AR技術を活用した保全業務支援ツールの開発

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カテゴリ: 第15回
AR 技術を活用した保全業務支援ツールの開発 Development of a Maintenance Supporting Tool Using Augmented Reality Technology 東芝エネルギーシステムズ(株) 大島 朋美 Tomomi OSHIMA 東芝エネルギーシステムズ(株) 尾崎 健司 Kenji OSAKI Member 東芝エネルギーシステムズ(株) 柏瀬 翔ー Shoichi KASHIWASE 東芝エネルギーシステムズ(株) 西優弥Yuya NISHI Abstract New inspection system is supposed to be introduced in nuclear power plants in Japan. In the corrective action program (CAP) based on quality management system, sharing of nonconformity information, management of corrective and preventative action are required. For management of the corrective action, relevant data have to be correctly and efficiently recorded and managed. In order to address the new system, we developed a maintenance support tool using augmented reality (AR) technology. This tool helps users identify apparatus or parts to be inspected correctly with self-localization and 3D object recognition technology, and assists users’ recognition and judgment of the object conditions. Some of the functions of the tool are presented. Keywords: Maintenance supporting tool, Augmented reality technology, VSLAM はじめに 内の 子 発電所に する 度のう 、 で運用されている 子炉監視プロセス(ROP Reactor Oversight Process)を参考とした検査 度の見直しが行われる。ROP は、公衆の健康と安全を確保するために機関が事業者に し検査および監視すべき内容を体系的に構築したものであり、その内容はパフォーマンス評価(PI)と重要度評価(検査結果に基づくSDP)の大きく2 つに分けられる。このう プラントの性能を評価するPI は、あらかじめ設けられた閾値に基づき定量評価される。して基本検査等の重要度評価は個別検査項目に係る検査ガイドによりリスク情報に基づき実施される。また、発電所の品質に影響を及ぼす事象を 象として必要な 応を講じていくほか、安全上の問題を自ら見つけ出し、これを解決することによって重要な問題の再発防止や未然防止を っていく プロ ラムも される。上記の検査 度の見直しに する事業者の 応として、 連絡先:大島 朋美、〒235-8523 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8、東芝エネルギーシステムズ(株)、 E-mail: tomomi.oshima@toshiba.co.jp 保守管理活動の結果(作業記録等)を確実に収集・記録 すること、また発電所における安全上の問題を、事業者を めた発電所の関係者全 で自発的に発見・収集していく必要があるが、 度の見直しをうけ、プラントの品質管理上長年の課題である以下の解決も重要となる。 ・作業 の誤解や手順の見落としによる不適合の発生や、 場での手書きの記録を作成、電子化する時の誤植等ヒューマンエラーの発生が問題となる。 ・発電所における安全上の問題を発電所の関係者が自発的に発見・収集していくためには、発見へのインセンティブと併せて気づき事項を容易に収集・記録する仕組みが必要。 これらの課題を解決するため、発電所内での点検・記録等の保全活動の効率化(負荷軽減)と機械化によるヒューマンエラーの 減を実 するため、 実(AR) や 定 を活用して、 場で 易に点検 象や の特定や、作業内容の確認、 管理、報告ができる保全業務支援ツールを開発した。本発表ではその開発内容について報告する。 機能検討 機能の具体化検討として、日本機械学会 子 の安全 の最適化に関する研究会[1]、 子 委 会の検査 度の見直しに関する検討会資料等のう 、検査 度の見直し、放射線環境の把握や検査記録の管理、機器の監視方法等に関連する内容を抽出し、事業者・ 側が抱える課題を以下のように抽出した。 ①審査 応の効率化 ② 場の負荷削減・作業効率化 ③保全業務効率化、保全計画自動更新 ④記録作業の効率化 このう ②、③、④に関して、保全タスク分類と代表的な試験である系統試験・耐圧試験の手順書の作業項目を例として支援が必要な 象を以下のように抽出した。 ① 象機器の設 場所 ②試験・操作手順、指示内容 ③測定器取り付け ④実施確認記録 ⑤写真での点検・作業結果の記録 適用技術 抽出した作業を支援するため、RGB カメラ、魚眼カメラ、赤外線深度センサーを搭載するタブレット端末を利用する支援ツールを開発した。Fig.1 に示すように作業は端末を携帯し、 場に り 情報と点検 象や点検 について、端末で確認をする。ツールの構成について以下で述べる。 Fig.1 Application image of the tools 自己位置推定および空間認識 開発した保全業務支援ツールは、RGB カメラ、魚眼カメ ラ、赤外線深度センサーを搭載するタブレット端末で構成される。 端末のカメラ・赤外線深度センサーを用いて、周囲の物体の特徴点を抽出し、動画像を解析し物体の特徴点(例えば角など)をリアルタイムに追跡し、 ・姿勢、3D 情報を 定するVSLAM(Visual Simultaneous Localization and Mapping) を採用し、端末の の算出や 象機器の認識を可能としている。Fig.2 に、VSLAM の概念を示す。点検開始箇所に配 する QR コード状のマーカー を起点(0 点)とした3 次元空間を構築、各地点で周囲の特徴点との距離を順次算出し、端末の 3 次元座標を算出する。その結果、GPS が利用できない屋内においても端末の の 定および周囲にある点検 象の認識が可能となる。 Fig.2 Self-localization method using VSLAM 点検対象物の認識 点検作業における 象機器等の認識に関しては、あらかじめ撮影した 象機器の画像を認識用のマーカーとし て、端末のカメラで取得している映像と、あらかじめ準備した画像とのー致により、点検 象を認識する手法や、点検箇所に認識用の QR コードなどを設 して点検 象を認識する手法を採用した。 AR 表示 作業 の判断を支援するため、 実(AR) を採用し、端末上に表示された風景に、仮想的に情報を重ね合わせて表示する。ここでは、AR 表示と呼ぶ。前述の自己 定および空間認識の により、点検等で 象となる の3 次元 に必要な情報をAR 表示する。 抽出した 象の作業を支援するため、本研究では(2)に示す を用いて点検支援ツールの機能を試作した。次節でそれぞれの機能を説明する。 機能試作 点検個所・状態表示機能 点検場所・点検内容の確認、ナビゲーション 点検内容および点検場所の確認を支援する。Fig.3 に、本機能のアプリケーション画面を示す。本機能は、端末上に点検内容と写真を確認できるリストと、点検場所を地 上にマークで表示することで、点検開始前に内容と場所を確認することができる。また、自己 定を用いて、地 上で今いる場所も把握できるため、後戻りなく点検を進めていくことが可能となる。 計器読み取りサポート 場アナロ 計器等の数値の読み取り作業を支援する。本機能は、点検 象設備の画像を認識用のマーカーとして利用し、端末をかざすと点検 象設備を認識し、確認すべき箇所を示すマークを AR 表示する。設備の画像を認識用マーカーとして利用することで、設備に認識用のQR コードなどを設 しなくてもよい利点がある。Fig.4 に、本機能のアプリケーション画面を示す。 点検 象計器の AR 表示で確認すべき箇所を可視化したものであり、4 つの計器に して枠と番号をAR 表示している。計器認識後に記録用リストを表示させ、 応する数値の確認・記録を行う。これにより確実な点検 象の認識と記録が可能となる。 アイソレーションサポート 設備点検作業時に電気的な隔離作業(アイソレーション作業)が必要となる。このときの操作するスイッチの確認を支援する。Fig.5 に、本機能のアプリケーション画面を示す。 本機能は、(2)の計器読み取りサポート機能と同様な理で作業 象設備の認識し、切断するスイッチ 分をAR 表示で可視化している。AR 表示と 応するリストで、切断ミスの防止と、作業効率化が可能となる。 バルブラインナップサポート 設備点検時や起動操作時にそれぞれのバルブの開閉状態が指定状態になっているか確認するラインナップ作業 を支援する。設備情報を登録したマーカーをあらかじめ設 し、端末をかざすとそのマーカーを読み込み、 象設備を認識しマーカーとの 関係で確認すべき箇所にAR 表示を配 する。Fig.6 に、本機能のアプリケーショ ン画面を示す。AR 表示で、確認する弁の と開閉状態を可視化した。リストと 応させ各弁の開閉状態を確認、記録する。これにより、確認ミスの防止と確認作業時間 の短縮が期待できる。 センサー取り付けサポート ポンプ等、定期的な点検時に振動計測が行われる。このとき、センサー取り付け の確認を支援する。Fig.7 に、本機能のアプリケーション画面を示す。本機能は、(4)の状態確認サポート機能と同様な 理で、端末をかざすとマーカー読み込み、 象設備を認識しマーカーとの 関係で振動センサー等の取り付ける と番号をAR 表示している。適切な取り付け の可視化し、計測者や計測時期の違いによる計測のばらつきを防ぐことが できる。 保全対象確認サポート 流量計等、計器は定期的な点検における 象計器の確認を支援する。Fig.8 に、本機能のアプリケーション画面を示す。(4)状態確認サポート機能、(5)センサー取り付け サポート機能と同様な 理で、端末をかざすとマーカー読み込み 象設備を認識し、マーカーとの 関係で 象計器に して、校 時期を番号と色の違いで AR 表示している。 場で、計器校 などの保全計画について実物と合わせて直感的に把握することができる。 仮想付箋機能 点検作業やその他、 場作業において気づきや注意事項の記録、確認作業を支援する。本機能はFig.9 に示すように、 場での注意事項などを 象 に設 、AR 表示させる機能である。注意事項とともに 情報を記録していくため、再度 場に立 る際に、地 上でその を 易に把握することができ、確認作業をスムーズに行うことができる。また、Fig.10 に示すように設 した注意事項のー覧を端末上に表示させ、端末上で、 易にかつ確実に の確認と管理をすることができる。 報告機能 本ツールは、点検場所、点検内容とともに写真を記録していくことができる。点検が完了したところで、点検記録を呼び出し、自動的に報告書を作成する機能を試作 した。 場で記録した点検内容と写真を閲覧することができる。本機能により、事務所での点検記録の再 、報告書作成の手間を省くことができ、点検作業 の負荷 減が期待できる。 Fig.3 Screen image of inspection menu and map Fig.5 Support of electrical isolation Fig.7 Support of sensor attachment Fig.9 Management of information using virtual object おわりに 今後の 子 プラントで要求される、点検、 応管理の効率化を目的として、AR や 定を活用した保全業務支援ツールを試作した。効果の検証および改善が必要な機能の追加検討を進めていく。 Fig.4 Support of reading instruments Fig.6 Support of valve lineup Fig.8 Support of confirmation of maintenance target Fig.10 List of virtual object 参考文献 [1]保守 則の課題とその改善 応に関するアンケート、第54 回 日本機械学会 子 の安全 の最適化に関する研究会、
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