稼働率向上に向けた保全活動の取組

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カテゴリ: 第17回
稼働率向上に向けた保全活動の取組 Outline of safety improvement evaluation system 九州電力 原子力発電本部九州電力 原子力発電本部 笠毛 誉士TakashiKasamoMember 廣瀬篤志AtsushiHiroseNon-member In order to increase the availability of nuclear power plants, we introduce our efforts to achieve long-term operation, shorten the periodic operator inspections, and increase the output of power generation by upgrading our maintenance activities. Keywords: long term operation, shorten the periodic operator inspections, increase the output of power generation 1.既設原子力発電所の稼働率向上 国内の原子力発電所は、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえて改正された新規制基準に適合する安全対策を施して、国の審査に合格してから再稼働している。 現在、9基が再稼働しているが、審査に時間を要しており、半分以上が再稼働できていない状況である。2050年のカーボンニュートラル実現等のためには、二酸化炭素排出が少ない原子力発電の活用は必須であり、電力業界一体となって、早期再稼働、新設の検討、安全性を確認したうえでの長期運転及び既設 原子力発電所の稼働率向上に向け取り組んでいる。 新規制基準に適合して再稼働したプラントの再稼 働後の稼働率は、特定重大事故等対処施設の設置等の大型工事により、定期検査期間が大幅に長くなっていることがあり、80%を下回っている状況であるが、今後の運転サイクルでの稼働率向上に向けた検討を精力的に実施している。 2.稼働率向上に向けた取組 稼働率向上を実現するためには、トラブルによる計画外停止をなくすことが前提であり、そのためには、 設備の劣化メカニズムを考慮した確実な保全の実施が必須の活動である。 原子力発電所を運転計画通り運転した場合の、再稼働プラントの稼働率は、85%程度となっており、以下の取組を行い、更なる稼働率向上を目指している。 (1) 長期サイクル運転 (2) 定期検査期間短縮 (3) 発電機出力向上 それぞれの取組の概要を説明する。 長期サイクル運転 現在、国内の原子力発電所の運転サイクルは、13 か月となっており、13か月運転した後に発電を停止し、定期検査において、設備の健全性確認を実施している。 原子力発電所の運転サイクルは、設備の点検周期及び使用している燃料の使用期間を評価したうえで延長が可能な制度となっている。 再稼働後の設備の点検実績を収集し、劣化メカニズ ムを考慮して点検周期の延長が可能と評価したうえで、評価書を作成し、国に届け出ることで、運転サイクル を、「13か月」から「18か月」さらに最大「24か 月」まで延長することが可能である。 使用している燃料の燃焼度から、直ちに「24か月」運転が可能とはならないが、15か月程度の運転は現状の設備でも実現可能との検討が行われている。 設備の点検実績を基に、安全性を確認したうえで、 最適な運転サイクルへの変更に向けた技術的評価を実施中である。 定期検査期間短縮 定期検査の主要工程を図1に示す。定期検査では、主要工程として、発電停止後、燃料を取り出すために原子炉容器を開放し、燃料を取り出し、設備類の点検を実施する。点検後に燃料を装荷し、原子炉容器を復旧する。発電停止中に各種試験を実施し、プラントを再起動する。 定期検査の工程は、保安規定に定める運転上の制限を満足するために、一部の機器類の点検時期が制限される等の影響があり、新規制基準で追加された要求事項により、従来から大幅に延長している状況にある。定期検査の工程を短縮するためには、保全の高度化 として、安全性を確保しつつ点検頻度・周期の延長や保全物量を低減すること等により、点検日数を削減す ることが有効である。 現在、より効率的に定期検査を実施する方策を検討するため、事業者が蓄積してきた知見・経験の集約、日本より定期検査の工程が短い海外事例の分析等を行い、定期検査の各作業に対し課題の抽出、保全作業の見直しの検討等を実施しているところである。検討例を以下に挙げる。 原子炉開放/組立 ・作業体制の見直しにより工程を効率化する。 燃料取出、燃料装荷 ・燃料を移動するために使用しているクレーンの速度を向上することにより工程を短縮する。 一次系弁・機器類点検 ・点検部品をローテーション化し、予備品を使用することで点検に必要な作業量を低減する。 ・これまでの点検結果を踏まえ、点検頻度を延長する。 ・運転中保全を実施し、定期検査期間中の点検設備を低減する。 また、事業者の工夫だけでは短縮できない事項として、現在の規制対応についても、安全上同等で効率的な手段がないか、といった観点から課題を検討していく。 図1 定期検査の主要工程例 発電機出力向上 稼働率向上の方策として発電機出力向上がある。 現在、原子力発電所は、原子炉の定格熱出力を一定 とする運転をしており、タービン及び発電機の効率を向上させることで、電気出力を向上させることが出来る。建設時は、定格電気出力運転での運用を想定した設計としていたことから、タービン、2 次系熱回収系等を新設計に更新することで、発電機出力の向上が可能である。 設備更新対応を進める中で、新設計の検討を実施している。 3.保全高度化 稼働率向上は、保全活動の高度化を進め、安全性を向上していく活動が継続的に行われていることを前提として実現される。 劣化メカニズムを考慮した確実な保全、オンラインメンテナンスの導入、新設計の積極的な導入など、新しいことにチャレンジするという姿勢で、産官学一体となって活動をすすめていく。 保全学会の活動は、検討のメインとなる活動であることから、益々の活発な活動に期待する。
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