied Physics, Series (A), Vol. 108 (2010), 063526. 佐藤聖也、“励磁制御型渦電流試験法による構造材料の ずみ評価”、東北大学大学院 修士論文、2013. 福冨広幸、高木敏行、谷順二、“渦電流探傷試験における イルとき裂のメ シュレス有限要素解析法”、日本機械学会論文集A 編、Vol. 64、No. 622、(1998).
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