角運動量を保存する粒子法を用いた相変化を伴う高温・高粘性流体の 拡散・凝固挙動評価

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カテゴリ: 第17回
角運動量を保存する粒子法を用いた相変化を伴う高温・高粘性流体の拡散・凝固挙動評価 Evaluation of spreading-solidification behavior of high-temperature and highly viscous fluid by particle method with angular momentum conservation 東京大学 横山 諒 Ryo YOKOYAMA Student-member 東京大学 鈴木 俊一 Shunichi SUZUKI Member 東京大学 岡本 孝司 Koji OKAMOTO Member 産総研 近藤 雅裕 Masahiro KONDO Non-member Abstract For predicting the fuel debris distribution in Fukushima Daiichi Nuclear Power Plants (1FNPPs), it is essential to figure out the melt spreading behavior on primary containment vessel (PCV) floor. In this paper, we analyzed VULCANO spreading experiment programs using a particle method called “Moving Particle Full-Implicit method (MPFI)” which conserves an angular momentum. Phase change model was installed into MPFI method. two experiments having different corium characteristics were analyzed to confirm the corium composition effect for the influence of the spreading and the solidification behaviors. As a result, the molten corium drastically spread up to 10 seconds and rapidly solidified after 10 seconds. The free surface particles were solidified by the radiation. Besides, the corium in VE-U9 spread rather than that in VE-U7 due to the low viscous corium effect. It was confirmed that this method has a potential to utilize to simulate corium spreading in Fukushima Keywords: 燃料デブリ,コリウム,シビアアクシデント,溶融凝固,福島第一,粒子法,高粘性流体 1.緒言 福島第一原子力発電所事故により発生した燃料デブリを最適かつ安全に取り出すためには,燃料デブリ分布を推定することが重要である.そのためには,RPV (reactor pressure vessel) 内部で,燃料や構造材等が溶融・混合した超高温・高粘性流体「コリウム」のPCV (primary containment vessel)床面上での拡散・凝固挙動を理解することが必要不可欠である. フランスで行われた「VULCANO spreading」プログラムは,コリウム拡散現象を理解する上で極めて重要な大規模実験であり,その現象は福島第一コリウム拡散推定への有用な知見としてしばしば用いられている. 「VULCANO VE-U7」実験[1]では酸化物重量比が90wt.% を超えるような溶融物をセラミックス床面上へ拡散させ, その挙動を観察した一方,「VULCANO VE-U9」実験[2]では,コリウム組成に占める鉄成分割合を約 20%上昇させた.これにより,低粘性化した溶融コリウムの拡散挙動をVE-U7同様にセラミックス/コンクリート床面条件で観察 した.しかしながら,上記実験だけでは詳細な拡散・凝固 連絡先:横山 諒、〒113-8654 東京都文京区本郷7-3- 1 工学部8号館 402 号室、東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻 E-mail: yokoyamaryo395@g.ecc.u-tokyo.ac.jp 挙動は明らかにされず,数値解析による詳細な検討がなされてきた. VULCANO 実験を対象とした数値計算の例として,空間を離散化するVOF 法(volume of fluid)[3]を用いた解析やJAEA によるJUPITER コード[4]を用いたものが挙げられる.上記のオイラー的手法の他に,詳細に自由表面追跡及び相変化を伴う高粘性流体の解析を行うために, ラグランジュ的手法を用いたVULCANO 実験解析も行われてきた.粒子法は,自由表面を伴う流体解析を得意とする手法であり,特にMPS 法[5](moving particle semi- implicit)を用いたVULCANO 実験解析も行われてきた実績がある[6,7].しかしながら, 従来のMPS 法による高粘性流体の解析では,粘性上昇による流動停止が起こらない数値的クリープ[8]が発生することや角運動量が保存されていないことによる流体の回転挙動が再現できないことが課題となっている. これらの課題を解決した手法MPFI 法(moving particle full-implicit)が提案されており[9-11],同時にMPFI 法を用いた溶融凝固解析手法の提案及び検証も行われた[12,13]. 本研究では,MPFI 法を用いたVULCANO VE-U7 実験及びVE-U9 実験の解析を行うことにより,超高温・高粘性流体の拡散・凝固挙動の詳細な検討を行うと共に,コリウム組成が異なる流体の拡散挙動の違いを計算上で再現できることを確認する.得られた結果から,福島第一 コリウム拡散現象推定に活用できる手法であることを確認する. 2.MPFI 法概略 支配方程式 本研究では,以下に示すナビエ-ストークス方程式を 支配方程式として適用する. 熱伝導・熱伝達モデル 本研究では,以下のエネルギー保存式から温度を算出する. DH =k∇ 2T+Q,(10) Dt ここで,H, k, T, Q は単位体積あたりのエンタルピー. 熱伝導率,温度及び熱源を表している.また,固体-液体 ρ dui = ∂ ∂ με? + P +ρg (1) 間の熱伝達方程式は dt∂xi ij ∂xi ii DHi = 1 hL(Tj-Ti) w’ij +Q(11) ここで g, P, u, ρ, μ ,ε はそれぞれ重力加速度,圧力,速度,流体密度,流体粘性,歪速度を表す.右辺第一項は粘性項,右辺第二項は圧力項を表す.ここで圧力項は以下の Dtdij j ここで熱伝達率は並行平板を流れるNu 数から算出する. 式で表す. ????0.664Re1&2Pr1&3 2 Re < 3.2×1053(12) ?? = (-????! + ???? - ??/(2) ?? ????0.037Re0.8Pr1/32 Re > 3.2×1053(13) Re, Pr はそれぞれレイノルズ数,プラントル数である. ここでλ ,κ は体積粘性率及び体積弾性率を表す. λ ,κ が十分大きな値を採用することで,非圧縮条件を e また,ステファン-ボルツマン則から自由表面において輻射熱損失を考慮すると 達成する.粒子法では以下に示す粒子間相互作用モデ ルを用いて,離散化を行う. ???? ????= ????'??- σεAT4 l (14) ji ij w'ij ∇? = 12? +? 3rr dij # ji ij w'ij (3)となる.ここで,σ,ε,Te はそれぞれステファン-ボルツマン定数,放射率,環境温度である.式(10),(11),(14)はラ ( )プラシアンモデル(式.(5))を用いて離散化を行う. ∇ ? A = 12A -A 3r # dij 4 相変化モデル 2j i w'ij ( )本研究では,相変化を流体粒子の粘性を変化させるこ ∇ ? = 12? -? 3 dij # 5 とによりモデル化を行う.粒子の温度及び固相率は ここでφ, A, r ij 及びd ij は任意のスカラー値,任意のベクトル,粒子i,j 間の相対距離及び粒子間距離を表す. w'ijは,重み関数の微分であり,重み関数は以下のよう ? Tm ? + h-h0 ρCps h-h0 (hre3 (6) ?m ρCpm ρCpl1 ここでre は影響半径を表す.以上の粒子間相互 ? 1(h
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