電磁超音波法による遠隔監視検査ロボット: 検査デバイスの開発

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カテゴリ: 第15回
電磁超音波法による遠隔監視検査ロボット: 検査デバイスの開発 Development of Remote Inspection Robot using Electromagnetic Acoustic Transducer 神戸大学 小島 史男 Fumio KOJIMA Member 神戸大学 中本裕之 Hiroyuki NAKAMOTO Member Abstract. This report is concerned with construction of an inspection robot system. The system is assumed to be composed of a set of nondestructive inspection devices and an autonomous moving robot. The inspection devices are assumed to be set over the target materials used in remote large artifacts while the robot is expected to acquire test data and to supply sufficient energies. This report is devoted to development of inspection device using electromagnetic acoustic transducer (EMAT). Guided wave inspection enables quick and long-range inspection of piping systems. In our study, the guided wave generated by EMAT is applied to piping system in remote locations. The guided wave simulator is developed for detecting the existence, location, and extent of corrosion. Some simulation studies are implemented to show the applicability and efficacy of the problem treated here. Keywords: Inspection, robotics, nondestructive testing, ultrasonic test, simulation 1.はじめに 福島原子炉の廃炉対策、橋梁、トンネル、鉄柱などのさまざまなインフラにおける高経年化対策等、非破壊検査の必要性・重要性が増加している。これらの非破壊検査においては、人が立ち入ることが困難な、極限作業環境、あるいは検査員の不足による検査の自動化などの観点から、検査ロボットの需要が高まってきている。しかしながら、非破壊検査ロボットの技術開発は、保守性や費用対効果の面から普及はいまだ進んでいるとはいえない。その理由のひとつとして、単体のロボットに非破壊検査で必要な機能をすべて搭載しようとしているところにあることが考えられる。定点監視を目的とした非破壊検査デバイスを対象物に常時設置し、ロボットは従来から保持している高度な移動機構や通信機構を駆使し、エネルギー補給や検査データの収受を行うことで、非破壊検査ロボットシステムによる遠隔監視の効率的な運用が可能と考えられる。 連絡先: 小島 史男、 〒520-0812 滋賀県大津市木下町 11-29、 神戸大学・HMT ロボット有限責任事業組合 E-mail: kojima@koala.kobe-u.ac.jp 本稿では、電磁超音波探触子を用いて、遠隔地における配管検査を行うロボットシステムの構築をめざして、その適用可能性をシミュレーションにより考察する。電磁超音波法とは磁石とコイルを組み合わせた探触子(Electromagnetic acoustic transducer、以下EMAT と略す)を用いて、磁石によるバイアス磁場とコイルに印加する高周波電流により発生する渦電流との相互作用により、検査対象の表層部に直接超音波を発生させる非破壊検査法である [1][2]。EMAT は超音波の発生に電磁場を用いることから、試験体に非接触で検査が可能であり、カプラントを必要としない。信号発生を電気回路により実現できることから、遠隔操作が可能であり、かつ試験信号の再現性に優れている。本稿においては、遠方の配管にEMAT を複数個所に常時設置し、配管にガイド波試験を行い、データを記録するデバイスの開発をめざす。この目的のため、検査ロボットシステムの概念構築を行い、遠隔検査の方法論について検討する。次に配管内のガイド波伝搬のシミュレーション実験を行い、配管に発生する腐食の有無、その位置およびその寸法の検出可能性について考察する。 2.検査ロボットシステムの概念検討 遠隔監視ロボットシステムの概要をFig. 1 に示す。検査デバイスは、作業用移動ロボットにより、遠隔的に定点設置し、検査デバイスへのアクセス用移動ロボットは検査デバイスの周辺機器への充電作業および検査データの収集を実施する。海底等の配管検査では水中ロボットが考えられる。また検査デバイスは、水圧等の環境にロバストであることが要求される。 Fig.1 Overall configuration of inspection system 3.検査デバイスの構築および検出可能性 検査デバイスの構築 Fig. 2 に示すように、2個の永久磁石を磁極方向を交互に配置しかつレーストラック型のコイルを付加した場合、垂直横波 (SH 波) を発生させることができ、配管上に複数個のEMAT デバイスを配置することでEMAT をガイド波検査に利用できる[3]。Fig.2(a)のように2個の磁石を軸方向に配置すればT モードのガイド波源となり、またFig2(b)のように周方向に配置すればL モードのガイド波源を発生させることができる。従って配管長手方向に伝搬する各モード波の伝搬速度の違いを利用できれば,配管減肉位置からの反射波を利用して,減肉の有無、位置、寸法を推定することが可能となる。 シミュレーション実験の概要 配管内を伝播するガイド波は弾性波動の挙動を示すので、円柱座標系を用いると、超音波波動伝搬は以下のフックの法則と運動方程式で記述できる。 ??T = cB???1) ???? ここで、???、T、c、ρはそれぞれ、粒子速度ベクトル、応力ベクトル、スティフネステンソル、密度であり、SおよびBは3 × 6の行列作用素である。またF は超音波の駆動力を表す。この駆動力はEMAT の電磁場解析により計算する。EMAT の受信機構はガイド波の伝搬信号を駆動源とする電磁場解析により計算することができる。配管の検査対象に腐食が生じている場合はその幾何学構造を解析面に設定することで、シミュレーションによる受信信号の評価が可能となる。詳細は当日報告する。 T-mode guided wave L-mode Guided wave Fig.2 Measurement strategies using EMAT 参考文献 R. B. Thompson, “Physical principles of measurements with EMAT transducers”, Physical Acoustics, Vol. 19, 1990、pp.157-200, Academic Press. D. Kosaka, F. Kojima, H. Yamaguchi, and K. Umetani, “Quantitative evaluation of wall thinning in pipe wall using electromagnetic acoustic transducer”, E-Journal of Advanced Maintenance, Vol.2, №1, 2011, pp.34-42. 小島史男、“電磁超音波を用いた探傷の基礎と 最新動向”、計測と制御、計測自動制御学会、 ρ ?????= ST + F ??(1) Vol.56, №11, 2017, pp.839-844.
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