配管減肉検査における非接触超音波センサの実機適用に向けた検討
公開日:
カテゴリ: 第15回
配管減肉検査における非接触超音波センサの実機適用に向けた検討
Investigation into applicability of a non-contact ultrasonic sensor to pipe-wall thinning inspection of power plants
日立製作所
田村
明紀
Akinori TAMURA
日立製作所
遠藤
正男
Masao ENDO
日立製作所
河野
尚幸
Naoyuki KONO
Member
日立 GE
大城戸忍
Shinobu OKIDO
Inductosense Inductosense
University of Bristol University of Bristol
Chenghuan Zhong Maria Kogia
Anthony J. Croxford Paul D. Wilcox
A pipe-wall thinning measurement is required to ensure integrity of a piping system in a power plant. Aiming to reduce the inspection time of the pipe-wall thinning measurement, we have been developing an innovative measurement technology which enables the pipe-wall thinning inspection without removing the insulation, based on the non-contact ultrasonic sensor proposed by University of Bristol. To apply this technology to the actual plant inspection, the sensor durability needs to be confirmed. In this study, we experimentally investigated the temperature durability and radiation tolerance of the sensor. Applicability of the sensor to the small diameter pipe/elbow was also confirmed in the experiments.
Keywords: Pipe-wall thinning inspection, ultrasonic measurement, non-contact measurement, pipe insulation
緒 巨
原子カ・火カプラント等の配管系において温度・流速などの熱流動条件および溶存酸素量などの化学的条件により、配管内面でエロー/ヨン・コロー/ヨンによる減肉が発生することがある。これらに対しプラント配管系の健全性を担保するため、定期的な配管減肉検査が実施されている。配管減肉検査は検査物量が多いため、検査期 短縮の観点から短時 で減肉検査できる検査技術が求められている。また、原子カプラントであれ 、短時
での減肉検査は検査 の 減に がる。以上の背景の下、日立では英国ブリストル大学・イン
ダクトセンス社と共同で非接触超音波センサの開発に取り組んでいる。後述のように、本センサは配管表面に設置されるセンサ部とパルサ・レ ー に接 される検査ロッド部がケーブルレスの構成となっており、保温材を通した計測が可能であるため、配管減肉検査において時
を している保温材の着 が となり、検査時
〒319-1292 茨城県日立市大みか町7-1-1、日立製作所・研究開発グループ、
E-mail: akinori.tamura.mt@hitachi.com
の大幅な短縮が見込める。前報[1]では、本センサの配管減肉検査への適用性検討として計測精度、保温材の透過性等について評価し配管減肉検査へ適用できる見通しを得た。本報では実機適用に向けて重 となるセンサの耐久性および小口径管への適用性について検討した結果について報告する。
センサ概要・試験目的
非接触超音波センサの原理をFig.1 に示す。本センサは圧電素子とトランスデューサーコイルを含むセンサ部、 パルサ・レ ー に接 された 信コイルを含む検査ロッドで構成される。パルサから電気信号が 信されると、磁場を通して検査ロッドからトランスデューサーコ イルへ非接触で情報が伝達され、電磁誘導による起電カで圧電素子が駆動する。
センサ部は保温材下の配管表面に常時設置されるため、プラント運転中は高温に晒され、原子カプラントであれ
の けることになる。本センサの圧電素子およびトランスデューサーコイルは耐熱性・耐 性に優れた接着剤により配管表面に接着されるが、その耐久
性を確認する必 がある。そこで本試験では、実機で想定される条件におけるセンサの耐熱性、耐 性について検討する。また、配管減肉検査において検査物量が多いのは に100 200A の 的小口径の配管・エルボである。そこで本試験ではこれらの検査対象へのセンサの適 用性について 確認する。
Transmitter coilReceiver coil
Inspection rod
Pulser/
Receiver
ンマ 照 装置にてガンマ を照 して がセンサ計測 に す について た。Fig.3 は 量到達時において波形データを取得し、そのピーク をプロットした のである。本結果より、十分大きな 量である4MGy を照 して 信号の劣化は見られず、本センサが十分な耐 性を有していることが確認できた。
1.2
1.0
0.8
Amplitude [-]
Sensor coil Transducer (PZT)
Inductive coupling
Sensing part
0.6
0.4
0.2
0.0
0.00.51.01.52.02.53.03.54.0
Total irradiation dose [MGy]
Inspection target
10 20mm
30 50mm
Fig.3 Signal amplitude variation in irradiation test.
3.3 小口径管への適用性
Fig.1 Concept of the non-contact ultrasonic sensor.
試験結果
耐熱性の確認
配管減肉形態の一種であるFAC(流れ加速型腐食)を 計測対象と想定し、200 でのセンサ耐熱性についてる。温度変化に伴う、圧電素子と配管の熱膨張差がセンサ接着部に与える が大きいため、常温→200 →常温を1 サイクルとする温度サイクル試験を実施した。炭素鋼試験片にセンサを接着し、常温時に波形データを取得した。試験結果をFig.2 に示す。縦軸は計測波形のピーク
を示している。本結果から、40 サイクルの温度サイクル試験で 信号の劣化は見られず、本センサが十分な耐熱性を有していることが確認できた。
1.2
1.0
Amplitude [-]
0.8
0.6
0.4
0.2
前述のように、配管減肉検査において100 200A 配管・エルボの検査物量が多い。本センサのこれらの小口径管への適用性を高めるため、配管およびエルボ曲面に 沿った曲率を有する圧電素子を用いて100A 配管・エルボの肉厚計測を実施した。Fig.4 が100A エルボでの取得波形であり、本波形から計測した厚みが ス計測 と0.1mm で一致することを確認した配管計測で 同様の結果が得られた。本試験結果から曲率を有する素子により 配管・エルボの減肉計測が可能であることが確認できた。
Fig.4 Received signal in the 100A elbow measurement.
結 巨
配管減肉検査の検査時 短縮を目指して開発中の非接触超音波センサについて、実機適用に向けて重 となる
0.0
0510152025303540
The number of temperature cycles [-]
センサ耐久性および小口径管への適用性を試験で確認し、良好な結果が得られた。今後、更なる検討を進める予定
Fig.2 Signal amplitude variation in temperature cycle test.
3.2 耐放性の確認
原子カプラントでは、配管表面に取り付けられたセンサが に晒されるため、本試験ではセンサの耐 性について る。炭素鋼の試験片にセンサを接着し、ガ
である。
参考文献
[1]田村ら、配管減肉検査における非接触超音波センサの適用性に関する基礎的検討、保全学会第14 回学術講演会、E-2-1-5、ひめぎんホール、2017/8