福島第一原子力発電所1/2号機排気筒解体の挑戦

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カテゴリ: 第17回
福島第一原子力発電所1/2号機排気筒解体の挑戦 Challenge of Dismantling The Exhaust Stack of Fukushima Daiichi NPS Unit 1/ 2 東京電力HD(株) 奥津 多加志 Takashi OKUTSU Non-Member 東京電力HD(株) 半澤 大介 Daisuke HANZAWA Non-Member 東京電力HD(株) 清水 研司 Kenji SHIMIZU Non-Member 東京電力HD(株) 野田 浩志 Hiroshi NODA Non-Member Abstract Damage has been confirmed in some parts of the exhaust stack by inspection after the earthquake. Currently the exhaust stack has no function. For this reason, we decided to dismantle the upper half of exhaust stack for the purpose of improving the earthquake resistance. Emphasizing on reducing worker exposure dose, we plan dismantling work with unmanned operation using a remote dismantling device. Keywords: Exhaust Stack, Dismantling, Fukushima Daiichi NPS, Decommissioning, Remote Dismantling Device 1.はじめに 福島第一原子力発電所の1/2 号機共用排気筒(以下, 排気筒)は,2011 年東日本大震災後の点検において,一部部材に損傷を確認した。(隣接する1 号機原子炉建屋の水素爆発の影響と推定。)損傷を考慮したモデルに基づく地震応答解析により,直ちに倒壊に至るものではないことを確認したが,耐震上の裕度向上を目的に,排気筒上部の解体を計画した。しかし,格納容器ベントを実施した経緯により,排気筒の筒身内側に放射性物質が付着し,特に排気筒下部は高線量となっていることから解体装置を遠隔操作し,人が近づくことなく損傷部を含む排気筒上部の解体を行う工事計画とした。2017 年1 月より計画検討を開始,遠隔解体装置の設計・製作・実証試験を経て,2019 年8 月から解体工事に着手,高さ120m の排気筒の上部約60m分を筒身16 ブロック,鉄塔7 ブ ロックの計23 ブロックに分けて解体し,2020 年4 月に解体を完了した。(Fig.1) 本稿では,遠隔解体装置を用いた排気筒上部の解体工 事の取組について紹介する。 2.計画概要 解体対象物である排気筒は,高さ約120m,内径3.2m の筒身を鋼管四角形鉄塔(主柱材・斜材等)で支えた工 作物である。 連絡先:奥津 多加志、〒979-1392 福島県双葉郡大熊町大字夫沢字北原 22 番地、所属:東京電力HD(株) 福島第一廃炉推進カンパニー福島第一原子力発電所E-mail: takashi.okutsu@tepco.co.jp 排気筒解体工事に使用する遠隔解体装置は,筒身と付属品(梯子・電線管等)を解体する筒身解体装置(Fig.2)と, 鉄塔を解体する鉄塔解体装置(Fig.3)の2 種類とした。 この遠隔解体装置を大型クローラークレーンで吊り上 げ,排気筒上部に設置し,遠隔操作で排気筒を把持・切 断し,解体していく計画とした。解体作業に当たっては,遠隔解体装置を操作するための操作室を排気筒が見 渡せる高台に設けた。この操作室は実証試験と同じ操作 環境を再現するために,バスを改造して設けており,ク レーン頂部まで有線ケーブルを敷設し,頂部アンテナか ら無線で解体装置を操作する機器構成とした。(Fig.4) いずれの遠隔解体装置も類例の無い装置であったこと から,概念設計から始まり,要素試験や実証試験を重ね て新規装置の開発を進めた。 3.解体工事 実証試験が完了し,実機を運用しての解体工事が始まったが,筒身の切断時ひずみの発生や筒身の変形・揺れ等により,装置を筒身に対して水平に設置できず刃が斜めに入るなど,切断中の筒身の挙動が実証試験と異なったことによる切断装置の噛み込み(Fig.5)が発生した。また,通信障害による作業中断,作業の長時間化を一因とするマシントラブル等,多くの課題が生じた。はじめに頂部解体ブロック(高さ約2.5m)の筒身に付属する背カゴなどの付属品を切断し,筒身の内側からチップソーで切断し,頂部ブロックの吊り下ろしを行う作業(Fig.6)には1 ヶ月を要することとなった。 その後も,4 ブロック目の解体作業までは試行錯誤を繰り返し,1 ブロックの解体に概ね1 ヶ月程度を要した が,その後,より確実な切断手順や短時間での通信障害解決手段の立案,解体装置の運用方法見直しによる作業効率向上等,課題を一つ一つ解決し,最終的には当初計画を上回るペースでの解体作業を進め,2020 年4 月に無事に約60m 分の解体を完了することができた。 4.おわりに 協力企業と連携し,高さ120mの排気筒を遠隔装置で解体するという前例がない作業を完遂することができた。今後も,安全を最優先として,確実に廃炉作業を進 16 Fig..4 Remote operation image ①】 策】 チップソーの旋回方向 Fig..2 Stack dismantling device Fig..6 Top block dismantling
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