福島第一原子力発電所の汚染水対策の現状

公開日:
カテゴリ: 第16回
福島第一原子力発電所の汚染水対策の現状 The Current Status Fukushima Daiichi NPS Contaminated Water Management 東京電カホールディングス株式会社 徳間 英昭 Hideaki Tokuma 東京電カホールディングス株式会社 村井 荘太郎 Soutaro Murai Member Abstract: Tokyo Electric Power Company Holdings, Inc.(TEPCO) is undertaking decommissioning of Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (NPS) steadily and safely, incorporating domestic and international expertise, to fulfill our responsibility for the March 2011 Fukushima Daiichi nuclear accident. To address contaminated water issues, TEPCO takes preventive and multi-layered measures based on a three-pronged strategy: "Remove Source of Contamination," "Isolate Fresh Water from Contaminated Areas," and "Prevent Leakage of Contaminated Water." This paper describes Contaminated water management has been a major challenge at Fukushima Daiichi NPS, Keywords: Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (NPS), Decontamination, Contaminated water management はじめに 福島第一原子力発電所の事故から8 年が経過した。原子炉は安定した冷却状態を保ち、発災直後に汚染水が流出した港湾内外の海の放射能濃度は、現在では、当時の10 万分の1 から100 万分の1 程度まで低下している。また、発電所の96%で、防護服ではなく一般作業服で仕事 ができるようになるなど放射線環境の改善が大幅に進んだ。今後も、リスク低減を進めるとともに地元の方々の と が加 するよう 炉を安 ? 実に進めていく。その中で、汚染水対策は差し迫った課題として、燃 料プールからの燃料取り出し等と合わせて最優先で対応 が行われてきた。 汚染水対策の現状と今後の課題 2 1 汚染水対策の進捗状況 福島第一では、地下水が原子炉建屋等に流れ込み、建屋内の汚染源と接することにより新たな汚染水となるため、汚染水への対応が大きな課題となってきた。そのため、①「汚染源を取り除く」、②「汚染源に水を近づけな い」、③「汚染水を漏らさない」の3 つの基本方針を掲げ、重層的にリスク低減に向けた対策を実施してきた。 ①「汚染源を取り除く」対策として、2017 年12 月に、1 号機タービン建屋内の滞留水の除去を完了させ、2017 年3 月に、震災当初に緊急的に汚染水を移送した1~3 号機 水器内の水抜きを完了した。2014 年度末時点で約86,000m3 あった建屋滞留水は2018 年度末時点では約 42,000m3 程度まで低減している。また、トリチウム以外 の大部分の放射性核種を取り除く多核種除去設備と呼ば れる装置等を用いてサイト内に貯められていた汚染水の 浄化を進め、フランジ型タンクに貯留した汚染水(重点 的にセシウムとストロンチウムを取り除いた汚染水)の 浄化処理を2018 年11 月に完了した。 ②「汚染源に水を近づけない」対策としては、地下水 が建屋内に流入する前に井戸で地下水を汲み上げる方策、 敷地内に降った雨が地面にしみこんで地下水とならない よう地面を舗装する方策などをとってきた。加えて、地 下水の 入を 、 水 ( )も完 した。 これらの複合的効果により2015 年度年平均490m3/日であった汚染水発生量は、2018 年度では170 m3/日と大きく低減している。(図1,2) ③「汚染水を漏らさない」対策としては、海 水が設置され、現在も周辺海域の放射性物質濃度は低い濃度で安定している。また、2018 年3 月にはフランジ型タンクに貯留していた処理水の貯水を て溶接型タンクで実施し、フランジ型タンクからの漏えいリスクを大幅に低減している。 図1 建屋周辺における水の出入り概念図 連絡先:徳間 英昭 〒100-8560 東京都千代田区内幸町1-1-3、東京電力ホールディングス株式会社 炉推進カンパニー、E-mail:tokuma.hide@tepco.co.jp 図2 汚染水発生量の推移 2 2 建屋内滞留水処理の推進 建屋内の滞留水については、現場の空間線量及びダスト濃度を監視しながら、2020 年内循環注水を行っている1~3 号機原子炉建屋以外の建屋の滞留水除去に向け処理を進めている。 現在、各建屋の水没している床面を露出させるべく、床面より深い床ドレンサンプに新たにポンプを設置する作業を進めている。滞留水のあった建屋地下階では高い空間線量が確認されていることから(表1 参照)、作業に支障の無い上階からの遠隔操作にて干渉物の撤去及びポンプの設置を進める。 なお、1 号機のタービン建屋では既に床ドレンサンプの ポンプが設置されており、排水された状態を維持してい る。 2.3 滞留水処理の現状の課題 現在2,3 号機原子炉建屋の一部に放射能濃度の高い建屋滞留水を確認しており、特に原子炉建屋底部には比較 的高濃度のa核種が確認されている。また、滞留水の移送先であるプロセス主建屋等の最下階に高い線量率を確 認している。これらについては、建屋滞留水の処理が進 なかで、より深部の状況が把握できるようなったことから、顕在化しているものであるが、現在、これらの課 題については詳細調査等を進め、対策の検討を進めてい る。また、高い放射性濃度の滞留水が浄化設備の安定運 転を 害しないように、現在滞留水濃度に留意しながら建屋滞留水処理を継続している。 図3 各建屋における建屋滞留水の放射能濃度測定値 表1 タービン建屋地下階の空間線量測定結果 単位 (mSv/h) まとめ 地元住民の方々の早期の を実現できるよう,今後も現場の状況や研究開発 果等を踏まえ,安 最優先で 炉に向けた取り組みを進めるとともに,引き続き 炉作業の実施状況ついて国内外に発信していく。
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)