福島第一原子力発電所3号機 使用済燃料プール貯蔵燃料取出しに向けた取組み
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カテゴリ: 第15回
福島第一原子力発電所 3 号機 使用済燃料プール貯蔵燃料取出しに向けた取組み
Effort aimed at removal of stored fuels from SFP in
Fukushima Daiichi Nuclear Power Station
東芝エネルギーシステムズ株式会社小野剛〇Go ONO
諏訪薗 司 Tsukasa SUWAZONO 篠崎 史人 Fumihito SHINOZAKI 東倉 一郎 Ichiro TOKURA
Abstract;
Since the 2011 Great East Japan Earthquake, Toshiba Energy Systems & Solutions Corp. (Toshiba) has accomplished various tasks in preparation for the upcoming fuel removal operations at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (F-1) Unit 3. In November 2015, TEPCO and Toshiba removed large rubble (e.g. Fuel handling machine) that had been sitting inside the spent fuel pool [SFP] as a result of the hydrogen explosion. Currently, Toshiba continues to work on the projects related to fuel removal from the SFP, as well as design, fabrication and installation of the vessels and devices to be used for fuel transfer to the common pool. This paper presents Toshiba’s efforts on these projects, providing an overview of equipment and devices that Toshiba developed for the projects.
Keywords:
Fukushima, Removal, Spent Fuel Pool (SFP)
1.はじめに
東芝エネルギーシステムズ(株)では2011 年の東日本大
震災以降、福島第一原子力発電所 3 号機の燃料取出しに向けた取組みとして、使用済燃料プール内の大型瓦礫撤去、貯蔵燃料の取出し及び共用プールへの移送設備の設計、製造、現地据付を行っている。
本稿では、これらの取組みのうち、燃料取出し設備の設計から現地据付について紹介する。
2.使用済燃料プール内の大型瓦礫撤去及び燃料取出し設備の設計
3 号機の使用済燃料プール内には、水素爆発により崩落したトラス鉄筋やコンクリート片、燃料交換機等が瓦礫として落下し、燃料を取り出すためにはこれら瓦礫を撤去する必要があった。また、原子炉建屋の上部階のオペレーティングフロアは雰囲気放射線量が高い状態であり、被ばく低減の観点から有人作業による使用済燃料プールからの燃料取出しが困難であった。
連絡先: 小野 剛,〒235-8523 神奈川県横浜市磯子区新杉田町 8 ,東芝エネルギーシステムズ株式会社 原子力機械システム設計部
E-mail: go.ono@toshiba.co.jp
このため、遠隔操作が可能な燃料交換機取扱具等を準備し、約20 トンの変形した燃料交換機本体を含めて、2015 年11 月までにプール内の大型瓦礫撤去を完了した [1]。
次に、大型瓦礫が撤去された使用済燃料プールから、残っている小型瓦礫の撤去、及び貯蔵されている使用済燃料の取出しに向けて、プール内の小型瓦礫と使用済燃料の取扱いと、燃料を収納した構内用輸送容器を原子炉建屋の地上階に移動するまでの一連の作業を遠隔操作にて実施可能な燃料取出し設備を設計した。
燃料取出し設備は、小型瓦礫撤去と燃料取出しを行う燃料取扱機、構内用輸送容器の蓋の取付けと構内用輸送容器の地上までの吊下げを行うクレーン、及び原子炉建屋から離れた場所にある遠隔操作室にて一連の作業の監視及び操作を行うITV 等で構成されている [2]。
3.使用済燃料プール内からの燃料取出し作業における訓練
燃料取出し設備のうち、燃料取扱機、クレーン等の主要設備と遠隔操作室を東芝エネルギーシステムズ(株)京浜事業所内にて一旦組み立て、水中環境での瓦礫撤去、模擬燃料体による燃料取扱等の取出しに関する一連の作業について、操作性の検証と合わせて遠隔操作訓練を約
1年かけて実施した(Fig.1,2)。遠隔操作訓練には実際の装置のオペレータに操作性を実際に確認してもらった。訓練の結果、ITV の設置位置変更及び台数追加、視認性向上を目的とした冶具の形状変更、合マーク追加、効率的に瓦礫を撤去できるような形状の瓦礫撤去用ツールの追加準備(Fig.3)等の作業を確実に施工するための改善事項を抽出し、設備仕様に反映した。
Fig.1 Operationtraining of rubble removal [3]
Fig.2 Operationtraining of fuel handling [3]
Fig.3 Mock-up of new rubble removal tool
4.燃料取出し設備の現地据付
訓練にて抽出された改善事項を設備へ反映した後、
2017 年11 月に燃料取扱機、クレーンを出荷した。出荷に際して、現地据付作業における作業員の被ばく量低減、作業時間短縮のため、装置を可能な範囲で一体化した状態で出荷し、そのままの状態で 3 号機原子炉建屋のオペレーティングフロア上へ吊上げ、設置した(Fig4,5)。
現在、2018 年度中頃からの燃料取出し開始に向け、設備の試運転を実施中である。
Fig.4 Lifting up crane
Fig.5 Fuel handling machine onoperationfloor
参考文献
日本保全学会 第13 回学術講演会 予稿
「福島第一原子力発電所 使用済燃料プール貯蔵燃料及び燃料デブリ取出しに向けた取り組み」
日本ロボット学会投稿記事
「東芝における福島向けロボットの開発」
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2016/index-j.html 東京電力株式会社,"3 号機使用済燃料プールからの燃料取出作業における工場訓練について",2016 年1 月28 日