配管減肉検査における非接触超音波センサの実機適用に向けた課題と対策
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カテゴリ: 第16回
配管減肉検査における非接触超音波センサの実機適用に向けた課題と対策
Development of a non-contact ultrasonic sensor for application to pipe-wall thinning inspection in power plants
日立製作所
田村
明紀
Akinori TAMURA
Member
日立製作所
古市
肇
Hajime FURUICHI
日立製作所
河野
尚幸
Naoyuki KONO
Member
日立 GE
大城戸忍
Shinobu OKIDO
Inductosense Inductosense
University of Bristol University of Bristol
Chenghuan Zhong Matt Butcher
Anthony J. Croxford Paul D. Wilcox
A pipe-wall thinning measurement is required to ensure integrity of a piping system in a power plant. Aiming to reduce the inspection time of the pipe-wall thinning measurement, we have been developing an innovative measurement technology which enables the pipe-wall thinning inspection without removing the insulation, based on the non-contact ultrasonic sensor proposed by University of Bristol. To apply this technology to the actual plant inspection, sensor calibration and extension of measurable thickness range are required. In this study, we have proposed a concept of online calibration method and shear wave measurement system to enable smaller thickness measurement. We have experimentally confirmed their performance in the feasibility tests.
Keywords: Pipe-wall thinning, ultrasonic testing, wireless sensor, non-contact measurement
1 緒 曰
原子力/火力プラント等の配管系において,内部流体の熱流動条件および溶存酸素量などの化学的条件が特定条件を満たすとき,エロージョン/コロージョンによる配管減肉が ることが られている。定 的な減肉検査により配管健全性が担保されているが,検査物量の多さから,短時間での減肉検査を可能とする計測技術がコスト, 被ばく量低減の観点から求められている。
以上の背景の下,日立では英国ブリストル大学・インダクトセンス社と共同で非接触超音波センサの開発に取 り組んでいる。後述のように,本センサは配管表面のセ ンサ部と検査員が走査する検査ロッド部がケーブルレス の構成とな ており,保温材を通した計測によ て減肉検査において時間を要する保温材着脱が不要となるため, 検査時間の大幅な短縮が 待できる。これまでの研究[1,
2]では計測精度,保温材質/厚みの影響,センサ耐久性等について検討した。本報では実機適用に向けた開発課題であるセンサ校正法,および低圧配管への適用に向けた肉厚計測範囲の拡大法について報告する。
2 センサ概要・開発目的
非接触超音波センサの原理をFig.1 に示す。本センサは圧電素子とセンサコイルを含むセンサ部,パルサ/レシー バに接続された送受 コイルを含む検査ロッドで構成される。パルサから電 が送 されると,コイル間の電磁誘導現象を通してセンサ部へ非接触で電力が供給され,圧電素子から超音波が発振される。
国内プラントの減肉検査方法は,日本機械学会が定める技術規格にて規定されており,その中で計測前後での センサ校正が要求されているが,本センサではセンサ部が配管表面に接着されるため, 校正用試験片を用いた従来の校正法を適用出来ない。本研究では圧電素子背面に校正片を接着した たな校正法について検討する。
これまでの開発では減肉検査の主ターゲットである肉厚20mm 程度の配管を対象としていたが,肉厚10mm 以下となる低圧配管の一部も検査対象に含まれる。本研究では本センサの肉厚計測範囲を拡大するため,従来用いていた縦波に比べ,音速の小さい横波を用いた計測方法について検討する。
〒319-1221 茨城県日立市大みか町7-2-1 K2 棟、日立製作所・研究開発グループ、
E-mail: akinori.tamura.mt@hitachi.com
Transmitter coil
Pulser/ Receiver
Receiver coil
Inspection rod
合わせ約50mm とした。
Fig.3 にセンサ外観および性能 試験で得られた受波 を示す。本試験では厚み5mm の 素 平板に開発し
Sensor coil Transducer (PZT)
Inspection target
Inductive coupling
30 50mm
Sensing part
た横波センサを り付けて非接触計測を た。縦波を 用いた場合は,エコー到達時間(2X厚み/音速)が1.7?sとなり,不感帯の影響で計測が困難となる条件であるが, 横波を用いた本センサでは受 波 から明 な 面エコ
Fig.1 Concept of the non-contact ultrasonic sensor.
3 検討結果
3 1 センサ校正法
材質, 状が既 である校正片を圧電素子背面に予め取り付けておき,校正片からの反射波(校正波)を用いてセンサを校正する方法について検討した。Fig.2 は製作した校正片の 状および外観である。センサが保温材下に設置されることから,圧電素子背面に取り付ける校正 片高さを抑えるため,校正波の伝播方向を変化させる傾斜部を設けている。本校正片を厚みの異なるアルミ平板 に り付けて超音波計測を た結果,アルミ平板厚みに関わらず一定の伝播時間で校正波が得られており,本情報を用いてセンサ校正が可能となる見通しを得た。
Received signal[-]
ー(エコー到達時間: 3.2?s)が 出来ており,厚み5mm の場合においても,開発したセンサにより非接触超音波計測が可能であることを した。
Fig.3 Appearance of the shear wave sensor and the performance confirmation result.
Cross-sectional view
15mm
Transducer
7mm
4 結 曰
物量の多い配管減肉検査の短時間化を目指して開発中の非接触超音波センサについて,実機適用に向けた開発課題であるセンサ校正法および肉厚計測範囲の拡大法に ついて検討し,良好な結果を得た。今後,実機適用に向
Reflection part
Upper view
けて更なる検討を進める予定である。
Fig.2 A Calibration block for online calibration of a sensor.
3 2 肉厚計測範囲の拡大法
非接触超音波センサの計測範囲を拡大するため,従来用いていた縦波(5900m/s)に比べ,音速の小さい横波 (3200m/s)を用いた計測方法について検討した。横波発
のため,厚みすべり振動モードを有する圧電素子をセ ンサコイルに接続し,その特性に合わせてセンサコイル仕様を決定した。センサコイル外径は減肉計測ヒッチに
参考文献
田村ら,配管減肉検査における非接触超音波センサの適用性に関する基礎的検討、保全学会第14 回学術講演会, E-2-1-5,ひめぎんホール,2017/8
田村ら,配減肉検査における非接触超音波センサの 実機適用に向けた検討,保全学会第15 回学術講演会, D-2-1-6,福岡国際会議場,2018/7