高速増殖原型炉「もんじゅ」-保守の軌跡と成果-

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カテゴリ: 第16回
高速増殖原型炉「もんじゅ」ー保守の軌跡と成果ー Maintenance history and result of the prototype fast breeder reactor "Monju" 日本原子力研究開発機構 仲井 悟NAKAI SatoruMember 金子 義久KANEKO Yoshihisa Prototype fast breeder reactor "Monju" accumulated maintenance, the repair experience more than 25 years after a test operation and got the knowledge that became extremely useful for the design of the fast reactor and operation and maintenance in the future. A maintenance program was introduced as a fast reactor power plant at the Stage of Research and Development, and problems such as the maintenance management became clear and examined the way of the maintenance management based on these experiences. . Keywords: FBR, Monju, Maintenance experience, Maintenance program 1. はじめに 「もんじゅ」はナトリウム冷却高速増殖原型炉であり、 1985 年10 月に建設工事を開始し、1994 年4 月に初臨界、 1995 年8 月初伴入を達成した。同年12 月ナトリウム漏えい事故が発生して以来原子炉を停止し、 全総点検、再発防止対策の実施、設置変更許可を経て2010 年5 月に臨界を再度達成した。2016 年12 月に決定された政府方針により、高速増殖原型炉もんじゅ(「もんじゅ」)は廃止措置に 行した。 この間、「もんじゅ」は、試運転以 25 年を超える保守?補修経験を蓄積し、将来炉の設計及び運転保守に極めて有益となる知見を得た。また、 研究開発段階の高速炉プラントとして保全プログラムを導入し、保守管理等の が かとなり、これ の経験を に保守管理の在り方について検討を行った。 本稿では、「もんじゅ」の保守の分野における軌跡と成果を報告する。 連絡先: 仲井 悟 〒311-1393 茨城県大洗町成田町4002 日本原子力研究開発機構 大洗研究所高速炉解析評価技術開発部 E-mail:nakai.satoru@jaea.go.jp 2 保守管理技術の構築と課題 保全プログラム導入前の保守管理 「もんじゅ」の保全活動は、総合機能試験実施後に開始した。この時期は、本格運転に先駆けて行う性能試験の準備段階にあり、試験の工程や試験で使用する設備の使用計画を踏まえて性能試験を確実に遂行する上で必要な設備点検を行った。また、長期に停止状態にある使用前検査対象機器については、規制当局 (当初は科学技術 、2001年以 は原子力 全?保 による 状態確認検査を受け、使用前検査に合格した状態が維持されていることの確認を受けた。 1995年の2次主冷却系ナトリウム漏えい事故後は、プラントが長期停止したことか 、保全活動についても、停止 の原子炉施設の保 確保のために必要な の系統 (崩壊熱除去、放射性物質の拡散防止等に必要な系統のみを対象とした設備点検を実施した。 ナトリウム漏えい対策工事に関する許認可を経て、2005年2月に地元自治体の事前了解を受けた後は、保全活動の重点は、漏えい対策工事及びプラント再起動に向けた設備の健全性の確認に 行した。この時期には、接触型漏えい検出器(CLD の誤警報、アニュラス排気ダクトの腐食孔等のトラブルが発生し、プラント再起動に向けた設備の健全性の確認とトラブル対応を並行して実施する必要があった。 「もんじゅ」の保全プログラムの策定 実用発電用原子炉の保守管理に関して、2008年8月に関係法令が改正され、プラントごとの保全活動の充実と保 活動における 全活動の一層の徹底等を目指した検査制度の見直しが行われた。同時に、研究開発段階の発電炉に関する法令も改正され、「もんじゅ」に対しても実用炉と同様の検査制度が適用され、保全プログラムの導入が要求された。「もんじゅ」の保全プログラムは、2008年8月か 策定のための準備?検討を開始し、実質 には同年11月か 2 月のごく 期間で策定し、2009年1月には運用を開始した。「もんじゅ」は、 用運転サイクルを通した運転保守の経験が皆無であったことか 、「原子力発電所の保守管理規程/同指針 (JEAC4209 /JEAG4210 」【1】を参考に、高速実験炉「常陽」、軽水炉等の知見を有効に活用し、予防保全を 本とする保全計画とした。なお、ナトリウム機器は、ナトリウム環境での劣化はほぼ無視できるため、開放点検や分解点検は行わず、機能確認及び外観点検を主体とした。 保全プログラムで策定する「もんじゅ」の 用開始前の保全計画は保全プログラム導入当初は、ゼロ出力での炉 確認試験、40%及び100%出力プラント確認試験でそれぞれ必要となる設備について、順次作成し、3つのステ プ ( 用前保全サイクル に分けて策定することとしていたが、2015年5月以 は40%及び100%出力プラント確認試験を区別せず1つの保全サイクルとした。 保全プログラムに基づく保守管理 用前第1保全サイクル (2009年1月1日 2010年 月22日 では、炉 確認試験に必要な設備の点検及び水?蒸気系設備の健全性確認を行い、ほぼ計画通りに保全活動を実施した。 2009年5月、規制当局は、CLD誤警報、ダクトの腐食孔等のトラブル等への対策や品質マネジメントの改善が進展したことを踏まえて、「試運転再開に当たっての 全確認の考え方」【2】を し、試運転再開を開始するに当たって、 全確保の体制が十分であると評価した。【3】これを受けて、原子力機構は2010年5月に性能試験を再開し、第1段階の炉 確認試験を実施した。 用前第2保全サイクル (2010年 月23日 の保全計画は、 用前第1保全サイクルの保全の有効性評価等を映した。 用前第2保全サイクルは、40%出力プラント確認試験に必要な設備の健全性を確認するために、1次及び 2次冷却系設備等については、点検計画に づき点検を実施し、長期間保管状態にあった水?蒸気系設備について は、特別な保全計画 に づき、設備の健全性を確認した。これ の点検及び健全性確認では、適宜、使用前検査又は立入検査により規制当局の確認を受けた。 2010年8月に発生した炉内 継装置 (IVTM: In-Vessel Transfer Machine の落下、同年12月に発生したディーゼル発電機C号機シリンダライナーひび割れなどのトラブルの で、 にわたりプラント工程が しプラント停止期間が長期化した。 また、2011年の 第1原子力発電所事故を踏まえて、 「もんじゅ」においても緊急 全対策 (電源の多様化など を優先 に実施し、再起動に向けた作業を 断した。その結果、プラント停止状態がさ に長期化し、 用前第2保全サイクル終了時期が未定となった。このような状況下で保守管理上の不備が発生した。 保守管理上の不備の教訓【4】【5】 保守管理の不備では、プラント工程の変更等に伴い、保全計画で定めた点検時期を超えて点検する 合は、不適合管理を行うべきところを適切に実施してお ず、その結果、点検時期超過機器が多 存在することとなった。原子力規制 は、これを保 規定 と 定し、2012 年12月に原子力機構に未点検機器の早急な点検と保全計画の見直しの保 措置命令を発出した。 この措置命令等に対し、直接原因及び根本原因の分析結果と、それに づく対策をまとめた報告書を原子力規制 に 出した。その後も保 検査で や 視が り し指 され、原子力機構は、保全計画や 後要因等の見直しを行ったが、根本 な への対応が十分でなく、保守管理の不備を解消できなかった。 2015年11月、原子力規制 か 部科学 に「もんじゅ」の運営主体あるいは「もんじゅ」の在り方を見直すよう勧告がなされるに至った。【6】 規制要求か 保全プログラムを導入し、 用 のプラントとほぼ同等の保守管理を目指したものの、保全プログラム導入時の準備不 、同プログラムの運用や見直しに係る経験不 等が、 用開始前の段階でのマネジメントシステムが未成熟であったことなどと相まって、保守管理上の不備を招いた要因であったと考え れる。 3 高速炉の保守管理の在り方検討 将来の高速炉に向け、前記の保守管理の経験を踏まえ、 保守管理及び保全の在り方について検討した。【7】 保守管理の 本 な考え方に関しては、高速炉と軽水炉で大きな差はなく、軽水炉用に規格化された保守管理規程 (JEAC 4209 は、高速炉にも 本 には適用可能である。ただし、「もんじゅ」は研究開発段階であることか 、実用化に向けた運転保守データを取得することが重要な役割の一つであった。特に、高速炉特有機器は、運転?保守経験が乏しいことを補うために設計段階で大きな裕度を設けており、設計の妥当性を確認する観点か もデータ取得が保守管理において必要であった。 一方、保全に関し、ナトリウムを冷却材として用いる 「もんじゅ」の特 か 、ナトリウムを内 する機器の点検は、分解?開放点検ではなく、ナトリウムの連続漏えい 視を主体とする保全が合理 といえる。 保全計画の策定では、点検対象の劣化メカニズムを想定し、その劣化を検知するための点検内 を整理しておく必要がある。「もんじゅ」は、極めて 期間で保全計画 を策定せざるを得なかったことか 、劣化メカニズムの整理が必ずしも十分ではなかったが、保守管理不備への対応の一環として、関連する研究開発、設計?建設、「常陽」等の先行炉の知見等に づき、劣化メカニズムの整理を行った。この「劣化メカニズム整理表」は、今後、その妥当性を検証する必要はあるものの、将来の高速炉保全計画の策定に役立つ貴重な成果といえる。 4 保守・補修経験から得られた知見の例 1991年5月の機器据付完了か 設備の維持管理が行われ、多くの保守?補修経験を蓄積してきた。これ の保守?補修経験は、 としてまとめている。 1は、201 年3月末までに蓄積したデータか 、将来炉の設計等に役立つ、あるいは参考となる主要な不具合事象等の情報を整理したものである。また、図2には日々の業務で得 れた保修データの設備別割合を す。 Table 1 Major trouble phenomena in "Monju" Q 発生 年月 件名 概要 1 1995.2 燃料洗浄時の脱湿不良 【内容】: ナトリウム洗浄作業時の燃料出入機グリッパの動作不良 【原因】: 洗浄後の乾燥不十分による残留湿分とナトリウムの反応生成物がグリッパ摺動部の動きを阻害 (推定) 【対策】: 湿分が残留しやす 燃料洗浄槽廻り配管部へのヒータ設置及び洗浄手順に減圧乾燥工程を追加 2 1995.2 フラッシュタンク圧力調節弁の振動・騒音 【内容】: プラント起動・停止過程の起動バイバス系のフラッシュタンク圧力調節弁回りに振動・騒音が発生 【原因】: 原因は、当該弁の2次側圧力が臨界圧力以下となり超音速領域が現れ、これが減速される過程で衝撃波が発生 (推定) 【対策】: 当該弁を低騒音弁に交換及び当該弁回りの配管を改造 (配管の太径化、2系列化、減圧機構の設置) 3 1995.6 気水分離器ドレン弁容量の不足 【内容】: 水・蒸気系起動バイパス系統試験中、気水分離器ドレン弁の開 が90%を超え、試験手順を一部変更し試験を継続 【原因】: 蒸気二相流に対して弁メーカのCV値計算式の適用不可 (推定) 【対策】: 弁のストロークを40mmから50mmに変更 4 1996.8 2次主循環ポンプA号機ポニーモータ調査点検及び対策につ て (ポニーモータ内への油浸入) 【内容】: 2次主冷却系循環ポンプA号機ポニーモータの運転中にケーシング が上昇 【原因】: モータ 製造時に形成され-リード (研磨痕) のねじポンプ作用で油がモータ内部に浸入 【対策】: モータ の取 及びモータ と イ シー えの構造変更 ( を さ する) 等の改造 5 1998 内の結露 【内容】: 例年6月ごろから9月ごろに、多 の部 で結露が発生 【原因】: 気 (機器 面 ) の低 部 に湿 の 気の流入 【対策】: スポットクーラの設置、防滴カバーの設置及び防止施工の実施等 6 2001.3 物 設 ー タンクからの ー の 出 【内容】: 物 系 ー タンク ( 管 域) 部 からの ー 出 【原因】: 塩化物による外面からの応力腐食割れ (推定) 【対策】: 炭素量の少な ーステナイト系ステンレス鋼 (SUS304→SUS304L) の変更し-タンクに 取 (外面 部は塗装施工) 7 2007.9 冬場の荒天による原子炉補機冷却海水系ストレーナの詰まり 【内容】: 例年、冬季に原子炉補機冷却海水系ストレーナ (以下、海水系ストレーナ) の詰まり (差圧上昇) が頻繁 【原因】: 日本海特有の冬季の荒天により、漁網及び落ち葉等が海水とともに取水 【対策】: 取水口への防塵ネットの設置 燃料取扱及び貯蔵設340件 (5%) 水 蒸気、ター ビン 発電機設32件 (5%) 原子炉構造81件 (1%) 原子炉格納容器84件 (1%) 1次冷却系設 372件 (6%) 計測制御設373件 (6%) 原子炉・ター ビン補助設1590件 (24%) 諸設 736件 (11%) 築・構造物等398件 (6%) 電気設438件 (6%) 放射 物 設599件 (9%) 2次冷却系設 561件 (8%) 換気 調設784件 (12%) Fig.2 Repair request of each system 以下に表1 に記載していない代表 な事例の概要を述べる。 (1 微調整 駆動機構の 重増加事象 総合機能試験及び性能試験期間 において、微調整駆動機構 (FCRD の2号機において 重異常の警報が3 発生した。分解調査の結果、上部案内管のしゃへい体と駆動軸の隙間にナトリウム化合物が付着していた (図3 。原因は、初期ナトリウム充てん時の汚れ (ナトリウム液面に膜状に浮遊した不純物 とナトリウムが滞留する構造が相まって 重増加に至ったものと 定した。対策として、上部案内管部の接液部に流動孔を追加しナトリウム純化を促進できる構造変更等を実施した。この事象は、 Fig.3 Sodium adhesion of FCRD unit 2 初期充てん時のみな ず、ナトリウムバウンダリ開放工事後のナトリウム充てん時にも注意が必要である。これ のリスクを低減するためには、工事 のナトリウム系統内への不純物 ( 気 入を 制する工事工法の 用が重要となる。 (2 過熱器用圧力開放板 (A の損傷 1998 年3 月、計画 な圧力開放板交換作業において、 過熱器用圧力開放板 (A の2 次側 (窒素ガス雰囲気 に 微量のナトリウムが付着していることを確認した (図4 。原因は、圧力開放板の 造過程で した 分と使用環 境 のナトリウムとの 応により生成した苛性ソーダが、系統の温度上昇に伴い溶融し、応力腐食割れが発生した ものと 定した。試験により、多量のナトリウム蒸気環 境下では、苛性ソーダがナトリウムと 応し、酸化ナトリウムに変化するため応力腐食割れが発生しないことを 確認した。この事象は、バキュームサポートとディスク に挟まれた狭臨部で十分なナトリウム蒸気が 給されず、苛性ソーダの状態で保持されていた極めてまれな事象と 思われる。対策として、バキュームサポートの研磨方法 を変更した。 (3 1次アルゴンガス系圧力損失増加事象 性能試験期間 の1995年10月の原子炉起動以 、ナトリウム温度上昇に対応して原子炉 器ベーパトラ プ出ロと圧縮機サージタンク間の差圧が増加する事象が発生した。原因は、ベーパトラ プ下流側の弁等へのナトリウム蒸気の付着による詰まりであった (図5 。対策とし Fig. 4 Sodium adhesion of rupture disc for Super Heater い検出設備のサンプリングポンプの電流 がサーマル設定 近傍まで上昇し、同ポンプがトリ プするリスクが高まったため、所定の圧力まで昇圧することができなかった。この原因は、ナトリウム漏えい検出設備の設計要求事項にCV-LRTの試験条件が考慮されていなかったことによるものであった。対策として、サンプリングポンプのモータを高効率タイプに取り替えた。 Fig. ressure drop increase in primary r system て、ベーパトラ プ出ロに焼結フィルタ2系統及びHEPA フィルタ1系統を追設した。 なが 、廃炉決定により対策の妥当性は確認できていない。 原子炉 器のベーパトラ プには、カバーガス の高 度のナトリウム蒸気を効率 に除去するために ストトラ プによる スト捕獲とベーパトラ プによる凝縮捕獲の2段階方式を 用したが、必ずしも十分な性能が得 れなかった。 将来炉においては「もんじゅ」の経験を踏まえてベーパトラ プの設計を行う必要がある。 (4 CV-LRT時のSID挙動 2008年8月、ナトリウム漏えい対策工事後のプラント確認試験において、CV-LRT(格納 器漏えい率試験 を行った。この時、格納 器を昇圧する過程でナトリウム漏え (5 CV-LRT時に使用する露点検出器の長期検証試験 「もんじゅ」では、CV-LRTに用いる露点検出器に塩化リチウム式露点検出器を使用している。この塩化リチウム式露点検出器は、 部に する塩化リチウム溶液に有効期 があり、「もんじゅ」のプラント運転工程が制 される 点があった。塩化リチウムの有効期 は、使用環境により異なるが3 月 6 月である (メーカ奨 。このため、「もんじゅ」を含めPWRプラントにおいては、塩化リチウム溶液の 期 を 全側に3 月としていた。一方、「もんじゅ」の原子炉格納 器内の1次冷却系ナトリウム機器設置 リアは、通常、窒素雰囲気であり、作業 が立ち入ることができない。このため、塩化リチウムの 作業は、プラント点検のために1次冷却系ナトリウムをドレンし、 気置換する時に合わせて行う必要がある。 そこで、塩化リチウム溶液を しない代替露点検出器として、静電 量式露点検出器を選定し、「もんじゅ」の原子炉格納 器内に設置し、「CV-LRT条件下における検証試験」及び「長期 (2年 検証試験」を実施した。そ の結果、CV-LRT条件下において、塩化リチウム式露点検出器と比較して有意な差がないことを確認した。また、2 年の長期検証試験を実施して、「原子炉格納 器の漏えい率試験規程 (JEAC4203 -2008 」【8】が要求する計器精度を満 することを確認した。これ のことか 、静電 量式露点検出器は、塩化リチウム式露点検出器の代替品として適用できることがわかった。 5. ナトリウム機器の補修技術の確立 2次主冷却系ナトリウム漏えい事故、IVTMの落下の対策及び 作業等を通して、ナトリウム機器の補修技術やナトリウム取扱技術を蓄積することができた。ここでは、ナトリウム漏えい対策工事及びIVTMの工事で得 れた知見を記載する。 .1 ナトリウム 策 (1 ナトリウム機器の補修方法【9】 ナトリウム機器の補修において、特に考慮すべき事項は系統内への 気 入防止である。工法選定に当たっては、フランスの原型炉Phenixでの工事工法 ( 気 入防止治具 (プラバ グ を用いない 及び「常陽」MK-Iへ改造する際の工事工法を参考にした。【10】ナトリウム漏えい対策工事は、ナトリウムバウンダリ開放時にプラバ グを用いるプラバ グ工法を 本とするが、開ロ面積をさく制 できる 合は、プラバ グを用いない工法 (シール工法 を 用した。図6にプラバ グ工法とシール工法の概 図を す。 これ の工法の選定にあたっては、事前に確認試験を行い工法の妥当性を確認した。また、ナトリウム付着配管の溶接健全性についても、事前に溶接施工性の確認試験を実施した。 Fig.6 Two shielding methods for sodium pipe opening (2 工事 の作業管理 a プラバ グ内の酸素 度管理 プラバ グを用いる際は、プラバ グ内部をアルゴンガス置換し、酸素 度が2%以下 (実績は0.5%以下 にした後、 作業を実施した。なお、ガス置換時には、プラバ グ内に収納している 機材等の 器のふたを開けるなど、 気だまりが生じないよう留意した。 また、水分が系統内に 入すると、付着ナトリウムと 応して苛性ソーダが生成し、構造材 の腐食につながるため、プラバ グ内の 分 度を確認した。 以上の管理に加え、工事期間 は、系統内のカバーガスの純度 (水素 度等 を 設のガスクロマトグラフにて 視した。 b カバーガス (アルゴンガス 圧力管理 2次冷却系統内のカバーガスの圧力は、通常98kPa 10% (gage で制御している。しかし、この圧力では、プラバ グ作業や溶接作業ができないため、漏えい対策工事専用に微正圧制御装置を設置した。工事期間 は、切断所の圧力を 100Pa、溶接 所の圧力が 20Paとなるよう、アルゴンガスの 気に対する比重を考慮し、 作業 所のレベルに応じて微正圧制御装置の圧力設定を変更し、配管の切断?溶接作業を行った。 c 溶接作業の管理 設のナトリウム配管には、微量のナトリウムが付着又は 留しており、配管の溶接熱により溶融する可能性がある。したがって、配管溶接部の近傍に 設の温度計を取付け、上 温度 ( 0℃ を超えないよう 視しなが溶接作業を行った。また、溶接 所の圧力は、溶接部の健全性の観点か 微正圧にする必要があり、 による気圧変動の を受けるため、工程管理にも気を配る必要があった。 (3 系統内に 入した酸素量 系統内に 入した酸素量は、工事前後の2次系のプラギング温度か 評価し 1.6gであった。主な酸素の 入源は、プラバ グ内に 存する 気と新設の配管、弁の内面に付着している不純物が挙げ れる。 (4 撤去した配管等に付着したナトリウム量 hoto.1 Sodium adhesion in secondary main cooling pipe 写真1に、2次主冷却系配管内部のナトリウム付着状況を す。 漏えい対策工事で撤去した配管は、ナトリウム洗浄を行った。ナトリウム洗浄前後の重量差か 配管に付着していたナトリウム量を算出した結果、 82kg (全ループ合計 であった。なお、Cループは、 のループに比べナトリウム付着量が多かった。これは、ナトリウムのドレン直後に予熱ヒータを「切」としたため、ナトリウムドレ ン後の予熱保持時間が かったことによるものと思われる。 すなわち、系統内に 留するナトリウム量は、ナトリウムドレン後の予熱保持時間に大きく依存し、予熱保持時間が ければ 留ナトリウム量は多くなる。ナトリウムバウンダリを開放するような作業が計画されている 合は、ナトリウムドレン後の予熱保持時間を通常より長めにすることが望ましい。過去のR&D結果では、高温でのナトリウムドレンは、 留ナトリウム量を低減でき、400℃では200℃の 合の 1/ になるとの報告がある。 .2 TVTMの引抜、復旧 この工事は、漏えい対策工事と比べ放射化された環境 (ただし、放射線量は極めて低い で大型のナトリウム機器を取り扱う点が異なっている。写真2にIVTMの引抜工事の状況を す。この工事を通して得 れた成果を以下に す。 ? 微正圧制御技術及びカバーガス圧力制御技術の構 ? 作業手順 (作業時間 縮化を含む の適正化 ? 大型プラバ グのアルゴンガス置換技術の構 プラバッグ(塩ビシート) を使用し炉上部大型機器を取外し-。 仮設治具によって作業中のカバーガスバウン リを確保し-。 簡易キャスク(耐熱 )を使用し落下し-炉内中継装置本 と燃料出入孔スリーブを一 で引き抜 -。 hoto.2 IVTM drawing work これ の技術は、ナトリウム機器の補修技術として貴重であり、将来炉における保守、補修、取替等にも適用できる汎用 な技術である。また、この技術は、「常陽」の原子炉 器内で損傷した計測線付実験装置の引抜き及びこれに伴う炉 上部機構の交換作業においても参考にされた。 6 あとがき 本稿は、「もんじゅ」の保守に係る経緯と成果をまとめた。「もんじゅ」で得た技術や経験が、我が国が自主開発した貴重な として、 く活用されることを期する。 参考文献 【1】日本電気協 「原子力発電所の保守管理規程」(JEAC 4209-200 、「原子力発電所の保守管理指針」(JEAG 4210-200 【2】総合 源 ネルギー調査 原子力 全?保 部原子力 全 もんじゅ 全性確認検討 (第20 参考 1 高速増殖原型炉もんじゅ試運転再開に当たっての 全確認の考え方について 【3】総合 源 ネルギー調査 原子力 全?保 部原子力 全 もんじゅ 全性確認検討 (第23 ) 23-4-2 独立行政法人日本原子力研究開発機構高速増殖原型炉もんじゅ 試運転再 開に当たっての 全性評価について 「高速増殖原型炉もんじゅ 全性総点検に係る対処及び報告について(第5 報告)」に対する評価 の概要(案) 【4】JAEA-Review 2013-032 高速増殖原型炉もんじゅ技術年報(平成24 年度 保守管理上の不備の措置命令対応 【5】26 原機(運 012 法律第36 条(現第43 条の3 の23 第1項の規定に づく保 のために必要な措置命令について(平成 25 年 5 月 29 日原管 P 発第 1305293 号)」に対する対応結果報告平成26 年12 月22 日 【6】原規規発第1511131号 平成2 年11月13日 原子力規制 高速増殖原型炉もんじゅに関する勧告 【 】高屋茂ほか, 研究開発段階発電用原子炉施設の保守 管理, JAEA- Research 2016-006, 2016 【8】日本電気協 原子炉格納 器の漏えい率試験規程 (JEAC4203 -2008 【9】火力原子力発電 200 年 月No.610,Vol.58,P564 5 3 「高速増殖原型炉「もんじゅ」における2次冷却系の改造工事経験」 【10】JNC TN9410 2004-01 「常陽」MK-I冷却系改造工事 ー1 次冷却系機械設備(主 間熱交換器ー (技術報告 2004 年4 月
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