自走検査装置によるタンク側板の超音波探傷
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カテゴリ: 第17回
自走検査装置によるタンク側板の超音波探傷
Self-propelling inspection device for ultrasonic flaw detection on the tank side plate
日本製鋼所 M&E㈱
田中勇
Isamu Tanaka
Member
日本製鋼所 M&E㈱
森元雄大
Yuta Morimoto
Member
日本製鋼所 M&E㈱
宇川祐丞
Yusuke Ukawa
Member
To prevent leakage accidents, inspection items for outdoor storage tanks in oil refinery plants and power plants are stipulated by law, and many of them are inspected according to stricter standards and criteria than the law. For the purpose of detecting metal loss and corrosion on the tank side plate, the inspection by visual check and wall thickness measurement is performed as one of the inspection items. In general, inspections on the tank side plate require the installation of large-scale scaffolding, which is time-consuming and costly. We have developed the inspection device that is capable of self-propelling for ultrasonic flaw detection on the tank side plate, eliminating the need to install the large-scale scaffolding that was previously required for inspection on it.
Keywords: Inspection, Ultrasonic Testing, Tank side plate, Self-propelling, Corrosion
１．はじめに
石油プラント等の屋外貯蔵タンクは消防法によって点 検項目が示されている。各石油、電力会社が行う点検では 法律より厳しい基準を設けた点検も多く、目視だけでな く肉厚測定やその他非破壊検査も行う場合がある。
一般的に肉厚測定は足場を掛けて超音波探傷を行うが、 検査箇所の関係で大規模な足場が必要な場合が多く時間とコストが大幅にかかる。
弊社ではこの問題を解決するためにマグネット吸着式 の自走検査装置を開発した。
２．側板の腐食について
タンクの側板は様々な要因により腐食し、外面から進 行する場合と内面から進行する場合がある。外面からの 腐食はスティフナーリング等の付属品と側板の溶接部に 発生することが多く、内面からの腐食は貯蔵物の液面付 近に発生することが多い。これらの腐食は主に高所かつ 周方向に発生する。
よってこれらの腐食を検査するためには検査装置が側 板に吸着しつつ水平に移動する必要がある。
３．開発した自走検査装置
開発した自走検査装置を図１に示す。装置は超音波プローブ、接触媒質を噴霧するホース、距離計測用エンコ
連絡先:田中 勇、〒051-8505 北海道室蘭市茶津町4 番地、日本製鋼所M&E 株式会社 TES ユニット検査サービス部非破壊検査グループ
E-mail: isamu_tanaka@jsw.co.jp
ーダ、マグネットタイヤ、超音波探傷器、制御盤、水タ ンク、その他ケーブル等で構成される。
装置はコントローラで操作でき検査箇所に移動した後 に接触媒質を噴霧しながらデータを収録する。進行方向は探傷器に表示されるデータを確認しながら調整する。 超音波プローブはマルチチャンネルのものを採用したため一度に広範囲の検査が可能であり、探傷結果はリア
ルタイムで探傷機に表示される。現在は探傷幅300mm
のプローブを用いている。
４．実機適用
ここではタンク側板を内面から周方向に探傷した際の 実機検査事例を紹介する。本事例はウィンドガーダー裏 面上部の腐食想定範囲を検査範囲として検査を行った。
装置は側板に十分な力で吸着し滑り落ちることは無 く、水平に移動して検査することが可能であった。
今回の事例では検査処理量がタンク1 周分に当たる250m / 8h 程度であった。
本検査装置の開発により従来のタンク側板検査を低コ ストで効率よく実施可能になった。今後も顧客ニーズに 合致した技術開発を推進していきたい。
図１ 自走検査装置