高速炉の最適点検工程スケジューリングに関する基礎的検討

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カテゴリ: 第16回
高速炉の最適点検工程スケジューリングに関する基礎的検討 Fundamental Study on Optimal Scheduling of Inspection Process for Fast Reactor 東京理科大学 鈴木 正昭 Masaaki SUZUKI Member 東京理科大学 伊藤 真理 Mari ITO Non-member 日本原子力研究開発機構 橋立 竜太 Ryuta HASHIDATE Member 日本原子力研究開発機構 高橋 慧多 Keita TAKAHASHI Non-member 日本原子力研究開発機構 矢田 浩基 Hiroki YADA Member 日本原子力研究開発機構 高屋 茂 Shigeru TAKAYA Member To achieve the reasonable and effective maintenance of nuclear power plants, it is essential to optimize the aging management from the viewpoints of both safety and efficiency. We propose an inspection-process-scheduling model that minimizes the number of inspection activities in a fast reactor. In this study, we formulate the inspection-process-scheduling problem as mixed integer programming and 0- integer programming problem. Keywords: Plant life management, Inspection-process scheduling, Fast reactor, Operations research, Optimization, Mathematical programming はじめに 予防保全スケジューリングは産業分野で広 行われている。事業者や機器サプライヤは通常、スケジュールが満たすべき制約と周期的な保全間隔を事前に定義する が、多 の それ は ンジ の に基 ものである。Prajapat は、保全スケジュールの最適化分野 の、 に の 用に関 て ュー ている 。 本研究では高速炉における保全最適化に向けた検討の一環と て、従来手作業で行われているプラント点検 の組み立てを、オペ ーションズ・リサーチの数理的手法を用いて自動化および最適化するシステムについて検討する。高速炉もんじゅを例にとると、点検項目の数は 大 約 ス であ 、点検 の組み立ては複雑なものとなっている。ここではシステム構築に必要な情報の整理、およびシステムの概念検討を行った。 想定する点検工程スケジューリング問題 本研究ではまず、高速炉 次冷却系 ループ を考える。想定する点検対象とその点検項目・周期・台数・制約条件を に す。 定期間は 0 間分、最適化の指標は運転時間の最大化とする。 ここで考える点検およびプラント運用に係る主な制約条件の一部を抜粋する: 一般事項 ・セル室での点検作業は同時に4 作業までとする。燃料交換に関する事項 ・ 運転期間 に燃料交換を実 する。 ・燃料交換時のナトリウム液位は定格運転時液位 Ns : ループ冷却 充填 とする。冷却 液位に関する事項 ・点検期間中のナトリウム充填ループは最低2 ループを保持する。 ナトリウムの充填/ド ン、セル室の空気置換/窒素置換に関する事項 ・セル室の空気置換は、ナトリウムド ン 、 0 日間 過 なければ実 できない。 ・セル室の窒素置換は、ナトリウム充填8 日前までに実 する。 その他の事項 ・制御棒駆動機構の動作確認時のナトリウム液位は Ns とする。 ・ 次主 環 ンプの本格点検の実 は、 点検の実績を兼ねることとする。 点検対象 点検項目 点検周期(月) 点検台数(台) 制約条件 ナトリウムドレン セル室解放 A/B/Cループ 1次主ポンプ 簡易点検 36 1 A/B/Cループドレン 本格点検 72 1 弁 分解点検 120 40 A/B/Cループセル室 空気 換 ナトリウム漏えい検出器 フィラメント交換+計器校正 12 10 検 120 400 A/B/Cループセル室 空気 換 電源設備 分解点検 12 1 微調整棒駆動機構 分解点検 36 3 後備炉停止棒駆動機構 分解点検 36 6 粗調整棒駆動機構 分解点検 36 10 燃料交換 , 1 定式化 点検 スケジューリング問題を数理計画モデルである混 整数計画と0- 整数計画モデルと て定式化 、点検回数を最小化 点検間隔を最大化 する点検 スケジューリングモデルを提案する。 に計算コスト削減 決定変数 zict (Vi E /, Vc E C, Vt E T) : : 機器 i の c 回目の点検を[ 期に開始するとき ,それ 外0 sic (Vi E /, Vc E C): 機器 i の c - 回目の点検か c 回目の点検までの間隔 定式化 の 点か 、 段階目の最適化と てまずスケジュール Maximize Li LcE sic ( ) 作成対象期間中のどの にどの点検を行うかを決定 て、次に2 段階目の最適化と て各 のどの日にどの点検を行うかを決定する、2 段階のスケジューリングモデルを構築する。 基礎的検討と て、ここでは、提案スケジューリングモデルで 望の制約条件を 現可能であること、それ制約を満たす最適スケジュールを求解可能であることを検証する。そのために、前述の制約条件を 的に模擬 た試計算条件において最適化計算を行う。 3 1 1 段階目の最適化モデル まずスケジュール作成対象期間中のどの にどの点検を行うかを決定する。この時、スケジューリングの時間単位は 刻みとなる。目的関数と て点検間隔の最大化を、制約条件と て点検周期の超過禁止に関する制約、可能な限 燃料交換とそれ 外の点検を同時期に実 する制約等をそれぞれ考える。具体的には 下のとお 定式化する: 記号の定義集合 / : 機器の集 C : 点検回数の集T : 期 の集定数 Mi (Vi E /) : 機器 i の点検周期 ki (Vi E /) : 機器 i の点検に要する期間 c? : 最大点検回数 Subject to sic $; Mi - ki,Vi E /, Vc E C,(2) si,c+1 = LtET tzi,c+1,t - LtET tzict, Vi E /, 1 $; c $; c? - 1,( ) si1=LtET tzi1t,Vi E /,(4) LtET zict $; 1,Vi E /, Vc E C,(5) LcE zict $; 1,Vi E /, Vt E T,(6) sic ? o, Vi E /, Vc E C,(7) zict E {o, 1}, Vt E T, Vi E /, Vc E C.(8) 目的関数( )は点検間隔を最大化する。制約式(2)は機器 i の点検周期または燃料交換前に必ず点検を行うよう制約する。制約式( )、(4)は変数sicを定義する。制約式(5)は機器 i のc 回目の点検は必ず 回 下とする。制約式(6)は機器 i の[ 期の点検は必ず 回 下とする。制約式(7)は非負制約である。制約式(8)はバイナリ制約である。3 2 2 段階目の最適化モデル 次に、2 段階目の最適化と て、1段階目の結果を受けてどの日にどの点検を行うかを決定する。このとき、スケジューリングの時間単位は 日刻みとなる。目的関数と て 初めか 点検開始日までの間隔の最小化を、制約条件と て各点検 間の関係に関する制約等をそれぞれ考える。具体的には 下のとお 記号を追加 て定式化する: 記号の定義(追加) 集合 ] : 機器の集 D : 期 日 の集 定数 F : 同時点検上限数 L : 末日 kj (Vj E ]) : 機器 j の点検に要する期間 決定変数 Yjd (Vj E ], Vd E D) : 機器 j の点検を d 期に行っているとき ,それ 外0 zjd (Vj E ], Vd E D): 機器 j の点検をd期に開始するとき ,それ 外0 定式化 4 2 結果 段階目の最適化結果 648 変数、4 4 制約に対 て求解には約 秒を要た。また、 段階目の最適解と て れた点検スケジュールを図 に す。同図か は、いずれの点検対象の点検間隔も点検周期を超過 ていないこと、 源設備 点検周期: 2 や微調整棒駆動機構 点検周期: 6 を見ると単純に点検周期ごとに点検を行うのではな 点検周期に最も近い燃料交換時期と同時期の イミングで点検を行っていること、などが分かる。 Minimize LjE] LdED dzjd ( ) 段階目の最適化結果 Subject to LjE] Yjd $; F, Vd E D,( 0) LdED zjd ? 1, Vj E ],( ) ここでは、2 段階目の最適化計算の例と て、図 における 目を対象と てスケジューリングを行なっ t Yjd = L I t =t-kj+1 zjd, Vj E ], Vd E D,( 2) た結果を す。スケジュール作成対象期間は 0 日間、 dzjd $; L - kj,Vj E ], Vd E D,( ) Yjd, zjd E {o, 1}, Vj E ], Vd E D.( 4) 目的関数( )は 初日か 点検開始日までの間隔を最小化する。制約式( 0)はd 期の同時点検上限数を制約する。制約式( )は に必ず点検するよう制約する。制約式( 2)は変数Yjdを定義する。制約式( )は機器j の点検を 末日L までに必ず終えるよう制約する。制約式( 4)はバイナリ制約である。 数値実験 4 1 実験条件 前節で たスケジューリングモデルおよび試計算条件において最適化実 を行った。本実 における各点検の必要点検期間の設定 を 2 に す。ここで、 段階目の最適化計算中では点検期間を 単位に切 上げて用いている。また、同時点検上限数F = 4 と た。求解に用いたソルバーはIBM I OG CP EX 2.6. ,計算環境はIntel Core i5-6200U@2. 0GHz, 8GB RAM である。 点検対象は6 機器である。 60 変数、 6 制約に対 て求解には約 秒を要 た。また、2 段階目の最適解とて れた点検スケジュールを図2 に す。同図かは、目的関数 初日か 点検開始日までの期間 を最小化 、また、同時点検上限数の制約を満たす解がれていることなどが分かる。 おわりに 点検回数を最小化 点検間隔を最大化 する点検スケジューリングモデルを提案 た。本研究では、点検 スケジューリング問題を混 整数計画問題および0- 整数計画問題と て定式化 、 段階目の最適化とてまずどの にどの点検を行うかを決定 、次に2 段階目の最適化と て1段階目の結果を受けてどの日にどの点検を行うかを決定する、2 段階の最適スケジューリングモデルを構築 た。実機における制約条件を 的に模擬 た試計算条件で最適化実 を行い、 望の制約条件を 現可能であること、それ 制約を満たす最適スケジュールを提案モデルで求解可能であることを検証できた。 点検対象 1台あたり必要点検期間 1段階Hでの 設定値 2段階Hでの 設定値 A/B/Cレープ 1次主ポンプ(本格点検) 3ヶ月 87日 弁 1ヶ月 9日 ナトリウム漏えい検出器 1ヶ月 0.2日 配管支持装置 1ヶ月 1日 電源設備 1ヶ月 15日 微調整棒駆動機構 3ヶ月 78日 後備炉停止棒駆動機構 3ヶ月 78日 粗調整棒駆動機構 3ヶ月 78日 燃料交換 2ヶ月 50日 参考文献 N. Prajapat et al., "Preventive maintenance scheduling optimization: A review of applications for power plants", In: . Redding, R. Roy, and A. Shaw (eds) Advances in Through-life Engineering Services, Decision Engineering, Springer, 7?4 5, 20 7. 期(ヶ月目) 01224364860728496108120 点検対象 Bレープ Aレープ ナトリウム漏えい検出器A 電源設備A ナトリウム漏えい検出器B 点検対象 電源設備B ナトリウム漏えい検出器c 電源設備c 期(日目) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 Cレープ
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