電流情報量診断技術ならびにそのIoT・クラウドへの取組みに関する紹介

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カテゴリ: 第15回
電流情報量診断技術ならびにその loT?クラウドヘの取組みに関する紹介 Introduction of Diagnosis Technique using current information and its IoT・Cloud efforts (株)高田工業所 劉信芳 Liu Xinfang Not a Member (株)高田工業所 鳴芳 Feng Fang Not a Member (株)高田工業所 中村孝博 Nakamura Takahiro Not a Member (株)高田工業所 酒田英 Sakata Hideru Not a Member Abstract (Times New Roman 10pt) should be about 150 words。 We have developed a new diagnostic technology for rotary mechanical systems by multiplex analysis of current signals of three-phase induction motors. Since the current signal is measured from the electric panel of the electric room, the state monitoring diagnosis of the rotary mechanical system such as the dangerous area can be done easily, safely and accurately. We also built a remote and on-line monitoring and diagnostic system with current signals using IoT and cloud. This diagnostic technology and its IoT ? cloud system will be introduced. Keywords: induction motors, current information, rotary mechanical systems, monitoring, diagnosis, IoT, cloud はじめに 電力、鉄鋼、化学などさまざまな業界に運転されている回転機械について、設備の経年劣化や設備に精通した熟練者の不足などの問題を抱えており、とりわけ生産プロセス上に重要な回転機械の突発停止による事故と損失 を避けたいため、安価で確実な監視・診断技術への期待が い。また、監視・診断技術は回転機械設置 の により が な への 応、なら に 速・可変速回転機械への適用と電動機の電気的 ・イン ー の状態監視診断への適用が求められている。さらに、世界的に第四次産業革命の波が押し寄せ、IoT・クラウドを用いた遠隔監視診断システムへの要望が高まっ ている。しかし、従来の監視診断システムは上記のニー ズに応えることが であり、実用的な監視診断システムの確立が急務となっている。 この顧客の需要に応えるため、当社は誘導電動機駆動 電流信号を用いた回転機械系(電動機と負荷装置)の状態診断技術に して基礎研究から商品開発までを行って た。統計 と情報理論を用い、電流信号に含まれて 連絡先: 劉 信芳、〒806-8567 北九州市八幡西区築地 1-1、( )高田 業 技術本 、 E-mail: ryuu@takada。co。jp いる回転機械系の状態情報を抽 し活用することにより、電流信号による回転機械系簡易診断・劣化傾向管理技術 を確立した。さらに精密診断方法とした4 種類の 手 法を体系化し、実用性の高い回転機械系の状態監視診断技術商品「電流情報量診断システムT-MCMA(TAKADA Motor Current Multiplex Analysis)」の開発に成功した。 電流情報量診断方法は従来の振動診断方法のように、回転機械の機械的な を で る けでな 、 ー 、イン ー 、電 など電気的 で る。また、電気室の電気盤の中にクランプ式電流センサーを設置する けで、回転機械状態のオンラインとオフライン監視診断が可能である。さらに、IoT・クラウドに 応しやすい特長がある。 本診断システム商品は「日本初、世界で類のない技術であり、日本のエンジニアリング産業の監視・診断技術向上に 貢献している」と評価され、日本エンジニアリング協会平成29 年度エンジニアリング功労者賞(中小規模プロジェクト枠)を受賞した。 電流情報量診断技術 簡易診断と劣化傾向管理 計 した生の電流信号に して、 の と波 の を行う。 の として、3 つのパラメー KI 、I rms 、Iub を求める。また、 波 の として、5 つのパラメー Lpole 、Lshaft 、IHD 、THD 、Lx を求める。計8 つのパラメー を用い、回転機械の簡易診断を行う。 KI は基準電流波形と点 電流波形の距離を示すカル ック・ライブラー情報量であり、回転機械系劣化全般を監視するパラメー である。I rms は電流の実効値であり、回転機械系の負荷・運転状態変動を監視するパラメー である。Iub は三相電流の ランスであり、電 品質・イン ー の状態を監視するパラメー である。Lpole は極通過 波 側帯波電流成分と電 波 成分 のレベル差であり、電動機回転 ーの劣化状 を監視するパラメー である。Lshaft は回転 波 側帯波電流成 分と電 波 成分のレベル差であり、電動機 続軸系の れ、 り、 、不 合いなどの 荷重を監視するパラメー である。IHD は最 高調波電流成分と電 波 電流成分の比 であり、電 品質・イン ー の状態を監視するパラメー である。THD は全高調波電流成分と電 波 電流成分の比 であり、電 品質・イン Fig.2 Deterioration Trend Control graph 8 つのパラメー の算 はデー ベースに保存される。最 の を含め、過 のデー をす て で る傾向グラプ表示機能がある。4 つのパラメー を1 画面で表示する傾向管理グラフの一例をFig.2 に示す。同図の 軸は を、 軸はそれぞれのパラメー のレベルを示す。最 の計 は一番右側に表示する。図中の 色 は判定基準の レベルであり、 は レベルである。図中のポイントをクリックすると、そのパラメー の計 日とレベルが表示される。傾向グラフか ー の状態を監視するパラメー である。 Lx はポン らそれぞれのパラメー の過 と直 の変動状 を観察 プ・ブロワのブレード通過 波 、または、歯車の噛み合い 波 、ベルトの回転 波 の側帯波電流成分と電 波 電流成分のレベル差であり、それぞれポンプ・ブロワのインペラ、歯車の噛み合いとベルトの状態を診断するパラメー である。 診断 フトの簡易診断画面はFig.1 に示す。8 つのパラメー により、回転機械系の簡易診断と傾向管理を行う。す てのパラメー は設定した判定基準と比較し、 に入ると 色に着色し、 に入ると 色に着色すると共に、イベントへの警報を 力し、担当者に警報メールを送信すること 可能である。 Fig.1 Condition surveillance screen of the analysis and diagnosis computer することにより、回転機械の状態をより正確に判定でる。 精密診断解析 精密診断技術としては、1)電流信号の側帯波 、2) 高 波 電流の 絡 理 、3)電流高調波 、4) 過渡電流値のパ ーン など4 種類の 手法を用いる。これらの 手法により、電 品質、電動機の電気的 と回転機械系の機械的 を識別で る。 電流信号の側帯波解析 電動機の電流信号をFFT(Fast Fourier Transform) すると、電流スペクトルにはFig3 のように電 波 Flin e (西日本 60Hz)の両側に極通過 波 Fpole (Pole passing frequency)の側帯波が れる。この側帯波のレベルにより回転 ーの があるかどうかの診断方法は一般的に 知られているが、電 波 の両側に軸回転 波 Fshaft の側帯波のレベルによりと負荷側軸系のカップリングミスアライメントの状態を診断で ることは当社の発明特許である。 電流スペクトルに電 波 のレベルをIlin e とし、軸 回転 波 のレベルをIshaft とすると、電 波 と回転 波 の相 レベルLshaft は以下の式 Frequency [Hz] Current [dB] Shaft rotating frequency sideband in normal state 電 波 の整 倍の電流波形を高調波(2 次~n 次、n 正の整 )という。高調波 手法とは高調波のレベルとその発生次 を調 ることである。電流 系列波形は正弦波に づ と、高調波のレベルが 0 に い。逆に、電流 系列波形は正弦波からひ みが生じると、高調波のレベルが高 なる。 実 電流波形のひ み度合いを評価するため、電流波形の 調波電流ひ み と全調波電流ひ み を定 する。ま 、 調波電流ひ み [6]は次式 I ? In hI1 Current [dB] (n ? 2, 3,?50) (2) で定 する。また、全調波電流ひ み は次式 Shaft rotating sideband in offset misalignment of 0.2mm Iallh ? (n ? 2, 3, ?, 50) (3) Fig.3 Abnormal identification of rotating machine shaft system by current spectrum で定 する。ここで、Ih 調波電流ひ み 、I a llh 全調波ひ み 、I n n 次高調波電流成分、I1 1 次電流成分である。 Lshaft ? 20log Iline (dB) Ishaft (1) 電流成分の高調波 手法は、電 品質の診断に適用されている。また、電動機の電気的 とイン ー の により求める。実験およ 証の によりLshaft は 48 dB 以下になると、カップリングのミスアライメント、またはロー のアン ランスの可能性が い。42 dB 以下になると、ミスアライメントまたはアン ランスの状態が 、 急に整備しないとならない。さらに、この により、ミスアライメント状態とアン ランス状態との識別 で る。 Fig.3(a)はカップリング正 状態の軸回転 波 側帯波を示す。この 合のLshaft は62.19 dB である。Fig.3(b)はカ ップリングミスアライメント状態(軸水平方向0.2mm れ)の軸回転 波 側帯波を示す。この 合のLshaft は44.32 dB である。 高周波電流解析 電動機の電流信号に対して、以下の手順で包絡線処理とFFT を 1) パス ルタ(HPF)を る 2)高周波系列波形を絶対値処理とローパス ルタリング(LPF)する3)包絡線処理後の 系列波形をFFT変換すると、高周波電流信号のスペクトルを得る。高周波電流信号のスペクトルのパターン認識により回転機械の状態を識別できる 高調波解析と過渡電流解析 電 波 (50/60Hz)の電流波形を基本波(1 次)といい、 診断に 使える。 在、電流波形のひ み に関する統一的な判定基準は設定されていないが、実叙経験に基づ 、Ih ? 5% または、Iallh ? 7% となると、電 品質がよ ないと診断している。 動電流パ ーン 、 断電流パ ーン 、 業プロセス電流パ ーン などといった過渡電流 手法を本診断システムに組込み、監視・診断機能の充実を図っている。 .クラウド診断 3.1 loT 時代の監視診断技術のあるべき姿 IoT・クラウドに 応する監視診断技術の姿として、(1) 取付け・取外し簡便かつ無 送信で るセンシング技術、(2)クラウドと有 ・無 で 続で る便利なイン フェース、(3)組込み簡 なデ イス、(4)クラウド ン ーテイングに関連する フト(アルゴリズム、アプリケーション)、(5)セキリテイ 策などが挙げられる。 回転機械の状態診断方法として、振動診断、潤滑油分 による診断、音響診断、AE 診断、温度画像診断およ電流情報量診断などの監視診断方法がある。 状、振動診断が広 実用化されているが、電流情報量診断と比較すると振動診断は回転機械本体の上に複 個の振動加速 度センサーを設置し、監視装置まで配 する必要があるため、IoT への 応は ストがかかる。最 、無 送信の振動加速度センサーを開発しているが、設置方法が変わらない けでな 、センサーに電 が必要になる。 3.2 クラウド診断 の構築 電流情報量診断システムのセンシングは電気室の電気 盤で行うため、電気盤の更 事がない限り、クランプ式電流センサーを電動機の電気盤に長期的に設置で る。電流計 ユニットは電流センサーと 続し、A/D 変換を行い、デジ ル化電流信号をVPN(Virtual Private Network) 経由で有 により、または通信ア プ 経由で無 によりクラウドに送信する。クラウド ン ーテイングにより電流信号の 、回転機械状態の遠隔監視診断を行う。 電流情報量診断クラウドシステムの構成をFig.4に示す。 Fig.4 の中、複 台の診断ユニットをルー に 、ルー は NTT フレッ クストと有 で 続する。または、複 台の診断ユニットを通信ア プ に 、無 で続する。クラウド上の仮想サー ーに電流信号 、監視診断 フトをインストールし、デー ベースを構築する。また、通信イン フェースを実装することによりクラウドとユニット 、クラウドと監視端末 の通信がで るようになり、IoT・クラウドを用いたグロー ルな遠隔監視診断システムを比較的安価に構築で る。 設端末は有 (LAN)で、携帯端末は無 でクラウドと 続し、リ ートデイスクトップにより診断・ 画面を閲覧し、診断・ を確認することがで る。また、 を した 合に、クラウドは自動的に登録された ブレット・ イルなどの端末に警報を送信する。 4.おわりに 電流情報量診断システムは 2010 年 3 月に開発した後、 2016 年3 月まで6 年 を掛けて、石油化学、製鉄、電力、食品、公共施設など多分野にわたり、 十機種、 百台の回転機械の診断に実用され、多 の診断実叙を蓄積して た。同 に研究開発を重ね、診断システムの改善・改良 行われて た。診断システムの信頼性と診断技術の有効性は十分 証されたため、商品は2016 年4 月から発売した。 また、従来の診断方法と比 、IoT・クラウドに適用しやすい特長があるため、既にIoT・クラウドを用いた電流情報量診断システムを構築し、グロー ルな回転機械遠隔オンライン監視診断が可能になっている。 劉信芳 鳴芳 電流信号多重 による回転機械系の監視診断 高田技報 Vol. 21 No. 1 (2011) 、pp. 20-25. 田利 電流 MCSA による電動機駆動 回転機の状態診断 高田技報 Vol. 20 No. 1 (2010) pp. 3-6. 劉信芳 鳴芳 駆動電動機電流情報量多重 による回転機械系の監視診断 日本設備管理学会誌 Vol. 24 No. 4 (2013) pp. 36-41. 劉 信芳 鳴 芳 IoT・クラウドへ 応する電流情報量診断システム(T-MCMA) 日本設備管理学会H29 年度春季研究発表 会論文集 (2017) pp. 32-35. Fig.4 TAKADA Motor Current Multiplex Analysis by IoT・Cloud
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