JRR-4の廃止措置計画の概要及び実施状況について

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カテゴリ: 第15回
JRR-4 の廃止措置計画の概要及び実施状況について Outline and implementation status of decommissioning plan of JRR-4 原子力機構 石黒 裕大 Yasuhiro ISHIKURO Non Member 原子力機構 根本 勉 Tsutomu NEMOTO Non Member 原子力機構 山田 佑典 Yusuke YAMADA Non Member 原子力機構 大山 光樹 Koji OHYAMA Non Member After operating until December 2010, JRR-4 was under periodical self-inspection for the next operation. After that, it suffered from the Great East Japan Earthquake on March 11, 2011. But it recovered almost a year later. However, we determined to decommission JRR-4 in September 2013. After that, we received the approval of the decommissioning plan of JRR-4 on June 7, 2017. And we received the approval of the change of the safety regulations related to it. Subsequently JRR-4 was shifted to decommission phase in December 2017.This report describes the outline of the decommissioning plan of JRR-4 and the implementation status. Keywords: Decommissioning plan, JRR-4, Implementation status JRR-4 の概要 JRR-4 の主要諸元を表1に示す。 表1 JRR-4 の主要諸元 燃料濃縮度 (運転 間) 高濃縮燃料 (S40 H7 ) 低濃縮燃料 (H10 H22 ) 炉型 濃縮ウラン軽水減速冷却スイミングプール型 最大熱出力 3,500kW 最大 熱中性子束 7x1017n/m2?s 炉心形状寸法 角型 約65cmx67cm x高さ60cm 冷却材 軽水 制御棒 ボロン入りステンレス鋼 運転形態 1日6時間のデイリー運転 1サイクル=1週間 JRR-4 は、濃縮ウラン軽水減速冷却スイミングプール型の熱出力 3,500kW で、中出力炉の特性を活かした小回りの利くプイリー運転形態の研究用原子 炉である。主な利用目的として、医療照射、原子炉技術者養成、放射化分析、ラジオアイソトープ及びシリコン半導体の製造等が挙げられる。 JRR-4 は我が国初の原子力船「むつ」の実物大モックアップによる遮へい実験を目的として建設され、 40 年 1 月 28 初 に した。 の後の平 成 8 年 1 月から平成 10 年 9 月までに燃料の低濃縮化を行うとともに、原子炉施設の整備及び実験設備の拡充のため各設備・機器の大規模な改造工事を行 った。 原子炉炉心部は図 1 に示すように、炉心プリッジから吊り下げられた炉心夕ンク内に納められ、水深 約 9.8m のプール中に置かれている。炉心部は燃料要素、反射体要素、格子板、制御棒等から構成される。 JRR-4 は平成 22 年 12 月まで運転を実施後、施設 定期自主検査に入り、平成 23 年 3 月に東北地方太平洋沖地震が発生した。JRR-4 は被害を被ったが、約1年後にほぼ復旧した。しかし、原子力機構全体からみた重要性、新規制基準対応費用及び今後の二 ーズ等の観点から平成 25 年 9 月に公開した原子力 機構改革の中で JRR-4 を廃止することが決定した。 の後、平成 27 年 12 月に JRR-4 廃止措置計画認可申請書を提出し、平成 29 年 6 月 7 に認可を受けるとともに、当該申請書に関連した保安規定の変更認可を同年 11 月 29 に受け、同年 12 月 15 から廃止措置に移行した。 制御設備の駆動部 図 1 JRR-4 炉心 使用済燃料の搬出 JRR-4 では、廃止措置計画認可申請書を申請する前に、あらか め 用 燃料を JRR-4 から 出することで、リスク低減を図るとともに、廃止措置計画認可申請書を作成するにあたり、機能を維持する設備を限定させることが可能であると判断した。 のため、現行の許可書に基づき、廃止措置計画認可申請書を申請する前に 用 燃料を全て施設外へ 出した。 廃止措置計画の概要 3 1 解体対象施設 JRR-4 原子炉施設の解体前後を図2に示す。 解体前 解体後 図2 JRR-4 原子炉施設の解体前後 JRR-4 原子炉施設は、付属建家、新燃料貯蔵庫等、原子炉建家、排風機室、排気筒、実験準備室、純水製造装置室、廃液貯槽室及び冷却塔並びにこれらの建家内外に設置されている全ての施設・設備に加えて、原子力科学研究所の原子炉施設の共通施設である放射性廃棄物の廃棄施設の放射性廃棄物処 場、及び放射 施設の 外 用の主要な設備のうちモ二夕リングポスト、モ二夕リングステーション装置、中央監視装置及び環境放射 観測車によって構成されている。 これらのうち解体対象施設は、新燃料貯蔵庫等、原子炉建家、排風機室、排気筒、実験準備室、純水製造装置室、廃液貯槽室及び冷却塔並びにこれらの建家内外に設置されている全ての施設・設備である。 付属建家は、施設・設備を解体撤去するとともに、 区 解 後、建家を解体せ に 施設として活用する。なお、 区 を有する建家は、付属建家( 部)、新燃料貯蔵庫等、原子炉建家、排風機室及び廃液貯槽室である。 3 2 廃止措置計画の工程 JRR-4 原子炉施設の廃止措置は、第1段階(原子炉の機能停止から燃料体 出までの段階)、第2段階 (維持 段階)、第3段階(解体撤去段階)の順に3段階に区分して実施する。各段階の概要は次のとおりである。また、表2に廃止措置の工 表を示す。 表2 廃止措置の工程表 第1段階(原子炉の機能停止から燃料体 出までの段階) 第1段階では、原子炉の機能停止措置及び燃料体 出を行う。 原子炉の機能停止措置として、制御材を挿入した状態での固定及び制御設備の駆動部の撤去を実施する。 未 用燃料は新燃料貯蔵庫の燃料貯蔵棚に貯蔵しており、平成 30 年度までに 出し、米国へ譲り渡す。 第2段階(維持 段階) 燃料体の 出が完了した時点で、第1段階から第2段階へ移行する。第2段階は、施設に残存する放射性物質を減 させ、第3段階で実施する解体撤去作業及び放射性物質を含む廃棄物の取扱いにおける 放射 業務従事者の被ばく低減を図るための期間とする。放射性物質を減 させるための期間は、放射能量が大きい放射性物質を安全に取り扱うため原子炉停止後約 10 年(平成 33 年3月 ) とする。第2段階では、各建家及び れらの維持 に必要となる施設・設備について維持 を行う。 第3段階(解体撤去段階) 原子炉停止後約 10 年(平成 33 年3月 ) が経過し、さらに、解体撤去工事の詳細を定めた本廃止措置計画の変更認可申請の認可を受けた段階で、第2段階から第3段階へ移行し、解体撤去工事に手する。 解体後、残存する付属建家及び土地に汚染の無い ことを確認する。放射性廃棄物は、放射性廃棄物処 場へ引き渡す。 4 汚染状況 施設に残存する汚染は、放射化汚染物質と二次汚 染物質に分けられる。 4 1 放射化汚染物質 放射化汚染物質の評価手順を図3に示す。 図3 放射化汚染物質の評価手順 中性子束分布は、連続エネルギーモンテカルロコ ード「MCNP5」を 用して計算し、各領 における中性子束を算出した。核プー夕ライプラリには、JENDL3.3を用いた。次に求めた中性子束、原子炉運転履歴及び設備の組成プー夕を、ORIG EN-Sを用いて、放射化汚染物質の放射能濃度を算出し、この結果に物量プー夕を用いることにより、放射化汚染物質の放射能量を算出した。 評価の結果、原子炉停止後約4年(平成 27 年3月 )経過時の放射化汚染物質の推定放射能量は 2.5 X1013 Bq、主要な放射性核種は H-3、Fe-55、Co-60 等である。これらの放射化汚染物質は、解体撤去作業及び放射性物質を含む廃棄物の取扱いにおける放射 業務従事者の被ばく低減のため、時間減 による放射能の低減を図る。時間減 による放射能の低減を図るための期間は、原子炉停止後約 10 年(平成33 年3月 ) とする。原子炉停止後約 10 年(平 成 33 年3月 )経過時の放射化汚染物質の推定放射能量は 1.4X1013 Bq となり、主要な放射性核種は H-3、Ni-63、Co-60 等である。 4 2 二次汚染物質 二次汚染が生 ている可能性のある施設・設備について、表面密度及び表面積を用いて二次汚染の評 価を行った。二次汚染物質の放射能量評価を、実際の放射能量よりも多くなるように保守的な評価とするために、施設・設備の表面密度の最大値に相当する汚染が、二次汚染が生 ている可能性のある全ての施設・設備に生 ているものとして評価を行った。施設・設備の中で、表面密度が最大となるのは、施設・設備の構造及び過去の点検結果等から 次冷却系ストレーナ No.3であると判断し、内部の表面密度の測定を実施し、 の結果を用いて評価を実施した。また、重水夕ンク等の内部の H-3 による二次汚染については、重水夕ンク等に残存している全重水量(H-3 全量)が二次汚染に寄与しているものとして評価した。 評価の結果、原子炉停止後約4年(平成 27 年3月 )経過時の二次汚染物質の推定放射能量は、放射性腐食生成物等による施設・設備の二次汚染では2.7X107Bq、主要放射性核種は Co-60 であり、また、重水夕ンク等の内部の二次汚染では 6.4X1010Bq、放射性核種は H-3 である。これらの二次汚染物質についても、放射化汚染物質と同様に、時間減 による放射能の低減を図る。時間減 による放射能の低減を図るための期間は、原子炉停止後約 10 年(平成33 年3月 ) とする。原子炉停止後約 10 年(平成 33 年3月 )経過時の二次汚染物質の推定放射能量は、放射性腐食生成物等による施設・設備の二次汚染では 1.3X107Bq であり、重水夕ンク等の内部の二次汚染では 4.6X1010Bq である。 放射性廃棄物の発生量 廃止措置の第3段階の解体撤去作業において発生 する放射性固体廃棄物及び放射性物質として扱う必要がない物の推定発生量を表3に示す。 表3 放射性固体廃棄物及び放射性物質として扱う必要がない物の推定発生量 廃止措置期間中に機能を維持すべき設備 廃止措置期間中に機能を維持すべき施設・設備については、全ての 用 燃料が JRR-4 から 出 であり、JRR-4 へ戻すことがないことを踏まえつつ、原子炉施設外への放射性物質の放出抑制、放射性廃棄物の処 処分及び放射 業務従事者が受ける放射 被ばくの低減といった観点から決定した。なお、 用 燃料を冷却する機能及び燃料破損時に放射性物質の環境放出を抑制する機能は不要となる。 廃止措置期間中に機能を維持すべき主な設備を下に示す。 プール及びプール水精製系 プールは、プール内の放射化汚染物を解体撤去し、プール水を排水するまでの間、遮へい材としてのプ ール水を維持するため維持 する。また、プール水の水質を維持するため、プール水精製系を維持 する。 燃料貯蔵棚 燃料貯蔵棚は、未 用燃料を 出するまでの間、未 用燃料の未 性を維持するため維持 する。 原子炉建家 原子炉建家は、 区 を解 するまでの間、放射性物質の漏えい防止のための障壁及び放射 遮蔽体として維持 する。 気体廃棄物の廃棄設備 気体廃棄物の廃棄設備は、施設の 染が終了するまでの間、気体廃棄物を処 するため維持 する。 液体廃棄物の廃棄設備 液体廃棄物の廃棄設備は、廃液貯槽における液体 廃棄物の受入及び排出が終了するまでの間、液体廃棄物を貯留するため維持 する。 放射 モ二夕リング設備 放射 モ二夕リング設備は、 区 を解 するまでの間、放射 をモ二夕するため維持 する。 給気設備及び電灯設備 給気設備及び電灯設備は、施設の 染が終了するまでの間、保安のため維持 する。 これまでの廃止措置の状況 廃止措置の第 1 段階移行後、原子炉の機能停止措置として、制御材を挿入した状態での固定及び制御設備の駆動部の撤去を実施するとともに制御設備の駆動部取り付け部に金属製の蓋を設置した。図4に原子炉の機能停止措置の概念図を示す。 制御材を挿入した状態での固定 制御設備の駆動部の撤去 図4 原子炉の機能停止措置の概念図 今後の予定 効率的な解体撤去を実施するためには、放射能量 をより現実的に評価する必要がある。 のため汚染状況を確認するための試料採取及び分析を実施する。 また、JRR-4 は原子炉施設であるとともに核燃料 用施設及び RI 施設でもある。 これらの許可は、原子炉運転を前提としていることから、順次、核燃料物質及び RI を処 するとともに許可の段階的な削減を実施していく。
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