特集記事「美浜3号機再稼働までの道のり」(1)ハード面の対応
公開日:特集記事「美浜3号機再稼働までの道のり」(1)ハード面の対応
関西電力株式会社 美浜発電所 所長 高畠勇人
1.はじめに
82万 6千 kW)は、新規制基準下で国内初の 40年超運転ということで注目される中、約 10年ぶりに本格的に送電を再開した。ここに至るまでには、原子力規制庁による厳格な安全審査への対応、数多くの大規模な安全対策工事、使用前検査、訓練等を完遂するために、全社一丸での取組みや地元をはじめとする地域の理解活動に取り組んできた。
本特集では、美浜 3号機が東北地方太平洋沖地震から再稼働を達成するまでの道のり(図 1)におけるそれらの工事の概要や、各種取組みを実施していく中での工夫、苦労、そこから得られた教訓等について述べる。
第 1回となる本稿では、安全対策工事、長期停止中の設備維持管理、 40年超運転に向けた取組みといった「ハード面」の対応を紹介する。
図1 美浜 3号機再稼働までの主な道のり
2.ハード面の対応
2.1 安全対策工事
美浜 3号機は新規制基準適合性審査にあたり、基準地震動( Ss)を 750ガルから当社の原子力発電所として最大の 993ガルへと大幅に引き上げた。 2017~ 2020年にかけて実施した安全対策工事は多岐に亘るが、特に耐震性
向上に係る工事が美浜 3号機の大きな特徴となった。
本項では、そのような美浜 3号機で特徴的な工事について、その概要と主に施工段階における工夫や苦労について述べる。
(1)炉内構造物取替
耐震性の向上および海外プラントにおけるバッフルフォーマボルト(原子炉容器内の燃料集合体を取り囲む壁(バッフル板)を固定するためのボルト)の応力腐食割れ損傷事例を踏まえた予防保全の観点から炉内構造物一
式(上部炉心構造物、下部炉心構造物)の取替えを行った。
耐震性向上としてラジアルサポートキー(炉内構造物の動きを制限するためのサポート)の大型化、海外事例反映としてバッフルフォーマボルトの長尺化等の対策を行った。(図 2)
炉内構造物取替にあたっては、新旧炉内構造物の搬出入に必要な仮設搬出入設備の設置に際し、 C蒸気発生器(C-SG ※ 1)壁が干渉したことから、 C-SG壁を一時的に撤去し、炉内構造物取替完了後に当該の壁を復旧すると
いう大掛かりな工事も行った。(図 3)
また、新炉内構造物の搬入においては、格納容器の機器搬入口との隙間が最小約 67 mmと非常に狭く、事前に 3次元計測を行うなど、入念な準備と慎重な作業を実施した。(図 4)
図2 炉内構造物取替の概要
※ 1:Steam Generator
5
図3 C-SG壁の撤去
図4 新炉内構造物の搬入
(2)格納容器補強
耐震性向上として座屈(構造物に加わる荷重が限界値を超えた場合に、急激にへこみ等の変形が発生する現象)への耐力を向上させるため、格納容器円筒部に補強材を新たに設置した。(図 5)
補強材の設置においては、狭隘なエリアで精度の高い溶接作業を実施する必要があり、非常に高度な技術力を要した。
図5 格納容器補強の概要
(3)格納容器外部遮へい壁補強
耐震性向上として外部遮へい壁の上部(外側)および下部(内側)に鉄筋を追加し補強を行った。(図 6)従来の鉄筋の間隔は約 30 cmであったのに対し、今回の鉄筋追加で約 10 cm間隔とした。鉄筋追加については、
格納容器の全周にわたり足場を組む等、大規模な工事であった。(図 7)
図7 格納容器外部遮へい壁補強工事の様子
(4)使用済燃料ピット補強
使用済燃料ピット横の建屋床面と背面道路地盤を掘削し、支持岩盤上に人工岩盤と鋼管杭を設置して補強した後、鉄筋コンクリート床の打設を行った。この床と使用済燃料ピット壁を鉄筋で連結させることにより、地震に
よる使用済燃料ピットの揺れを鉄筋コンクリート床と鋼管杭を通じて支持岩盤に伝達させることで、使用済燃料ピット壁の揺れを抑制する構造とした。(図 8)
地盤の掘削においては、当初、計画していた掘削深さ約 3 mを約 9 mまで更に深く掘削することとしたため、約 6 mを人工岩盤に置き換えることとした。
図6 格納容器外部遮へい壁補強の概要
図8 使用済燃料ピット補強の概要
(5)使用済燃料ピットラック取替
燃料を保管しているラックを床にボルトで固定することで地震力に耐える設計の「固定式ラック」から、日本では初採用となる床に固定しない「フリースタンディングラック」への取替えを行った。
フリースタンディングラックは、使用済燃料ピットの床や壁に固定せず、ラックに作用する地震力を流体力や床との摩擦により消散させる設計であり、外周板を設けることで、周囲の水による流体力を大きく作用させてい
る。(図 9)また、当該ラックは 8体のラックブロックで構成されており、これらを連結することで、転倒挙動の抑制とラックブロック間の衝突防止を図っている。
図9 フリースタンディングラックの構造
(6)構台設置
格納容器等へアクセスするための作業台となっていた高台については、地震による崩壊で非常用ディーゼル発電機燃料油貯蔵タンクや、万一の有事に備えたアクセスルート等に対して波及的影響を及ぼす恐れがあったこと
から撤去し、基準地震動(993ガル)に耐える頑丈な構台を新たに設置した。(通称:32 m構台)(図 10)
既設高台の撤去に伴う掘削作業では、約 9.4万 m3の斜面土砂の切削を行った。また、作業安全性の向上を目的に、鉛直掘削から法面掘削に施工方法を変更するとともに法面掘削部の構台については、鉄骨造から人口岩盤への変更を行った。(図 11)
加えて 32 m構台内に耐震性を有した空間が確保できたため、安全対策工事として新たに製作した消火水バックアップタンク等の設置を行った。
図10-1 32m構台設置前の高台
図10-2 32m構台設置工事中
図10-3 32m構台完成
図11 32m構台の構造
(7)防潮堤設置
若狭海丘列付近断層と隠岐トラフ海底地すべりによって想定した津波の高さ(3号取水口前、防潮堤(内陸側):海抜 4.2 m)に対し、敷地への浸水を防止するために津波防護施設として美浜 3号機の敷地を取り囲むように海抜 5.5~ 6.6 mの防潮堤を設置した。また、美浜発電所は敷地が狭いこともあり、エリアの有効活用として国内では珍しい防潮堤の上部を車両が通行できる構造を採用し
た。(図 12)
防潮堤の建設においては、地下約 10~ 30 mの深さにある岩盤まで掘削を行った。狭隘な発電所構内に巨大な地下空洞を作り、直接支持地盤である岩盤を確認して構築する構造物は類を見ないものとなった。また、地下空
洞時の補強として総延長約 1.9 km、重量約 12,600 tと東京タワー 3基分に相当する鋼材を使用した他、掘削に伴い搬出した土砂は約 12万 m3となる等、大規模な土木工事であった。
これら安全対策工事全体で搬出した土砂の総量は 10tトラック約 9万台分にあたる約 40万 m3にもなったが、これらの土砂の一部を別途、発電所敷地ほぼ全体を囲むように設置した外周防潮堤(海抜 4.5~ 7.0 m)の外周盛
土部や敷地内の公園の嵩上げ事業に使用することで土砂の有効活用を行った。
(8)その他
美浜 3号機の安全対策工事は、狭い敷地の中で多岐に亘る大規模な工事を並行して実施する必要があり、安全を十分確保した上で遅滞なく工事を完了させるためには、様々な取組みが必要不可欠であった。以下で、それら取組みのうちハード面の代表的な事例について述べる。
a.工事専用トンネルの設置
防潮堤設置工事により中央道路から 3号取水口側への道路が封鎖されたため、 3号取水口周りへのアプローチ道路として 3号背面道路から 3号取水口へ全長約 360 mの工事専用トンネル(通称:あご越えトンネル)を設置した。(図 13) このトンネルの設置により、 3号取水口西側付近の工事や緊急時対策所設置工事等を防潮堤設置工事と並行して進めることができた。なお、このトンネルは、長期に亘る使用に耐える構造にしていないため、工事完了後は通行できないようトンネル出入口を閉鎖した。
図12-1 防潮堤の概要
図13 あご越えトンネルの概要
図12-2 防潮堤の構造
b.バッチャープラントの設置
安全対策工事には大量のコンクリートが必要であることに加え、大型工事車両の通行による地元への騒音等の影響軽減を図ることを目的に発電所構内でコンクリートを製造できるよう構内岸壁近くにバッチャープラント等を設置した。(図 14) 安全対策工事に伴いバッチャープラントで製造したコンクリートの総量は約 23万 m3にもなった。その役目を終えた後、2021年 10月より解体作業を開始した。
図14 バッチャープラント等の概要
c.正門車両ゲートの増設
安全対策工事に伴う入構車両の増加・渋滞に備え、正門車両ゲートを移設するとともに、 1レーンから 3レーンに増設した。(図 15)
図15 正門車両ゲート
d.駐車場の増設
安全対策工事で入構者が増加する一方で、新規制基準対応で追加した竜巻対策として、 3号建屋周辺では車両の固縛等の飛来物発生防止措置が必要となったことから構内車両駐車スペースの確保が困難となった。この対応として、正門手前の外周防潮堤上部を駐車場として活用することや、発電所近隣の町有地を借用する等して工事中の駐車スペースの確保を行った。
2.2 長期停止中の設備維持管理
美浜 3号機は、 2011年 5月の第 25回定期検査開始に伴うプラント停止以降、約 10年に亘る長期停止状態となった。
「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」(以下、「実用炉規則」という。)では、原子炉の運転を相当期間(概ね 1年以上)停止する場合は、特別な計画を定め、保全を実施することが求められていることもあり、長期
停止中の設備の維持管理方法を定めて実施した。
(1)追加点検・健全性確認
原子力発電所は 13ヵ月運転毎に定期検査を実施しており、各機器は 13ヵ月を 1サイクルとした保全において経年劣化事象を想定し、機能維持のための点検計画を策定し点検等を実施している。長期停止期間中において
は、上記の考え方を基に長期停止期間中に機能要求がある機器の点検項目の抽出を行い、約 3,000件の機器に対し点検(以下、「追加点検」という。)や健全性確認を行った。追加点検は 2012~ 2020年の間に計 5回、健全性確
認は適宜実施した。
図 16に追加点検項目の抽出フロー、表 1に追加点検の実績、表 2に主な追加点検対象機器と点検項目、表 3に主な健全性確認対象機器と確認方法を示す。
図16 追加点検項目抽出フロー
表1 追加点検実績表4 主な長期保管系統・機器と保管方法
表2 主な追加点検対象機器と点検項目
2.3 40年超え運転に向けた取組み
福島第一原子力発電所の事故以前は、原子力発電所に表3 主な健全性確認対象機器と確認方法対する法律上の運転期間の制限はなかったが、事故後、
(2)長期保管
長期停止期間中に機能要求がないものについては、経年劣化の進展を抑制するために長期保管の対策を行った。
保管方法については、各系統・機器に応じて湿式保管あるいは乾式保管を採用しており、表 4に主な長期保管系統・機器と保管方法を示す。
また、長期保管期間中は、運転員による巡視点検・パラメータ確認・定期切替・定期運転や放射線管理課員による水質確認等を行うことで長期保管中の状態確認を行った。
法律の改正により運転期間は 40年とされ、原子力規制委員会の運転期間延長審査を経て認可を受けることで 1回に限り運転期間を 20年延長(最長 60年運転)することが可能となる仕組みが構築された。(運転期間延長認可
制度)
原子力発電所は、 2.2項で述べたように経年劣化事象を想定し、機能維持のための点検計画を策定し、機器の点検や取替えを実施している。定期検査期間中は、大型機器においても取替可能なものについては、劣化状況等
を勘案した上で積極的に取替えを実施しており、これまで蒸気発生器、原子炉容器上蓋、高圧給水加熱器、発電機コイル等の取替えを行うことで高い安全性の確保に努めてきた。
安全性を確認する仕組みとしては上記の点検や取替えに加え、実用炉規則で高経年化技術評価を行うことが求められている他、福島第一原子力発電所事故以降は、取替えが難しい機器の詳細な点検(以下、「特別点検」とい
う。)を行うことが求められており、これらを総合して運
転期間延長可否が判断される。
(1)高経年化技術評価および長期施設管理方針
実用炉規則では、運転開始から 30年目以降、 10年毎に原子炉施設の安全を確保する上で重要な機器および構造物等について、経年劣化に関する技術的な評価(以下、「高経年化技術評価」という。)を行い、この評価結果に基
づき今後実施すべき施設管理に関する方針(以下、「長期施設管理方針」という。)を策定し、原子炉施設保安規定(以下、「保安規定」という。)に反映することが求められている。 a.高経年化技術評価 「実用発電用原子炉施設における高経年化対策実施ガイド」においては、高経年化対策上着目すべき経年劣化事象として必ず抽出するものとして、低サイクル疲労、中性子照射脆化、照射誘起型応力腐食割れ、二相ステンレス鋼の熱時効、電気・計装品の絶縁低下、コンクリートの強度低下および遮へい能力低下の 6つの事象が挙げられており、ここでは原子炉容器の中性子照射脆化(金属が中性子線を浴び続けると、その材料が元々持っているねばり強さが徐々に低下すること)を例に高経年化技術評価の概要について述べる。 原子力発電所の運転中、原子炉容器は、燃料の核分裂反応に伴い発生する中性子線を浴びる環境下にあり、運転とともに原子炉容器のねばり強さは徐々に低下する一方、その低下の程度は小さくなっていくことが知られている。脆化傾向については、日本電気協会規格に基づき脆化程度を予測し、この予測と同程度の傾向であることの確認を行っている。 具体的には、建設時に原子炉容器と同じ材料の金属(監視試験片)をカプセル(美浜 3号機の場合は計 8個)に入れ、原子炉容器よりも燃料に近い位置に設置することで、中性子線を浴びる量が原子炉容器よりも多くなることから、このカプセルを取り出すことで原子炉容器の脆化傾向を先取りして確認することができる。美浜 3号機では、運転期間延長認可申請までに 4個のカプセルを取り出しており、脆化予測と同程度の傾向であることを確認している。 また、原子炉容器の内表面に傷(深さ 10 mm、長さ 60 mm)があると仮定した状態で、原子炉冷却材喪失事故等に伴い非常用炉心冷却装置が作動した場合に注入される水と、原子炉容器の温度差によって生じる熱衝撃(加圧熱衝撃)を評価し、運転開始後 60年時点においても原子炉容器の脆性破壊が発生しないことも確認している。 その他、高経年化技術評価としては、原子炉容器、 1次冷却材ポンプ、配管等に対する疲労評価、配管の減肉を考慮した耐震安全性評価等を行った。 このように美浜 3号機では、原子炉容器の他、蒸気発生器、ポンプ、弁、配管、電気・計装設備、ケーブルおよびコンクリート構造物等の約 3,000以上の安全
機能を有する機器および構造物等について部品レベルに仕分けて高経年化技術評価を行い、 60年運転時の設備状態を想定しても保全活動を継続することで運転を安全に行うことができることを確認した。
b.長期施設管理方針
高経年化技術評価結果をもとに、現状の保全項目に追加すべき新たな項目として、原子炉容器胴部(炉心領域部)の中性子照射脆化に対する今後の原子炉運転サイクル・中性子照射量を勘案した第 5回監視試験の実施および疲労評価における実績過渡(温度、圧力の変動)回数の継続確認を長期施設管理方針に定めた。
(2)特別点検
「実用発電用原子炉の運転期間延長認可申請に係る運用ガイド」において、同申請に至るまでの間の運転に伴い生じた、原子炉やその他の設備の劣化状況の把握のための点検として、原子炉容器、格納容器、コンクリート構造物について、着目する劣化事象および点検方法が定められており、運転開始後 35年を経過した以降に、それらの点検を行うことが求められている。(表 5)
表5 特別点検の対象設備・部位および点検方法
a.原子炉容器
原子炉容器については、炉心領域の母材および溶接部、1次系冷却材ノズルコーナー部ならびに炉内計装筒に対し特別点検を実施した。(図 17)
図17 原子炉容器の特別点検部位
(a-1)炉心領域 炉心領域については、これまで供用期間中検査の中で溶接部を対象とした超音波探傷試験により欠陥のないことを確認しており、特別点検では、点検範囲を拡大し、母材および溶接部を対象とした炉心領域全域に亘り超音波探傷試験を実施し、欠陥のないことを確認した。
(a-2)1次冷却材ノズルコーナー部 1次冷却材ノズルコーナー部については、これまで供用期間中検査の中で母材部に対する超音波探傷試験を実施しており、特別点検では、強度部材ではないものの、疲労割れ等、従来の知見を上回る劣化事象がないことを把握するため母材表面のステンレス鋼クラッド(厚さ約 5 mm)に対し、クラッド表面の渦流探傷試験を実施し、異常がないことを確認した。
(a-3)炉内計装筒 炉内計装筒については、 600系ニッケル基合金で製造されており、応力腐食割れに対する感受性を有していることから、これまで予防保全として、管台の内面および溶接部にウォータジェットピーニングを実施している他、供用期間中検査として、原子炉容器外面からの直接目視による漏えい有無の確認を実施しており、特別点検では、内面の熱影響部に対する渦流探傷試験および溶接部に対する目視点検(ビデオカメラ使用)を行い、異常がないことを確認した。この結果から、ウォータジェットピーニングによる予防保全対策の有効性を確認することができた。
b.格納容器
格納容器については、これまで格納容器漏えい率試験に併せ、目視点検により内外壁の塗装状態の確認を行い、その状態に応じて塗膜を修繕し、健全性を維持しており、特別点検では、円筒部外面上部を含め、仮設足場等を利用して接近できる点検可能な範囲の全ての鋼板に対し、照度を確保し、視認性を実証できる条件の下、目視点検にて塗膜の状態確認を行い、格納容器の構造健全性、気密性に影響を与える塗膜の劣化がないことを確認した。(図 18)
c.コンクリート構造物
コンクリート構造物については、これまで原子炉格納施設、原子炉補助建屋等の構造物に対し、定期的に目視点検を行うとともに、高経年化対策として、非破壊検査による強度確認やコアサンプルを取り出し、中性化、塩分浸透、強度等を確認しており、特別点検では、これらの点検を補完することを目的に、原子炉格
図18 格納容器、コンクリート構造物の特別点検部位
納施設、原子炉補助建屋等の構造物の部位を選定し、コンクリートコアを約 150個採取し、中性化、塩分浸透、強度等の確認を行い、コンクリート構造物の強度および遮へい能力に影響を与える劣化がないことを確認した。(図 18、19)
図19 コアサンプルによる強度確認
以上の高経年化技術評価、長期施設管理方針(当時、長期保守管理方針)および特別点検の結果を取り纏め、 2015年 11月 26日に運転期間延長認可申請を行った後、原子力規制委員会の審査を経て、 2016年 11月 16日に認可を取得した。
*
今回は、安全対策工事、長期停止中の設備維持管理、 40年超運転に向けた取組みといった「ハード面」について紹介した。次回は、安全対策工事および再稼働管理体制、再稼働に向けた訓練、新規制基準に基づき新規策定や変更が必要となる社内標準等の本格運用に向けた取組み、再稼働工程の各ステップでの点検、プラント運営監視体制の強化といった「ソフト面」の対応について紹介する。 (2021年 12月 10日)
著者紹介
著者:高畠 勇人所属:関西電力株式会社美浜発電所長専門分野:原子燃料設計、炉工学