PWR廃止措置における炉内サンプリング工事について

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カテゴリ: 第16回
PWR 廃止措置における炉内サンプリング工事について The nation’s sampling of internal reactor vessel on PWR decommissioning 二菱重工業(株) 氷田 亮 Ryo NAGATA member 二菱重工業(株) 新田 義一 Yoshikazu NITTA Non-member 二菱重工業(株) 橋本 達矢 Tatsuya HASHIMOTO Non-member 二菱重工業(株) 池谷 俊志 Syunji IKEGAYA Non-member 二菱重工業(株) 森川 玲於奈 Leona MORIKAWA Non-member 二菱重工業(株) 鬼塚 博徳 Hironori ONITSUKA Non-member 二菱重工業(株) 南山 彰男 Akio MINAMIYAMA Non-member 二菱重工業(株) 野田 雅紀 Masaki NODA Non-member Abstract (Times New Roman 10pt) should be about 150 words. Mihama Unit 1 & 2 are the first decommissioned nuclear power plants in the Japanese PWR (Pressurized Water Reactor). Internal reactor vessel sampling in PWR has never been conducted in Japan before. Mihama Unit 1 & 2 is the first one in the Japanese PWR. Usually, radioactive concentration on nuclear power plant is estimated based on operation history. Decommissioned nuclear power plants are demanded verification between estimation of radioactive concentration and measured result. This dissertation is describing about summary and result of internal reactor vessel sampling construction. Keywords: Decommissioning, PWR, Mihama Unit 1 & 2, Genkai Unit 1, Internal reactor vessel, 1 諸言 関西電力(株)美浜発電所1,2 号機は、2015 年3 月に廃止を決定し、2017 年4 月に原子力規制庁より廃止措置計画の認可を受けている。その廃止措置は、解体準備、原子炉周辺設備解体撤去、原子炉領域解体撤去、建屋等解体撤去の4 段階の期間に区分して段階的に進める計画となっている。解体準備期間の最初の工事として、2017 年に系統除染工事が完了しており、これに引き続いて2018 年9 月に2 号機、2018 年11 月に1 号機の原子炉容器(以下、R/V)内のサンプリング工事を実施した。廃止措置におけるPWR プラントのR/V 内のサンプリング工事はこれまで実施されておらず、今回が国内初の工事となった(Fig.1)。 R/V 内のサンプリング工事は、放電加工装置を用いてR/V 内のサンプルを採取し、採取したサンプルを核種分析することによって、放射化分布を評価することを目的としている。ここでは、サンプリング工事の概要を報告する。 連絡先: 氷田亮 〒652-8585 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1 番1 号二菱重工業(株) E-mail: ryo_nagata@mhi.co.jp Fig.1 Picture of construction on site 2 工事の目的と採取位置 炉内サンプリングの必要性 原子力規制委員会の定めた「発電用原子炉施設及び研究用等原子炉施設の廃止措置計画の審査基準」では、核燃料物質による汚染の分布とその評価方法に関する説明書において、『発電用原子炉の機能停止時又は発電用原子炉施設の解体時に発電用原子炉施設に残存する放射性物質(放射化放射性物質、汚染放射性物質及び発電用原子炉の運転中に発生した放射性固体廃棄物)の種類、数量及び分布が、発電用原子炉の運転履歴等を基にした計算結果、測定結果等により適切に評価されていること。』との要求があり、許認可における今後の対応を考慮し、実機より採取したサンプルの分析結果と計算結果を組み合わせ、放射能濃度分布を評価することが必要となる。また、美浜発電所1,2 号機に対しては、R/V 内のL1/L2 領域について、その境界の把握及び放射能濃度評価方法の確立も目的として炉内サンプリングを実施した(Fig.2)。 サンプリング位置の考え方 R/V 内からのサンプリングは、放射化評価の放射能濃度に影響を与えるパラメータである中性子束、元素組成、 放射化断面積及び照射履歴のうち、中性子束の観点と元素組成の観点を考慮して位置や数を決定した。中性子束の観点からのサンプリング位置・数は、①径方向・軸方向の評価結果の妥当性確認、②複雑形状部位の単純化モデルの妥当性の確認及び③中性子ストリーミング影響範囲の評価の妥当性確認の観点から設定した。また、元素組成の観点からは、①放射化評価における構造材の元素組成(放射化標的元素の組成)及びばらつきの把握(材料毎に3 サンプル以上)の観点から設定する。 サンプリング位置と数量 美浜2 号機を代表プラントとしてサンプル分析結果と比較して放射能濃度評価方法を確立することで、美浜2 号機以降のプラント(以下、後続プラント)については、同評価手法を用いることにより、代表プラントよりもサンプリング数量の合理化を図ることができる。電力殿を交えて様々な視点で協議を重ねた結果、L1/L2 領域の境界把握及び評価方法の確立の観点より、代表プラントについては、L1/L2 領域から12 サンプルを採取し、以降の後続プラントについては、合理化を図り、R/V 内の下部等 の採取を除く、6 サンプルを採取することとなった(Fig.3)。 Fig.2 Verification flow of estimated radioactive concentration Fig.3 Sampling points of Mihama 3 サンプリング装置の概要 サンプリング工法については、①材質(SUS・低合金鋼) を間わずに加工が可能であること、②機械加工に比べて切削反力がなく小型化が可能であること、③過去の保全工事において実績のある技術であり、信頼性が高いことを考慮して放電加工を選定した。また、装置の位置決め、ハンドリングにあたっては、現地での作業性を考慮した工法を選定しており、特に遠隔での位置決めが必要となるRIV と炉内構造物、下部炉心支持板については、連結ポールを組み上げて位置決めを行う工法とした。 RIV 及び炉心構造物サンプル採取装置 R/V 及び炉内構造物(以下、CI)のサンプル採取装置と設置概念図をFig.4 に示す。サンプル採取は2 つの電極を1 軸で旋回させて2 方向から放電加工することでボート状のサンプルが採取できる構造となっている。装置へッドはR/V 採取装置とCI の採取装置とで共用化されており、電極のサイズを変更により採取するサンプルの大きさを変更できる。サンプル採取装置は、連結ポールを用いて対象のサンプリング位置へ位置決めする。 Fig.4 Concept figure of R/V and CI sampling machine 上部炉心構造物(GIT)サンプル採取装置 上部炉心構造物(以下、UCI)のガイドチューブ(以下、G/T)のサンプル採取装置の概念図をFig.5 に示す。G/T はUCI へ固定されていることから、固定ボルトを取り外してG/T 仮置き架台に移動・設置を行う(Fig.6)。サンプルの採取は、上下方向で2 箇所切断し、筒状のサンプルを採取する。サンプル採取装置は、G/T 仮置き架台のガイドレールに沿って案内され、手巻きウインチを用いてサンプリング箇所への位置決めを行う。 Fig.5 Concept figure of G/T sampling machine Fig.6 Procedure of removal G/T from UCI 下部炉心支持板サンプル採取装置 下部炉心支持板(以下、LCSP)のサンプル採取装置の概念図をFig.7 に示す。下部炉心板中央部にある通路蓋を開放し、LCSP へアクセスしてサンプルを採取する。装置設置状態の概念図をFig.8 に示す。サンプルの採取は、他のサンプル採取装置と同様に放電加工を用いており、2 つの電極を旋回させてボート状のサンプルを採取する。サンプル採取装置は、連結ポールを用いて下部炉心板穴に位置決めヒンを挿入し、対象のサンプリング位置へ位置決めする。 Fig.7 Concept figure of LCSP sampling machine Fig.8 Installation figure of LCSP sampling machine 4 サンプリング工事の事前準備 サンプリング工事へ向けた事前準備として、当社の所有する総合保全訓練センターにて、サンプル採取装置のモックアップを用いた検証、実機を模擬した設備でのトレーニングを実施し、現地工事に万全を期して臨んだ。特に、装置設置については、10m を超える長尺物のポールを扱い、水中カメラにて確認しながらの設置が必要となることから、実物大のモックアップを用いてのトレーニングは非常に有効であった。Fig.9 にモックアップを用いたトレーニング状況を示す。 5 サンプリング工事の結果 R/V 内のサンプリング工事で採取したサンプルデータの一例をTable1 に示す。放射能濃度分布の評価に必要な位置、大きさのサンプルを要求通りに採取することができた。これらのサンプルはA 型輸送容器に収納した後、サンプルの分析を行うため、当社の関連会社であるニュークリア・デベロップメント(株)へ運搬した。 採取機器 試料寸法(m) 採取試料重量 (g) 形状(写真) 幅 X 長さ X 厚さ 原子炉容器 約30 X 約90 X 約20 約300 下部炉心構造物 約25 X 約50 X 約5 約30 上部炉心構造物 ?17 5X 約120 約90 下部炉心支持板 約30 X 約60 X 約5 約30 Table.1 Sample data (example) 6 結言 Fig.9 Picture of training by using mock-up 国内PWR 初の廃止措置における美浜発電所1、2 号機のR/V 内のサンプリング工事を無事故・無災害で完遂した。今回の工事で採取したサンプルから得られる分析結果は、放射能評価結果と比較し妥当性の検証に資すると共に、L1/L2 領域についてその境界の把握及び評価方法の確立に大いに貢献できる情報となるものと考えられる。また、今後具体化する廃止措置計画において、被ばく低減を考慮した解体や処理処分計画策定の基礎となる貴重な知見になるものと考えられる。なお、後続プラントとなる九州電力(株)玄海1 号機についても、同作業を完了しており、現在サンプル輸送の準備中である。 謝辞 美浜発電所1、2 号機のR/V 内のサンプリング工事実施にあたり、関西電力(株)原子力事業本部廃止措置技術センター殿、美浜発電所機械工事グループ殿をはじめとする関西電力(株)殿の関係者各位の多大なご指導、ご協力を頂きましたこと、厚く御礼申し上げます。
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