PRAから想定される検査対象設備候補の検討

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カテゴリ: 第15回
PRA から想定される検査対象設備候補の検討 A trial use of New Inspection Guidance for Selection SSCs with using Risk importance 二菱重工業株式会社炉心?安全技術部 二菱重工業株式会社炉心?安全技術部 二菱重工業株式会社炉心?安全技術部 二菱重工業株式会社炉心?安全技術部 高橋 浩道 Hiromichi Takahashi Member 長谷川 悠 Yu hasegawaMember 田中 太 Futoshi tanakaMember 高田 洋祐 Yosuke TakadaMember MHI (Mitsubishi Heavy Industry) is focusing on selection SSCs with using risk importance for new inspection system. In this paper, a trial use of new inspection guidance for selection SSCs is described. Keywords: ROP, New Inspection Guidance, PRA, Risk importance, Selection SSCs,t 1 はじめに 新検査制度については2018 年10 月 り試運用が開始される。この準備のために2018 年4 月16 日に原子力規制 り検査ガイ ( )が されたが、 ガイ では検査対象設備の選定にリスク重要度が用いられることに っている。 産業界では新検査制度に向tてPRA モデルの整備を実施中であるが、現時点で上記ガイ を正確に適用できるPRA は い。しかし、 に イ ス ールで新検査制度の試運用、実運用が開始されることから、過去のPRA のリスク重要度を用いて、どういった設備が検査対象設備として選定されうるか試評価を行うことが有益であると考えた。 論文では、過去のPRA のリスク重要度を用いて、検査ガイ ( )を適用した場合に、どういった設備が検査対象設備として選定されうるか試評価を行い、その の一部を報告する。 2 検査対象機器の選定ガイダンス 検査対象機器の選定は、以下のアプローチを通して遂行 するとしている。 選定ガイダンスの概要 ?系統アプローチ リスク重要度が最も高い系統内の機器を検査対象とし て選定する。系統アプローチでは、リスク重要度が最も高い系統内の、 にリスク重要度が高い機器を検査対象として検討する。(詳しいガイダンスは次項(1)参照) ?リスク重要度/低裕度アプローチ リスク重要度が高い機器を選定する。検査対象機器の 選定に、裕度(設計、保全又は運転上の裕度)の低さを に利用しても い。(詳しいガイダンスは次項(2) 参照) ?(事故)事象シナリオに基づくアプローチ (事故)事象シナリオに基づくアプローチの利用に関 する詳しいガイダンスは次項(3)参照。 選定ガイダンスの詳細 系統アプローチ リスク重要度が最も高い系統を識別し、そのリスク 重要度が高い系統内からそれぞれのリスクの種別に基づ いて機器を選定する。該当する場合、選定を進める上で 以下の(2)及び(3)(d)で説明している構成要素を利用すべき。また、事業者の是正処置プログラム、保全上の是正 工事及び運転経験から 定された欠陥も判断材料の一つ 〒108-8215 東京都港区港南2-16-5 二菱重工業株式会社 炉心?安全技術部 高橋 浩道hiromichi_takahashi@mhi.co.jp として考慮する。 リスク重要度/低裕度アプローチ リスク重要度/低裕度アプローチを使用して機器を 選定する際は、以下の基準?指標に る。 リスク低減価値(RRW Risk reduction worth) リスク低減価値は機器又は運転員の対応や措置が適切に機能した場合に、炉心損傷頻度を低下させる構成要素。 RRW 値が1.005 以上の機器又は運転員対応や措置を検査対象に含めることを検討すべき。 お、望む ら、 り低い閾値を使用しても良い。 リスク増 価値(RAW Risk achievement worth) リスク増 価値は対象の機器又は運転員の対応や措置が適切に機能し い場合に、炉心損傷頻度を増 させる構成要素。RAW 値が1.3 以上の機器及び運転員対応や措置を検査対象に含めることを検討すべき。 お、望む ら、 り低い閾値を使用しても良い。 設置者の保全プログラムにリスク重要度が高い構造物、系統及び機器を 定するために実施されたもの等、技術 判断又は 員会判断に基づくリスクの等級付t。(PRA でモデル化され い可能性がある設備のリスク重要度を定めるために実施)。 CDF りもLERF、内 事象 りも外 事象、通 運転時 りも停止時の方がリスク重要度が高いSSC に対しては、機器選定に支配 事故シー ンスを使用する方が適切 場合がある。 (事故)事象シナリオに基づくアプローチ (d) 以下の構成要素も考察すべきである。 ① 妥当 被ばく時間は何時間か。 ② 当該機器は待機状態か、通 運転状態か。 ③ 通 運転条件は、事故条件をどの程度反映しているか。 ④ 事故時性能の 点で、定期試験に ってどの程度の信頼度がもたらされるか。 ⑤ 関与する潜在 故障メカニズムは何か。 ⑥ 技術仕様に って機器の使用不能時間が左右されるか。 ⑦ 機器の故障からの復旧までのプロセスは妥当か。 3 リスク重要度について 検査機器の選定にリスク重要度が使われる。 章では、リスク重要度について簡単に説明する。 リスク増 価値(RAW Risk achievement worth) 炉心損傷頻度(CDF)を演繹 に すと下式の うに表現できる。 F(CDF) =IE1*P*B1 + IE1*P*B2+??+ IE1* A1*B1 + IE1* A1*B2+?? + IE2*P*B1 + IE2*P*B2+??+ IE2* A1*B1 + IE2* A1*B2+?? + ?????? =P*( IE1*B1 + IE1*B2+??+ IE2*B1 + IE2*B2 ) + b =P * a + b(1)式ここで、 IEi 起因事象i の発生頻度 P 当該機器の故障確率 Ai 当該機器側の レンの緩和機器の故障確率Bi 当該機器の別 レンの緩和機器の故障確率a 当該機器がからむ事故シー ンスの片割れb 当該機器に無関係の事故シー ンスの頻度 す わち、CDF は当該機器がからむ事故シー ンスの発生頻度と当該機器に無関係の事故シー ンスの発生頻度の合算値であると考えることができる。 今、リスク増 価値 RAW の定義式は下記(2)式で表現される。即ち、RAW は当該機器が故障した場合(P=1)、 CDF が何倍に るかの指標である。 RAW=F(CDF P=1) /F(CDF)(2)式 式に(1)式の関係を代入すると、RAW=(a + b)/(P * a + b) =(a + b)/ b(:P * a ぐb) = 1 + a/ b 導かれた上式を眺めて、RAW=2 を想定すると、当該機器が故障した際の事故シー ンスの発生頻度が、それ以外の全事故シー ンスの発生頻度と同等であるということであり、当該機器の故障の影警度が大きいことが容易に類推できる。ガイ で されたRAW=1.3 はその比が30%ということだが、1.3 を機器選定のための閾値とするのが適切 のか議論の余地があると考える。 リスク減 価値(RRW Risk reduction worth)とFussell-Vesely 重要度(FV importance) Fussell-Vesely 重要度 FV の定義式は下記(3)式で表現される。即ち、FV は当該機器の故障(P=1)に関連する事故シー ンスの頻度が、CDF に対してどの程度寄与して いるかの指標である。 FV=F(CDF) F(CDF P=0) /F(CDF)(3)式 式に(1)式の関係を代入すると、 FV= ( P * a + b) - b/(P * a + b) =P * a / (P * a + b) -.- P * a/ b(:P * a ぐb)(4)式 一方、リスク低減価値 RRW の定義式は下記(5)式で表現される。即ち、RRW は当該機器が故障し いとした場合(P=0)、CDF が何分の1に るかの指標である。 RRW=F(CDF) /F(CDF P=0)(5)式 (5)式に(1)式の関係を代入すると、RRW=(P * a + b)/ b =1 + P * a/ b(6)式 (4)式と(6)式を比較すると、RRW=1 + FV と考えることができる。 これを2 章に翻って考えると、ガイ で された「RRW 値が1.005 以上の機器又は運転員対応や措置を検査対象に含めることを検討すべき。」の定義は、「FV 値が0.005 以上の機器又は運転員対応や措置を検査対象に含めることを検討すべき。」と等価と考えることができる。 4 検査対象設備候補の検討 これまでの保全重要度分類 これまでの保全管理では、機器単位の FV 重要度及び RAW を算出し、下記の閾値を使用して分類している。領域I: FV ? 0.001 かつ RAW ? 2 領域II : FV ? 0.001 かつ RAW く 2 領域III : FV く 0.001 かつ RAW ? 2 領域N : FV く 0.001 かつ RAW く 2 領域Iはリスク重要度高, 領域Nはリスク重要度低とし, 領域II、IIIについては保守 にリスク重要度高としている。 検査対象設備選定のためのリスク指標(仮設定) 一方、2 章及び 3 章の整理から、検査ガイ に さ れた検査対象設備の選定条件をリスク指標の 点のみで すと以下の うに る。 ① FV 値が0.005 以上の機器又は運転員対応や措 置を検査対象に含めることを検討すべき。 お、望む ら、 り低い閾値を使用しても良い。 ②RAW 値が 1.3 以上の機器及び運転員対応や措置を検査対象に含めることを検討すべき。 お、望む ら、 り低い閾値を使用しても良い。 検査ガイ に されたリスク指標がどの う 根拠に基づき されたのか不明であるが、「 り低い閾値を使用しても良い」との“ お書き”が存在する。 ここでは、従前の保全管理の実績も踏まえ、以下の閾 値を検査対象設備の選定条件と仮設定する。 FV 値が0.001 以上の機器又は運転員対応や措置を検査対象とする。 RAW 値が1.3 以上の機器及び運転員対応や措置を検査対象とする。 検査対象設備選定 仮設定した上記a 及びbの条件を使用して、検査対象設備を選定する。 選定される設備は、従前の保全管理でリスク重要度高の設備全てと、リスク重要度低のうち、RAW が1.3 以上の設備が対象と る。 後者の重要度低のうち、RAW が1.3 以上(2.0 未満) の設備には、安全注入系や制御用空気系の弁類、原子炉保護制御装置のカー 類等が抽出される。また、これらの機器以外のリスク重要度低の機器( -1 最下にプロッ された機器)は、リスク重要度の 点のみからは検査対象設備から除外される。 5 まとめ 過去のPRA のリスク重要度を用いて、どういった設備が検査対象設備として選定されうるか試評価を行った。ただし、検査ガイ に されたリスク指標の設定根拠が不明確であること、新検査制度に向tたPRA モデルが整備中であること等を踏まえ、試運用に向t、さら る 検討が必要である。 1リスク重要度に基づく機器分類
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